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【脚本】がんばれ荘 ②たのし荘

明転
近藤 「あー今日もいい朝だなー」
西川 「悪い朝ってあるの?」
近藤 「なんかあるじゃん モヤモヤしたりさ 嫌な予感するとか」
西川 「なるほどね」
上手から中谷登場

中谷 「おはよう おはよう おは妖怪!」
近藤 西川 「悪い朝だーー」
中谷 「僕のことを呼んだ気がして」
近藤 「もう自意識過剰だよ」
鶴岡と大田が上手から登場
鶴岡 「やぁみんなおはよう」
西川 「鶴さん。おっはー」
鶴岡 「翔平くん 朝から騒がしいよ まぁ元気が一番だよね」
中谷 「はぁい!」
近藤 「鶴さんそろそろ黙らせましょう」
鶴岡 「まぁまぁとりあえず朝食にしよう」
大田 「え?朝食も?」
鶴岡 「うん。」
鶴岡上手に去る
大田 「あのーーーー」
近藤 「ごめんね、あいつうるさくて」
大田 「いや、そうじゃなくて」
西川 「本当にうざかったら燃やしていいから」
中谷 「酷くない?」
大田 「あのーーここって」
鶴岡 上手から登場
鶴岡 「みんなごめんね ちょっとコンロの調子が悪くて ちょっと各自で朝食お願い」
西川 「はーーーい」
近藤 「了解―――そしたらさ駅前の喫茶店でモーニングしよ」
西川 「こんちゃんいいね! そうしよう」
中谷 「ごめんね 僕も行きたいんだけどちょっとお金がなくてさ」
近藤 「誘ってないから」
近藤、西川 上手に去る
近藤、中谷を睨みつける
近藤 「みんな行ってきます〜」
中谷 「バイバイ〜」
大田と中谷二人っきりになり、気まずい雰囲気
大田も中谷も目を合わせようとしない
絶妙な空気
すると、大田の携帯電話から着信音が鳴る
中谷は即座に反応する
同時に中谷も反応する
中谷 「もしもしもしもし〜」
大田 「あ、あ、僕の携帯が鳴ってるんですよ」
中谷 「あ、あすみません」
大田電話をする すぐに電話を終わらせる。
中谷 「あのー」
大田 「あ、すみません。マナーモード設定していたの忘れていて、いや本当にすみません。ってかあ、あの部屋行きますね。」
太田一度電話を切る

中谷 「いや、あのちょっと聞きたいんですけど」
大田 「はい」
中谷 「あのその着信音 『虹色しろちゃん』の今のオープニングソングですよね?」
大田 「え、そうですけど あ、こんな年になって子供向けアニメの着信音とかダサイですよね…」
中谷 「いやーそんなことじゃなくて。僕めっちゃ『虹色しろちゃん』好きなんですよ!」
大田 「本当ですかぁ!僕もです!」
中谷 「僕もそうです。」
大田 「え、なんか あんまりいないですよね 」
中谷 「まぁ突然終了しちったし」
大田 「そうなんですよね あの天才小学生しろちゃん大好きです!」
中谷 「ギャグのセンスがいいですよねー」
大田スマホ取り出し虹色しろちゃんの動画を見る
場内には『虹色しろちゃん』のアニメ音声が流れる
大田 「やっぱいいですよね」
中谷 「わかります」
大田 「なんだろ。あの破天荒ぶりが好きなんですよ」
中谷 「わかります!特にスーパーの万引きGメンごっこの回みました?」
大田 「あの回みました!神回ですよ」
中谷 「テレビでやってる万引きGメンに憧れて、それで本当にスーパーで万引きGメンするんですよね!」
大田 「それで本当に万引きしてるお婆ちゃんがいて、そのスーパーにあるカゴの中に入って、驚かせて撃退させたんですよね」
中谷 「あの回、笑いが止まらなくて、何度もみましたよ」
大田 「観ますよね!それで、しろちゃんが犯人のお婆ちゃんに言った名言覚えています?」
中谷 「もちろん」
大田・中谷 「たとえ君にも明日はある!」
中谷 「おーーーー!」
大田 「さすが」
中谷 「これは名言ですよね」
大田 「僕なんて座右の銘にしてます」
中谷 「僕もよくネタやってる時とかもどんなに結果が悪くても、良くても最後最後にこの台詞を言って終わるんです」
大田 「いいですね。あれ、ネタってもしかして芸人さんなんですか?」
中谷 「そうですよ!あ、自己紹介遅れました。私は芸歴六年目 荒木プロダク
    ション所属のピン芸人 中谷翔平です。」
大田 「あ、ご丁寧に」
中谷 「とんでもないです」
大田 「芸人さんですか、大変ですよね」
中谷 「まぁまぁって感じです。厳しいんですよ。この業界」
大田 「そうですよね」
中谷 「なので、他の芸人に負けないように個性を濃くしてやってます」
大田 「そうじゃないと厳しいですよね」
中谷 「やっぱり、他の人と被るわけにはいかないので」
大田 「そうですよね」
中谷 「なので、住人の人にもネタを見てもらって」
大田 「そうだったんですか」
中谷 「こんちゃんとか厳しくて全然笑ってくれないんですけどね」
大田 「みなさん。いろいろと厳しめに意見くれていいですね」
中谷 「あの、ちょっとネタを披露してもいいですか?」
大田 「是非! え、お客さん僕しかいないですけど」
中谷 「いや、僕にはここに多くのお客さんが見えますよ」
大田 「え、この部屋にいるのは僕とあなただけですよ」
中谷 「じゃ行きますよ」

 中谷、ネタを披露する。
 鶴岡、こっそり上手からネタを見ている
 ネタが終了する。

大田 「いやー面白かったですよ」
中谷 「いやーお世辞ですよね?」
大田 「いや本当に良かったですよ」
鶴岡 「ほら翔平くん。透くんを困らせないんだよ。」
大田と中谷 驚く
中谷 「鶴さん!見てたんですか」
大田 「びっくりしましたよ」
鶴岡 「いやさ、たまたま近くにいたからさ、ついね」
中谷 「まぁ鶴さんも僕の実力を見てしまいましたね。」
鶴岡 「そうだね。」
中谷 「サインとか書いておきます?」
鶴岡 「翔平くん頑張ってね」
鶴岡上手に去る
中谷 「恥ずかしかったなー」
大田 「あ、なんかすみません。」
中谷 「いや、もっと頑張りますよ」
大田 「頑張ってください。」
中谷 「もう、鶴さんも本当に酷いです」
大田 「ところで、翔平さんはいつからここいるんですか?」
中谷 「気付いたら」
大田 「え?」
中谷 「あーうーんまぁなんと言えばいいんだろ まぁなんか一年ぐらい前に」
大田 「あ、そうだったんですか?」
中谷 「何かありました?」
大田 「いや実は全然何か、ここの情報知らなくて、とりあえず大家さんが
誘ってくれて それだけなんで… 詳しいことが何もわからなくて」
中谷 「あーそういうことだったんっすか。実際のところ僕もよく知らないんですよ。」
大田 「え?」
中谷 「食事付きでワンルーム2万円ってまぁ謎ですけど、もう一年以上住んでるのもう何か細かいことはいいかなと」
大田 「なるほど」
中谷 「まぁ確かに、訳あり物件とか、心霊スポットとか色々ね、近ちゃんとかと話しにはなりますけど、まぁ特に変なこともなかったんで」
大田 「あ、良かったです。たとえ君にも明日はある。ですもんね」
中谷 「そうですよ。どんなことがあっても、明日はあるんで大丈夫っすよ」
大田 「そうですよね。大丈夫ですかね」
中谷 「しかも、ここは安い家賃で食事と僕のネタが見放題ですから」
大田 「そ、そうですね…あ、あ!電話忘れてました」
中谷 「そうだった!!ごめん!」                     鶴岡 ひょっこり登場
鶴岡 「ほら、翔平くんすべってるし 大田君を困らせないで」
中谷 「つ、鶴さん…」
暗転

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