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小川志津子の文。

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20年来取り組んだライター職を離れた派遣社員が、日ごろ見聞きし感じたことを記す随筆マガジン。
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#好き

「好き」の第三者であること

「好き」の第三者であること

 私は、「なにかを熱烈に愛してる人」にめっぽう弱い。

 たとえば演劇を作る人たちに、その思いを聞いて文字にしていた頃がそうだ。映画の学校の事務員さんを、務めていた2年間もそうだ。忘れもしない、その学校に新しい試写室ができたばかりの夜。誰もいないその空間で、映写スタッフ陣が私の知らないアクション映画をガンガンに上映して、悦に入っていたときのこと。その、悦に入っている人たちの後ろ姿が、なんだか妙に離

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「自分を好きな人が苦手」というスパイラル

「自分を好きな人が苦手」というスパイラル

たとえば、新しい職場で働くことになって。たまたま、同じ研修グループになって、言葉を交わした人がいたとする。

私は長いこと、初対面の相手に腹を割ってもらう「インタビューライター」という仕事をしてきたので、多少、口下手な人や、話運びが上手でない人にも、ある程度、面白く腹を割っていただくことが、なんとなくできる。

初対面の人と話すときも、ほんの少し、その筋肉を使う。だから「オガワさんと話すと楽し

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