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No.462 小黒恵子氏の投稿記事-28 (世界に誇る日本の童謡)

 こんにちは。小黒恵子童謡記念館です。

 今回は、日本教育 巻頭随想 私の提言 に掲載小黒恵子氏の投稿記事を紹介いたします。

世界に誇る日本の童謡  
                     詩人・童謡作家 小黒恵子
 
 赤ちゃんが生まれて、まず最初に聴くうた、それはお母さんのやさしい子守唄である。
 あかちゃんをみつめて、静かに歌っている声は、あかちゃんの心の中にインプットされて、大人になっても忘れない心のなかの故郷になる。
 子どものうた(童謡・唱歌)は、人生の心の基礎となる、子どもへの愛の贈りものであり、人間形成の幼児教育の始まりと言える。
 この四月から、今まで小学校の音楽の教科書から外されていた童謡や唱歌のいくつかが、復活されたという。私は心のなかに花が咲いた明るさを感じた。
 質が高く数が多い世界に誇る「日本のこどものうた」を、ドライブや家族旅行が盛んになったこの頃、緑の自然のなかで、合唱したり、草花を摘んだり、自然から得る豊かな情操教育として、大いに活用してほしいものだ。
 現在大きな社会問題の一つである、少年少女の非行や犯罪を激減させるには、幼児の頃から「こどものうた」を、しぜんに楽しく覚えさせることが、情操教育の最初の一歩であり大切なことと思う。
 「こどものうた」は、自然のうた、動物のうた、魚のうた、食べもののうた、マナーのうた、スポーツのうた、電車や車や船のうた、飛行機のうた等々、枚挙にいとまがない。
 情操教育は日常の生活のなかで、歌や会話を通して始まるのだ。
 「こどもに香り高い児童文学と童謡を」というスローガンのもと、鈴木三重吉を中心とした「赤い鳥」運動が、大正七年七月一日にスタートした。これが日本の童謡の始まりである。社団法人日本童謡協会では、毎年七月一日を「童謡の日」と」定めている。
 第一回の会長は詩人のサトウハチロー、第二回の会長は作曲家の中田喜直が故人となり、現在第三回の会長は作曲家の湯山昭である。
 私は平成三年七月に童謡記念館を設立した。大人も子どもも日本の童謡や唱歌を愛し、未来に続けてほしいとの願いをこめて実現したものである。
 平成七年に私は、文化庁認可による公益信託「花とライオン児童合唱音楽賞」を創設した。今年は、第十回を迎える。一つの節目である、第五回は、東京NHK放送児童合唱団が受賞している。花のようにやさしく、ライオンのようにたくましく成長してほしいという願いをこめたネーミングである。
 毎年数多い全国の合唱団の中から、特にすぐれた歌唱力と長い音楽活動やボランティア活動等、顕著な一団体を選んで助成金として百万円を贈呈している。
 「花とライオン児童合唱音楽賞」は、希望の星として、少年少女に夢を与え、末永く存続させたいと願っている。

日本教育 平成17年(2005年)6月1日発行

 最後までお読みいただき、ありがとうございました。
 次回からは、新聞等に掲載された小黒恵子氏の記事(書評)等をご紹介します。(S)

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