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誰かの人生の脇役になったとしたら…

私の大好きな海外ドラマ『This Is Us』のオススメポイントは語り尽くせないほどあるけれど、最近思うのは脇役が素晴らしい!脇役たちの名言と、私が誰かの脇役になったとしたら…を考えてみた。

※物語のネタバレあり。

このドラマの脇役たちがどう素晴らしいかというと、主人公たちに何か辛い出来事、絶望的なことが起きたとする。結果的に考えて行動を起こすのは主人公たちだけど、彼らの背中を押したり、励ましたり、支えたりするのはいつも脇役の人たち。彼らがいなければ、主人公たちの魅力は半減すると思う。このドラマは脇役にもスポットライトが当たるし、それぞれの背景も丁寧に描かれているから、どのキャラにも感情移入してしまう。

超大雑把なあらすじ

アメリカに住む、ジャック&レベッカ・ピアーソンとその子供たち(双子のケイトとケヴィン&養子のランダル)のお話。彼らはどこにでもいる普通の家族で、恋愛、仕事、人種、肥満、依存症、トラウマ、生と死に悩みながら前に進んでいく。

このドラマのすごいところは、ただの家族物語を現実的かつドラマチックに描くところ。1話の中でピアーソンたちの過去、現在、未来が組み合わさっているから、彼らがなぜこういう考えをして行動したのかがよく分かる。心がヒリヒリするような話も多いのだけど、最後にはどこか希望があるのが良い。そんでもって、視聴者を泣かせようと物語や演出を大げさにしないのもまた良い。

このドラマのテーマはレモン🍋

「どんな酸っぱいレモンでも、レモネードに変えることができる。」

これは人生の辛い出来事は工夫次第で良いものに変えたり、乗り越えたりできるという意味。レモネードにはお砂糖を入れるから、酸っぱいレモンも無駄にせず甘くできる。そういう比喩だというのは、このドラマで知った。ドラマのタイトルカラーもレモンのような鮮やかな黄色。

レモネードの名言は元々、ことわざとしてあるみたい。

”When life gives you lemons, make lemonade.”

『This Is Us』はそれを少しアレンジ。登場人物たちは酸っぱいレモンを与えられる機会が多いけど、それをどうにか飲めるレモネードに変えていくのが見どころ。

ドクターKとジャック

レモネードの話をしたのは、レベッカの出産を担当したドクターK。ピアーソン夫妻は三つ子が生まれる予定だったけど、ひとりが死産。ドクターKはジャックにその事を伝えに行く。ジャックは子供を失ったんだから、取り乱すのも当然。ドクターKはジャックを落ち着かせるために、椅子に座って話をし始める。

「何か意味のあることを話してもいいかな。昨年妻を亡くした。ガンでね。それがこの年でも働く理由だ。時間を潰してる。妻とは53年間連れ添った。子供は5人、孫が11人。だが最初の子供はお産で亡くした。それがこの職を選んだ理由だ。50年間、数えきれないほど赤ん坊を取り上げてる。それでも1日たりともあの子を思わない日はない。私も年を取った。」

「こう考えたいんだ。あの子を亡くしたことで、他の大勢を助ける道に私は導かれたんだと。また、こう考えたいんだ。君も年老いた時に自分の経験を若者に語るだろうと。人生が差し出した酸っぱいレモンをレモネードに変えた経験を。そうなれば君は病院から3人とも家に連れ帰ることができる。予定とは違うがね。有意義な話か老人のたわ言か。だが伝えたかった。」

涙腺崩壊。ええこと言うてるわ〜!スーパーでレモン見る度に、「ドクターK!」ってなる。

ケイトとケヴィンが生まれた日、消防署前に置いてけぼりにされた黒人の男の子の赤ちゃんが、病院につれて来られた。そしてその子はピアーソン家の双子の隣にいた。運命的なものを感じたジャックとレベッカは彼を養子にする。ジャックはドクターKの言葉を子供たちにも伝えていく。

その後のエピソードでは、ドクターKがピアーソン夫妻に出会う直前の話が描かれている。実はドクターKは、ジャックにレモネードの話をするまで奥さんの死を乗り越えられずにいた。遺品整理もできず、奥さんが座っていた椅子に話しかけている!

だからこそ余計に、ジャックとのシーンを思い返すと泣けてくる。その後も何度かドクターKが出てくるんだけど、登場と言葉が絶妙のタイミングで泣かずにはいられない。彼の言葉には深みと説得力がある。

ドクターKの言葉は、tsugumiさんが素敵に和訳してくれていたので引用させていただきました。

ランダルとベス

シーズン4の終わりで、ランダルとケヴィンは母親の病気のことで意見が合わずに大喧嘩。ケヴィンはランダルにとんでもないことを言った!

「俺の人生で一番最悪な日は、父さんが死んだ日だと思ってたけど違った。父さんと母さんがランダル、お前を家に連れて来た日だ。」

ケヴィン・ピアーソン!おま…。ないわ〜。これが最初観た時の感想。ケヴィンにはケヴィンの想いがあったんだけどね。

ここからのランダルには心配事がまた増える。このドラマは私たちの現実に基づいて話が作られているから、2020年のパンデミックや黒人差別も描かれた。ランダルもジョージ・フロイドさんの動画を観て、自分や家族が危ないことに巻き込まれないか心配になる。母親レベッカの病気のこと、ケヴィンのこと、自分の仕事やこの世界のことで疲弊していく。

ランダルは完璧主義者かつ、誰よりも心優しい人。だからいろんなことを自分の中に抱え込んで閉じこもったり、パニックを起こしたりする。それを支えるのが、大学時代から一緒にいるパートナーのベス。もうやってらんねーとなっているランダルに、ベスが言った言葉。

「辛いことは永遠に続かない。楽しいことだって永遠に続かない。どんな事にも『永遠』なんてないのよ。私たち以外にはね。」

ベス、いいわ〜。「夫婦の関係は永遠」ってことを、最後にジョークみたいに付け足すのいいわ〜。その回でランダルが初めて笑った気がする。

まだまだ伝えたい名シーンがあるけど、それを書こうとすると本一冊できあがりそうなので、ここで止めておこう。

私が脇役になったとしたら…

よく「自分の人生の主役は自分」と言われる。それは確かだと思うけど、自分が主役として歩めるのはもしかしたら、誰かのおかげなのかもしれない。周りの人は私の引き立て役って意味じゃないよ。周りの人たちは私の人生の一部で、大切な人たちになっている。

「やってらんねー」と思うくらいの辛い時期は誰にでもあると思う。だいたいそこにも、人が関わっている。と同時に、辛いことから抜け出したり、這い上がったりするのも、自分ひとりでは出来ないと思う。今まで私を助けてくれた人、そばにいる旦那さんや友人たちの顔が次々思い浮かぶ。ありがたくて、ウルウルしてきた。

私も誰かの人生では脇役。その人にとって重要な存在になる、もしくは最悪な存在になる可能性もある。これまではあまり褒められるような生き方はしてなかった。私を嫌っている人はいっぱいいるだろうな。これからは自分と関わる人にどうすれば喜んでもらえるかを考えながら、人と接していきたい。親切をつなげることで、私を今まで助けてくれた人、今も助けてくれる人への恩返しになっていくといいな。

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