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No.515 小黒恵子氏の紹介記事-81 (金曜ひろば 心つないだ動物の歌)

 こんにちは。小黒恵子童謡記念館です。

 様々な新聞記事等をご紹介しています。今回は、新聞に掲載された小黒恵子氏関連の記事 をご紹介します。

金曜ひろば 心つないだ動物の歌  童謡詩人と東京・西秋留小の子ら

動物をテーマにした童詩を書き続けている詩人と東京郊外の小学生たちの交流が三年にわたって続いている。小黒恵子さん(六一)と東京都秋川市西秋留小学校の児童たち。この夏、小黒さんが世界自然保護基金(WWF)チャリティーコンサートとして東京・渋谷のNHKホールで開いた「夏休み童謡コンサート’89」には西秋留小の児童、母親百十六人が駆け付けた。

愛唱して3年、手紙でも交流  今夏はコンサートに駆け付け
小黒さんと西秋留小学校との交流は、同小の田野倉陽子先生(四九)を通じて始まった。小黒さんと田野倉先生は、一九八〇年のアフリカ旅行以来の知り合い。小黒さんがエーゲ海を空から見て「まあ、ブドウ色」といったのを聞き、田野倉先生は(なんて変わった表現をするのだろう)と印象深く思った。田野倉先生はコンサートなどで小黒さんの歌を聞いたあと、担任の二年生の教室で「やあこんにちは」(高木東六作曲)のレコードをかけた。以来、「やあこんにちは」は、子どもたちの流行歌になった。
やあ こんにちは やあ こんにちは
世界中の お友達
みどりの地球で のびのびと
今日も 楽しく暮らそうよ
シッポがあっても なくっても
心のベルは、ひびきあう
みんなが友達 みんなが仲よし
あくしゅをしよう
キリンに象さん ライオンくん
パンダにラクダに ペンギンくん
犬ネコイルカに シマ馬シロクマ エトセトラ
という内容である。
学年の終りに、田野倉先生の教室の子供たちは、小黒さんあての手紙を文集にまとめた。そのなかに「音楽会があったら行ってみたい」という手紙があった。小黒さんは、一九八六年の「こどものうたコンサート‘86」に、子供と母親八十人を招待した。
子供たちは小黒さんの童謡をうたいつづけた。そして、三年後の今回は入場券を自前で買って母親を含め百十六人がコンサートを聞きに行った。
三年前にも行った柚木永志君は「今度はぼくは六年生。歌の一つ一つが心に残っています。とくに心に残った歌は『ドラキュラのうた』です。『ブラックキャットがおこってくるぞ』がいろんな動きをしておもしろかったです。」と、小黒さんへの最近の手紙に書いた。
「ブラックキャットがおこってくるぞ」(宇野誠一郎作曲)は、今回サイガバレエの踊りつきだった。
ネズミのまつりだ ワッショイ チュチュチュ
おいものおみこし ワッショイ チュ
すべっておとすな ワッショイ チュ
あんまりさわぐな ワッショイ チュ
よなかにおきて べんきょうしてる
ブラックキャットが おこってくるぞ
母親の一人、小林由美子さんは、こう書き送った。「草の中から出てくるミミズくんのことを、気持ち悪いなんて言えなくなりました。美しいもの、美しくみえないもの、人間だってそうですね。皆がそれぞれに精いっぱい、この地球上で生きているのですから」
同小学校は、幼女誘かい殺害事件の被疑者の青年の自宅がある西多摩郡五日市町とは、同じ秋川流域にある。田野倉先生は「授業では人を信じることを、子供たちに教えてきました。それだけにやり切れません」と話す。
だが、思い直したように、「小黒さんの作品には、ひたむきさがあふれています。商魂というものが見当たらない。小黒さんが作り手なら、私は歌わせ手」とも。生命への愛をうたった童謡の数々はこれからも歌いつがれていくだろう。

朝日新聞 平成元年(1989年)9月8日

 最後までお読みいただき、ありがとうございました。
 次回は、1991(平成3)年の紹介記事をご紹介します。(S)

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