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『三体』そして『三体』と『三体』原作そしてNETFLIXとテンセント、そのThree-Body Problemとは?

【NETFLIX】
Catcher in the EARTH
やってくれないの?

または、
宇宙で私をつかまえて。

どういう事?

冒頭の文革のシーン、
残酷ではあるがあっさりしている。
原作であった噎せ返るような、
血生臭さ、汗臭さはない。

のように、
原作とはちがう描写、設定の違い、
もあるがおもしろさは残っている。

原作のおもしろさは、
映画でいうと、
『コンタクト』や『インターステラー』とはちがう、
フィジカル、メンタルの傷み哀しみLOVEベースで、
SFが展開されている独特の世界観が楽しい。
(セーガン、ノーランの世界観も素晴らしいのは言うまでもない)

NOVEL →ラテン語で【新しい】という意味。

ノベルは小説という意味ではなく、本来は【新説】という訳が、
適しているというのが私見。

そういう意味で、
本作がとんでもない新説を、
読んでいる気持ちにさせてくれたのは、

各シークエンスは、
『幼年期の終わり』等で、
見たことがあるLORDのような、
エピソードが多いが、
使い古されたパーツを並べ替えて、
まとめて、
Catcher in the EARTH
または、
宇宙で私をつかまえて、
を大胆に文革から、
ひとつひとつ、
何が起きるのかわからない体で、
進めていって、
まるで【新説】のような、
マジックを展開していたからだろう。

今と昔をシーンバックしながら、
進めないとイケナイ理由も充分に理解できるが、
あのワクワクが一般的なSF映画のカテゴリーに、
分類されると少しさびしい気もする。

歌舞伎町がちらっと出てくるシークエンス、
涙が出る・・・

ビダン ビダン ビドゥビドゥビダン・・・

【蛇足】
原作を映像化するにあたって、
エンターテイメント色を濃くしようとすると、
史強を活躍させざるを得ない。

その史強のキャラクターが、
原作では鬼軍曹的なプロの刑事のような強いイメージだった。

本作では、
腹の出た、笑顔の多い、
柔和なキャラを前面に出していた。

他の登場人物の取捨選択、
バランスの取り方、
小ネタでの捌き方、
あたりまえだけど技術が高い。
が、
ダイジェスト版になるのはしかたない、
8話に渡る予告編に過ぎない、
カウントダウンの描写があまりに安易すぎた。

おそらく、
このシーズン1の評判に関係してくるだろうが、
シーズン2で終了、
長くても3程度の想定での、
グランドビジョンからの逆算だろう。

この規格外の原作をまともにドラマ化しようとすれば、
8話×6、シーズン6程度の分量が必要だろう。

ライバルは映画やドラマを越えて、
スポーツ、バラエティ等々の、
バーリトゥードの2024年、
そんな現実を見渡すと、
ドラマ化としては【最適解】なのかもしれない。

【テンセント】

原作の再現ドラマとしては、
ゆっくり楽しめるが、
まるごと省略可能なシーン、
長すぎるカットは気になる。

人類の物理学なんて物理学ではない、
地球上、あるいは太陽系内のみで、
成立する可能性が高い・・だけで、
恒星が3体存在するだけで、
時空が歪むどころか、
今まで覚えたすべての法則はデタラメというのは、
丁寧に原作通りに描いている。

カウントダウンの描写も、
写真の単なる写り込み、
飛蚊、未知の技術と段階を踏んでいる。

そこをしっかり描いてからのLORD、
圧倒的な全30話。

原作に忠実に映像化しようというスタンスの、
製作側の生真面目さが良いも良くないも影響しているのか、
スーパーカミオカンデのような、
施設の美術、加速器の装置等、
それらの撮影方法、VFXも含めて、
表現技術はかなり高度である、
一方、
ジャッジメントデイ号のシークエンス等、
人体への影響を躊躇している感が出ていたり、
エンターテインメントとしては迫力に欠けている部分もある。

史強のキャラクターは、
原作のイメージとはまったくちがう。

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