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グウィネス・パルトローのウェルネス・ブランド「Goop」、そのドキュメンタリーをきっかけに、 「なぜ、パルトローは嫌われ、そして起業家として成功し続けているのか」を考察

女版カニエといえば、その妻のキム・カダーシアンだが、そういえば、もう一人いたなと思い出したのが、オスカー女優グウィネス・パルトロー。

今年1月より、ネットフリックスで配信されているドキュメンタリー『グウィネス・パルトローのグープ・ラボ』を、オススメ機能の誘導により観てしまったのだが、これが一話目から飛ばしている。(ので、記事を書いてみた)

番組は、端的に言えば「パルトローと一緒にユニークな健康法探る」全6回の短編ドキュメンタリー・シリーズ。
パルトローとコンテンツ責任者のエリーゼ・ローネンが、専門家を招き、毎回異なる健康法に触れるという番組なのだが、別の角度から見れば、彼女が運営するウェルネスブランド「グープ」の活動、および同ブランドが売りにする「私たちのマジカルな思考」とやらを「宣伝する」番組でもある。
心を癒す“トリップ”と題した第1話では、南の島ジャマイカのリゾート地に渡り「MDMA(幻覚剤の一種)を使った心理療法」を紹介、第2話では、氷水に90分間以上浸かるなど、極端な寒冷に耐えることができる通称「アイスマン」ヴィム・ホフを招き、彼の提唱する「ヴィム・ホフ・メソッド」に挑戦、第3話では、性教育者のベディ・ドッドソンを招き、女性のオーガズム、性の悦びについて探求するなど。

とりあえず、第1話は、ジャマイカの海辺の高級リゾート地に集まった(これも見方によっては)ヒッピーまがいの裕福な白人が、マジックマッシュルーム吸ったり、MDMAを摂取して「トラウマから解放された」「人生観が変わった」と感激の涙を流す──という内容だけに、まぁ、各メディアに酷評されまくっている。

「IQ低すぎる」とかww.

加えて、収録映像をみたパルトロウとローネンが、美しくて、仕事でも成功している人たち(つまり自分たち)には「悩みがないと思われてるけど本当は辛いのよ」「グープでもMDMAを使ったセラピーをやてみよう!」と前向きのコメントするなど、突っ込みどころが満載で、だんだん笑えてくる。

この突き抜けた鈍感力と野心。さすが!と思わず手を叩きたくなる。

話はそれるが、ダラダラと全六話みてしまった(ところどころ飛ばしたが)のは、パルトロー(47歳)の年齢の重ね方が美しく、不覚にも見惚れてしまったところも大きい。「お金をかけているから」とはいえ、だ。

他にも「断食中だから無理ー」とか言いながら、誠に美しいフォームで軽快な腕立て伏せをするなどの超人っぷりをチョイ見せするから、目が離せない(?)。

そんなこんなで好奇心を刺激され、グウィネス・パルトローを考察してみることにしたのだが、
まず、彼女って「ハリウッドで一番嫌われている女優」とかでもよく名前があがっている。理由は、空気を読まない失言を重ねていることが大きそう。

たとえば、

グープの商品って、基本全部、相場より高いのだが、(それでいて、この手のウェルネス系のビジネスパーソンは、「みんなのための」とか「インクルーシブ」とかって言葉をよく使う)、一般の人の経済状況がみえてないのでは的ツッコミをされると、

彼女は、「私は私。年収275万円未満の人のふりはできないわ」と、涼しい笑顔で返すのだ。

また、米紙「ニューヨーク・タイムズ」によると、彼女の論理はこう。

「良いものが高いのは仕方のないこと。それらにアクセスするのは特権なのかもしれない。けれど、特権がないからといって、それらに手を伸ばしてはいけないわけではない。また、世の中にお金を工面できない人がいるからといって、誰もがそれを欲しいと思ってはいけないわけでもない」

また、それでも不服もいますよね、と想定し「ちなみに、私のメルマガやウェブ上のコンテンツは無料よ」と付け加えることも忘れない。

ウェルネスブランド「グープ」のここら辺のプレゼン力・マーケティング力、実にいま(のアメリカ)っぽい。「みんなのこと、考えてない」とは絶対に言わせないのだ。

グープの怪しさを指摘・批判するメディアの記事やブログ、ツイートの数が増えれほど、サイトへのアクセスも増加している、とニューヨーク・タイムズは述べる。

こういったネット上での炎上を、パルトローは「文化的ファイヤーストーム」と呼び、18年にハーバード・ビジネス・スクールで講義をした際に、彼女は生徒たちにこう語っている。
「私はそれ(炎上)をお金に変換し、収益をあげることができる」。ただ「それは、クリックベイト(利用者にクリックさせようとする悪質なリンク)商法とは違います」
「それは、文化的ファイヤーストーム。ヴァギナの話で炎上していればなおさらです」
そう言って彼女は、沈黙が流れる教室の中で、手を叩きながら『ヴァギナ、ヴァギナ、ヴァギナ!』と叫んだ、

と、ニューヨークタイムズが取り上げているのを読んだのだが、
「沈黙が流れる教室の中で」と書きつつ、けど寒いとか生徒たちはシラけてたとか書かない抑揚に、興奮させられたり。

メディアが取り上げやすいパフォーマンスを提供し続けるのは、ある意味彼女のサービス精神か、とも思えてくる。米誌ニューヨーカーとかは、この手のコンテンツを「教養が低い」と一蹴しつつも、パルトローがなんかすれば、毎回結構ちゃんと拾ってる。

だって、面白いもんね、彼女。

綺麗であること、(生まれたときから家が)お金持ちであること、人より多くのものを与えられて生きていたことーー、

別に彼女は言ってないが、その態度が示している通り「なにひとつ、悪くない」という不条理。

そういう現代の法則みたいなものを、彼女の姿にみつけてしまうたびに、ゾクゾクする。そんなわけで、彼女には、これからもずっとウェルネス”グル”の「グウィネス・パルトロー」でい続けて欲しい限りでございます。



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