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戦略的"虻蜂取らず"は本当か?ーー「スタック・イン・ザ・ミドル」とは

ビジネスの世界では、競争戦略が企業の成功と失敗を左右します。しかし、すべての戦略がすべての企業に適しているわけではありません。

企業は自社の強みと市場のニーズを考慮に入れ、最適な戦略を選択しなければなりません。その中で、「スタック・イン・ザ・ミドル」という概念が登場します。


コストリーダーシップと差別化戦略は同時実現できるのか?


「スタック・イン・ザ・ミドル」は、企業がコストリーダーシップと差別化戦略を同時に追い求めて中途半端になっている状況を指します。

この概念は、競争戦略の研究に大きな影響を与えた Michael E. Porter によって提唱されました。彼は、企業が複数の競争戦略を同時に追求すると、どちらも中途半端になり、パフォーマンスが低下すると主張しました。この考え方は、彼の競争戦略論の中心的な位置を占めています。

具体的には、以下の2つの戦略を同時に追求することを指します:

  1. コストリーダーシップ:コスト優位性を追求する戦略です。例えば、個別指導塾に入塾すると、集団授業は無料で受講できるような低価格やお得感を出して市場に提供するような戦略。

  2. 差別化戦略:何らかのユニーク性を打ち出していき、それを使って優位性を発揮しようとする戦略です。例えば、学習塾でいうと、志望校に100%合格させるとか、成績アップ保証、全員プロ講師などがそれにあたります。

しかし、これらの戦略を同時に追求すると、安さを追求すると優位性が落ちるといった問題が生じ、結果として中途半端な状況が起こりうるとされています。このような状況を避けるためには、どちらか一方の戦略に資源を集中投下することが推奨されています。


「スタック・イン・ザ・ミドル」は決着がついていない?


しかし、この「スタック・イン・ザ・ミドル」の主張には、理論的にも経験的にも多くの批判が存在し、その是非をめぐっていまだに議論が続いています。一部の研究者や実務家は、コストリーダーシップと差別化戦略を同時に追求することで、企業が競争優位性を獲得できると主張しています。

私見としては、「スタック・イン・ザ・ミドル」は、企業が競争戦略を選択する際の重要な考慮事項であり、その理解は企業の成功に寄与するのは間違いないと考えています。しかし、その適用は企業の特性や市場環境によるでしょう。したがって、どんな前提条件が成立すれば、「スタック・イン・ザ・ミドル」の状態を越えられるかが肝だと感じています。

少なくとも、企業は自社の強みと弱み、市場の動向を理解し、最適な戦略を選択することが大事でしょう。

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