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No.461 小黒恵子氏の投稿記事-27 (こどもの未来に情操教育を)

 こんにちは。小黒恵子童謡記念館です。

 今回は、二十世紀の日本女性 に掲載された(?)小黒恵子氏の投稿記事を紹介いたします。(当館に残っているのは、ゲラ刷りのみ)

こどもの未来に情操教育を  
         童謡作家 詩人 小黒恵子童謡記念館館長 小黒恵子
 私はこどものうたの作詩を、若い頃から現在もライフワークとしています。NHKのこども番組のうた、少年少女合唱曲や歌曲等、沢山のうた作りをしています。
 私の少女時代は、軍歌一色の殺伐とした恐るべき時代でした。情操教育の片鱗すらありませんでした。その経験を通して、私はこども達に情操教育がいかに必要であり、大切であるかを、一番親しみ易い童謡によって伝えたいと思っています。
 こどものうたは親から子へと、自然に歌いつがれていきます。
 野に咲く小さな草花、タンポポやスミレやツクシや名もない花たち、スズメやアヒルやフナやメダカや蛙やトンボや動物たち。身近な自然や生きもの達が歌のなかに、沢山ちりばめられています。
 うたから伝わる楽しさや優しさが、こどもの心の中に深くしみ込んでいきます。他を愛するやさしい気持ちを持った 心豊かなこどもに成長して欲しいものです。
 シッポがあってもなくっても、形はみんな違っても、この地球に共生している仲間たちです。
 現代に生きるこどもの生活の中に、不満やストレスがあっても、小さく弱い動物の虐待に及ばないように、かわいい動物のうた等、幼児の頃から沢山聞かせたり、歌わせることを心がけるべきです。
 近頃こどもの非行や犯罪やいじめ等びっくりするようなニュースが飛込んできます。なぜ? どうして? とその度に誰もがショックをかくせません。
 なぜ、単純に切れてしまうのか、それぞれに何等かの些細な原因もあるでしょうし、単に模倣してみたかったとういのもあるし、いずれにしろ馬鹿げたことです。
 切れてしまったこども自身の心の中に 生涯影を残してしまう恐るべき行為なのです。
 私は平成三年七月に、童謡記念館を開館しました。今夏七月満七周年を迎えました。
 毎週土曜日と日曜日の開館日には、専属のピアニストによって、大人もこどももみんなが知っているみんなで歌える楽しさを、満喫していただいています。
 入館料は大人五百円 こども二百円でこれは、世界自然保護基金(WWF)に寄付しています。(※ 現在は、この情報とは異なります)
 庭の緑と建物を一体化したものを、童謡記念館として、川崎市に寄贈することにオープンの時から決めています。市にもその旨を、既に通達してあります。
 十四本の川崎市の指定保存樹がりあますので、夏季には、蝉の合唱がとても賑やかです。
 尚、平成七年の夏には、全国の少年少女合唱団を対象にした、文部大臣認可による公益信託「花とライオン児童合唱音楽賞」を創設いたしました。
 賞の名称としてはユニークで、珍しいのですが、 ―花のようにやさしく美しく、ライオンのように強くたくましく誇らしく成長してほしい― という願いを込めたものなのです。
 名実ともに歌唱力が優秀で、合唱団の創立以来長い歳月を重ね、毎年の定期演奏会を開催し、地域のボランティア活動に出演したり、外国の少年少女合唱団との交流等に、めざましい活動をしている合唱団に授賞しています。(副賞として百万円授与)。
 うたは友達、―人と人、あるいは世界の人々に通じる「心と心のかけ橋」です。こどもの未来に情操教育を楽しみ乍ら、歌い乍ら自然な形で溶け込んで欲しいものです。
 私はこどもの歌を通して、愛の心を、優しい心を、平和の心を、情操教育の一担として伝えていきたいと思います。
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生年月日  昭和三年八月二十七日
出身地  神奈川県川崎市高津区諏訪
学 歴  昭和一六年 川崎市立高津小学校卒業
     昭和二〇年 調布高等女学校卒業
     昭和二三年 大妻女子専門学校卒業
     昭和二六年 中央大学法学部卒業
主な略歴 昭和五八年 日本童謡協会理事
     昭和六一年 日本音楽著作権協会評議員
     平成  元年 赤い靴児童文化大賞審査員
     平成  元年 鳥取ふるさと音楽賞審査員
     平成  元年 川崎市文化財団理事
     平成  三年 小黒恵子童謡記念館設立
     平成  七年 日本詩人連盟副会長
     平成  七年 公益信託「花とライオン児童合唱音楽賞」創設
     平成  七年 日本童謡賞審査員
     平成  七年 日本童謡協会常任理事
     平成一〇年 全日本音楽著作家協会常任理事
     平成一〇年 日本音楽著作権協会理事
趣 味  朗読 三匹の犬と山道の散歩 運転四〇年
その他  川崎市文化賞(芸術部門)、日本童謡賞、日本作詩大賞童謡賞、 
     日本詩人連盟賞、赤い靴児童文化大賞
     平成一三年 勲四等瑞宝章

二十世紀の日本女性 平成13年(2001年)11月22日のゲラ刷り

 最後までお読みいただき、ありがとうございました。
 次回は、2005(平成17)年の雑誌に掲載された小黒恵子氏のエッセイや記事をご紹介します。(S)

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