従業員エンゲージメントとは?高める方法と企業事例を紹介
近年、「従業員エンゲージメント」という言葉を耳にする機会が増えました。
これはいったいどういった意味を持ち、企業にどのような影響をもたらすものなのでしょうか。
今回は、従業員エンゲージメントの概要や高めるための方法、事例をあわせてご紹介します。
従業員エンゲージメントとは
世界140カ国以上に社員を抱えるコンサルティング会社「ウィリス・タワーズワトソン社」では、従業員エンゲージメントについて次のように定義しています。
「従業員の一人一人が企業の掲げる戦略・目標を適切に理解し、自発的に自分の力を発揮する貢献意欲である。」
要するに、従業員がどれだけ所属する企業に対して貢献したいと思えるかということです。
日本で従業員エンゲージメントが重要視されるようになった背景には、かつての日本特有の終身雇用制度から働き方の多様性に変化したことが大きく影響しています。
一度雇用した人材は定年まで基本的には在籍するという風潮から、個人のスキルやキャリアプランに合わせて転職することが当たり前となりました。
企業側としては、優秀な人材を流出しないために、従業員のモチベーション管理や関係構築に対してさまざまな工夫を施す必要が出てきたのです。
そこで、従業員の会社に対する貢献度をはかる指標である「従業員エンゲージメント」が重要視されるようになりました。
従業員エンゲージメントがもたらすメリット
では、従業員エンゲージメントを向上させることによって、具体的にどのようなメリットがあるのでしょうか。大きく分けて3点ご説明していきます。
メリット01:従業員のモチベーションを高めることができる
従業員エンゲージメントが高い状態は、従業員は会社に貢献したいという考えを自発的にもっている状態であるともいえます。従業員は会社に貢献するために自分にできる業務は何かを主体的に考えることで、自ずと自分自身のモチベーションを高めていくことにつながります。
従業員のモチベーションが高まれば、会社としての士気も上がります。会社は人で成り立っていますので、一人ひとりの従業員のモチベーションは、企業の成長に大きな影響を与えるのです。
メリット02:売上の向上が見込める
従業員エンゲージメントは、会社の士気を上げるだけでなく売上にも貢献すると考えられます。
従業員エンゲージメントと売上の関係性を調べた、モチベーションエンジニアリング研究所と慶應義塾大学ビジネス・スクールとの共同研究である「エンゲージメントと企業業績」に関する研究報告によると、従業員エンゲージメントの結果がD以下だった組織の平均伸長率が4.2%であったのに対し、B以上だった組織では平均伸長率が19.8%と約5倍近くもの差が生まれました。
従業員エンゲージメントは、事業成長のカギを握る存在であると言っても過言ではありません。
メリット03:同僚同士の信頼度の向上が見込める
同じ組織である以上、一緒に働く仲間はとても大切な存在です。企業が目指すべき方向性や価値観に共感できるメンバーが揃うことで、お互いの信頼度や協力姿勢は強くなります。
会社への貢献意欲である従業員エンゲージメントが高まると、1人ではなく周りのメンバーと協力して成し遂げようとする動きもみられるようになります。
一緒に頑張ろう、一緒に達成しようという信頼の輪が広がることで、会社としての大きな成功が見えてくる可能性が高まります。
従業員エンゲージメントを高める方法
実際に従業員エンゲージメントを高めるにあたって、その方法は多岐に渡ります。今回はその中でも特におすすめしたい方法をいくつか抜粋してご紹介していきます。
■会社の理念やビジョンの共有
必ずと言っていいほど取り組んでいただきたいのが「理念やビジョンの共有」です。
会社が目指す方向性や理念、価値基準などを理解できていなければ、従業員は何をどう頑張ることが会社への貢献になるのか、把握できないままです。
従業員エンゲージメントを高めるためには、まず企業としてどういった方向性や価値観をもっているのかを明文化し、全従業員に浸透させる必要があります。
弊社では、毎日の朝礼時にその日の担当者が会社の価値基準に沿ってスピーチを行うといった社内文化も設けています。
■社内コミュニケーションを活性させる環境整備
従業員エンゲージメントは、自分自身だけの満足感では向上されません。他の従業員との円滑なコミュニケーションがとれ、信頼関係を構築できる環境を整えることで、チーム一丸となって同じ方向を向こうと思えるようになります。
部署内外を問わず気軽にコミュニケーションをとれるデスク配置であったり、ランチ会などのイベントを定期開催してみるのも良いかもしれません。
弊社では、最近フリーアドレスのオフィス環境を整備し、部署間の壁なく各メンバーが気軽に交流できる空間を整えました。
■サーベイの実施
従業員が今の職場環境や仕事内容に対して満足しているかを確認するサーベイ(アンケート)をとり、結果を開示して会社の長所と課題点に向き合う機会をつくることもおすすめです。
従業員は会社の状況を自分ごととして捉えることができるようになりますし、自分の意見をサーベイという形で発信することができることで、意見を出しやすく風通し良い職場をつくることができます。
そういった環境から、会社に対する信頼度が高まり、エンゲージメント向上が見込めます。
弊社では株式会社リンクアンドモチベーション社によるモチベーションクラウドを定期的に実施したり、Googleフォームを活用した独自の社内施策サーベイを実施し、結果も全メンバーに公表しています。
■人事評価制度の整備
そして、最も効果的なのは人事評価制度の整備です。
従業員は、何をどれだけ頑張れば自分が評価されるのか、貢献できるのかがわかっていないケースが非常に多く存在します。
人事評価制度が正しく機能していれば、自分が何を頑張れば良いのかが明確になります。すなわち、会社が自分に求めていることが理解できるようになるのです。
そして、与えられた業務をこなすことで公正・公平な評価を受けることができれば、従業員は自信をもつことができ、さらなるレベルアップに向けてモチベーションを高く保つことができます。
そして会社に対する信頼度や貢献意欲が増してくるようになるので、人事評価制度の正しい運用は組織の成長には必要不可欠です。
従業員エンゲージメントを向上させている企業事例
実際に、弊社だけでなく従業員エンゲージメントの向上のための施策を実践している企業の事例についていくつかご紹介していきます。
■スターバックス コーヒー ジャパン 株式会社の例
スターバックスコーヒージャパン株式会社では、企業のミッションと行動規範を「Our Mission and Values」とよび、従業員への浸透と体現を図っています。アルバイトやパートの従業員を含めると国内で3万人以上の従業員を抱えている同社では、ミッションや行動規範を示し、各従業員に共感してもらえる働きかけを実践しています。
ミッションや行動規範について理解・共感できると、従業員はスターバックスコーヒーで働く際にどういった行動を取るべきなのか、業務に対してどう向き合うべきなのかが明確になります。そして、それぞれが主体的に行動し、ミッションを体現しようとすることが従業員エンゲージメントの向上につながっています。
https://www.starbucks.co.jp/
■Google合同会社の例
Google社では、オフィス設計において「エンゲージメントが生まれやすいこと」を重視しています。簡易キッチンが用意されていたり、それぞれの部署のフロアを通行する導線を整備するなど、従業員同士の交流を高めるための工夫が施されています。
従業員同士が自然にコミュニケーションをとれる環境を整備することによって、信頼関係の構築や一体感が生まれ、会社に対するエンゲージメントの向上にも寄与することが考えられます。
https://about.google/intl/ALL_jp/
■株式会社オリエンタルランドの例
ディズニーランドの運営で有名なオリエンタルランドは、従業員の人事評価制度の見直しを実施しています。過去には20項目以上あった評価項目を、3つに絞るなど、評価項目をより明確に整理し直しました。それによって、従業員は自分が何をすれば評価されるのか、何をすれば会社に貢献できるのかがより理解しやすくなります。
多数の従業員を抱える大企業においても、このような人事評価制度の抜本的な見直しは実践されているのです。
http://www.olc.co.jp/ja/index.html
従業員の意欲を高められる人事評価制度の設計を
今回は従業員エンゲージメントの概要や高め方についてご紹介しました。
会社の成長は「ヒト」がカギを握ります。従業員エンゲージメントが高くなければ、会社と同じ方向を向いて頑張りたい、貢献したいと思えない状態であり、すなわち会社の成長はストップしてしまいかねません。
従業員の貢献意欲を高められる環境を整備することは、経営陣にとって必要不可欠なミッションです。
中でも効果的なのは人事評価制度の正しい設計です。正しく従業員を評価することができていれば、自然と従業員の満足度・モチベーションは向上し、会社への信頼や貢献意欲もアップします。
現在、人事評価制度を導入していない経営者の方にはぜひご導入いただきたいですし、導入していてもエンゲージメントの部分で課題感をもたれている方にも、今一度自社の人事評価が正しく機能しているか見直ししていただきたいと思います。
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