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リーダーとは人を率いるのか?導くのか?:柔道井上監督から考える

おはようございます!

OGSシニアコンサルタントの深石です。

賛否がある中で閉幕した東京オリンピックですが、一所懸命に勝負に挑む選手たちを見ていると、本当に心を打たれる思いになるのと同時に、自分自身もっと挑戦し続けなければ、という刺激をたくさんもらえます。

オリンピックの19日間、自分自身と真摯に向き合い闘い続けた選手の方々には本当にたくさんの感動をもらえましたし、各国代表選手や選手を支える関係者の皆さまに心から敬意や尊敬の念を抱くばかりです。

さて先日、柔道競技最後の混合団体戦が終了した後に、男子柔道監督の井上監督が退任意向を表明しました。

井上監督は、2012年に代表監督に就任しますが、同年ロンドン五輪では、日本代表の金メダルは「ゼロ」。その直後、日本代表を復活させるべく代表監督に就任。

2016年リオデジャネイロ五輪では、2階級制覇を含む史上初の7階級全員メダルを達成ー。

そして、2021年東京五輪では、日本男子柔道で史上最多5個の金メダルを獲得ー。

代表監督就任から9年間で、名実ともに、日本柔道を復活に導いた井上監督ですが、常にチームや選手に対して掲げていた方針は、

「自他共栄」

「自他共栄」とは、柔道創始者である嘉納治五郎氏が講道館柔道の指針として掲げた言葉であり、互いに信頼し、助け合うことができれば、自分も、そして、世の中の人も共に栄えることができる。

という考え方となります。

そして、五輪代表決定前のハワイ合宿では、柔道とは関係ない「カヌー体験」からスタートします。

これは、例え選考途中のライバル同士であっても、

同じチームとして力を合わせられるか?
皆で心を一つにして共に高め合えるか?

ということの大切さを選手たちに伝えるためにまずこのプログラムを取り入れた、とのことでした。


7月31日の団体戦終了後には、井上監督が胴上げされている映像も映り、選手たち全員が心から監督を尊敬している姿がひしひしと伝わり、本当に感動しました。

井上監督 胴上げ

引用元:https://www.tokyo-np.co.jp/article/120909


リーダーシップとは何か?という問いを考える際に、そこには2パターンの型があるとOGSでは考えます。

1つは「人を率いる」リーダーシップ。
1つは「人を導く」リーダーシップ。

私が最も感銘を受けた名著の一つでもあります、「ビジョナリー・カンパニー」にも、真のリーダーは、

「時を告げるではなく、時計をつくる」

と書かれています。

井上監督はまさに、時計をつくるリーダーであり、そして、「人を導く」リーダーだったのではないかと思います。

「人を率いる」と「人を導く」リーダーシップは、何が違うのか?


まずOGSでは、先ほど述べたようにリーダーシップは2つの型があると考えます。

1つは「人を率いる」リーダーシップ。
1つは「人を導く」リーダーシップ。

まず、リーダシップ(Leadership)という言葉の意味や定義を紐解いていきますが、

lead=人を先導する、導く、率いる
leader=指導者、統率者、指揮者
leadership=指導者の地位、統率力、指導力

という意味になります。

つまり、リーダーシップの中には、大きく分けて「率いる」と「導く」という側面が内包されています。

そして、「率いる」とは何か、を考えていきますが、意味としては、

人を従えていく、引き連れていく

となるため、フォロワー(社員や仲間)は統率する「ヒト」に紐づきます。

そして、ヒトに紐づくということは、統率者の「権力・地位」「カリスマ性」「人間的魅力」が何よりものKSFでそれがmust条件となり、「目的や理念」はwant条件となりがちです。

一方で、「導く」とは何か、を語源から見ていくと、

道+寸(=手)となるため、手を引いて道に連れていく

という意味になります。

ここで言う「道」とは物事の本質や道理、そして、その在り方や実践となるため、「導く」とは人を物事の本質にいざなうことで、「自分についてこい」ではない、ということです。

そして、「率いる」と大きく異なる部分は、フォロワー(社員や仲間)が紐づくのは、「ヒト」ではなく「目的」である、ということー。

つまり、人を導くためには、まず「目的や理念」といった基軸がmust条件であり、カリスマ性や人間的魅力は、want条件になります。

リーダー自身が目的(基軸)を明示し、自らそれを実践・体現していくことで、その価値観やビジョンに共感した仲間が集まり、文化や仕組み、そして未来が創られていくー。

これこそが本質かつ本物のリーダーシップだと、OGSでは考えます。

リーダーシップとは?

そして、この本質的なリーダシップの下で創り上げられた組織やチームであれば、いつか必ず訪れるリーダー交代の日が来たとしても、目的や文化や仕組みはしっかり生き続けるため、1人1人がブレることなく自律的に歩み続けられます。

柔道日本男子の井上監督も、カリスマ性や人間的魅力の高さはさることながら、それ以上に「自他共栄」という基軸を明確に示し、自らそれを体現・実践することで、日本チームに「文化や仕組み」がしっかりと根付き、史上最多の金メダル獲得に繋がったと思います。

井上康生監督のリーダーシップ

今回はリーダーシップの型について考えてきましたが、皆さまもぜひ、「人を導く」リーダーシップを踏まえ、永続的な事業成長の追求・実現をお願いいたします!

人を導けるリーダーのみが、人を率いるリーダーになる条件を満たす。

「人を導けるリーダーのみが、人を率いるリーダーになる条件を満たす。」by深石圭