KKKKK

KKKKK(ケーゴ)です。物書き。演劇の台本、ボイスドラマの脚本、朗読劇の脚本、ゲーム…

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KKKKK(ケーゴ)です。物書き。演劇の台本、ボイスドラマの脚本、朗読劇の脚本、ゲームのシナリオなど。noteでは過去作を公開していきます。

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メカヒト

■登場人物 汐川 ゆる (しおかわ ゆる) 影が薄く、臆病。 友達をつくるのが苦手で、引っ込み思案。 新生活に胸を膨らますも、結局孤立。 以後、アンドロイドに依存する。 Β (ベータ) 心を持った人型家電製品。 容姿は、20代男性を模している。 時代とともに型が古くなり、メーカーサポートも無くなる。 いたる所に欠損や傷あり。 ──────────────────── ■脚本 都市の雑音。 ゆる、買い物帰り。 鍵。ドア開閉。 ゆる はぁ… 蛇口よりコップ一杯の水。 ゆる …まずぃ。 〈大学進学を機に、私は実家を離れ、上京した〉 マンションの呼び鈴。 ゆる ぁ、はーいッ ゆる、コップをシンクに。 ドア開ける。 ゆる 〈娘の一人暮らしを按じた父親は、私の元へアンドロイドを〉 逆再生。 「をドイロドンアへ元の私」。 B 〈娘の一人暮らしを按じた父親は、彼女の元へ私を送るよう頼んだ〉 ドア閉める。 おぼつかない足取り。 ダンボール置く。開封。 ゆる&B 〈組み上げられていない、バラバラの四肢が届く〉 マニュアルめくるパラパラ。 ゆる 〈私はマニュアル片手に、パッケージ通りの〉 B 〈私を復元した〉 ボタンを押す。 ゆる わっ! B しばらくお待ちください… ゆる 眼、開いた… B …フォーマットが完了しました ゆる 〈その精巧さは、遠目に見れば人間と寸分違わない〉 B 〈センサーが目の前の彼女を視認する〉 ゆる 〈瞬き、〉 B 〈透き通る〉 ゆる 〈呼吸、〉 B 〈黒い瞳が、〉 ゆる 〈肌〉 B 〈私の顔をなめるように観察していた〉 ゆる 〈感動を超えてむしろ、私はその一瞬、女性である意味を剥奪された。 人はいつの間にか、人を創れるようになっていたのだから〉 B …… ゆる はじめまして。 (笑)…よろしくね ファイル保存。 B 〈それが、最も古い彼女のファイルだった〉 10年後。 ゆる&B 〈歳月は流れ、〉 B 〈彼女と私の暮らしは日常に馴染んだ〉 ゆる 〈私と彼の暮らしは日常に馴染んだ〉 ゆる&B 〈病に臥した時も、〉 B 〈彼女は廃棄せずに優しくパッチを当ててくれた〉 ゆる 〈彼は命令せずに優しく頭を撫でてくれた〉 ゆる&B 〈そう――気づけば、〉 B 〈私の方が彼女に支えられていたのだ〉 ゆる 〈私は彼に恋をしていたのだ〉 回想。 同居して7ヶ月、雨の駅。 ゆる あめ…。 〈予報が外れた雨の夜〉 …ぁ。 〈駅前で佇み、傘も差さず、主人の帰りを待ちわびる機械。 ショートする関節も余所に、私の為に、一本の傘を抱きしめて…〉 B、ゆるの元へ。 B …… ゆるにだけ傘を差す。 ゆる ……。 〈言葉が出なかった。 それからというもの、彼の顔を見る度、私は錆びついた頬にほっぺをすり寄せていた〉 B 〈ぬいぐるみをいつまでも捨てられない少女のように、彼女は錆ついた頬にほっぺをすり寄せてくれた。 もはや右腕の関節すら動かないのに、にも拘らず大切に、ずっと傍に…〉 ゆる 〈彼さえ傍に居てくれれば、他に何も望まない〉 雨霧に溶ける二人。 回想、了。 雫。 B 〈でも、彼女の人生は孤独そのものだ。 時と皺を刻み、終ぞ誰一人として部屋に招く事をせず。儚く消費し続けた命〉 ドクン――。 ゆる、喀血。 50年後。老婆の掠れた息吹。 ゆる 〈脈が重い。 たぶん寿命が訪れたのだろう…〉 B …… ゆる 〈それでも、私は嬉しい。だって、こうして最後まで彼の手を握れるのだから〉 ドクン――。 ゆる 〈ただ、失明する前にもう一度だけ、あなたの笑顔が見たい〉 ドクンッ――。 ゆる おはよう B おはようございます ゆる 行ってきます B お気をつけて ゆる ただいま… B お帰りなさい ゆる おやすみ B おやすみなさい ゆる (涙)…ありがと B いいえ ゆる 〈残留した思い出。それは、あなたと過ごした走馬灯。 けれど、疾走する記憶の断片に、本物の人間は、一人も描かれていなかった…〉 ドクンッ――! ゆる 〈私は……幸せだったのだろうか? 死の淵で、ごまかし続けた孤独が溢れ出てしまった〉 ザ――。 ゆるを看取るB。故障。 B 〈ノイズが激しい。 たぶん寿命が訪れたのだろう…〉 ゆる ―― B 〈それでも、私は嬉しい。だって、こうして彼女の最後を看取れたのだから〉 ザザ――。 B 〈彼女は……幸せだったのだろうか? この感情は、〉 ザザッ――。 B 〈処理しきれな……〉 ザ――、ブツッ。左耳、消音。 B 〈左のチャンネルからは音が消え、双眼は光すらも断線した〉 ビープ音。 B 深刻なエラーが発生しました。直ちに強制終了します。 〈ただ、イカれる前にもう一度だけ、あなたの声が聴きたい〉 ゆる ―― B 〈残留した思い出。それは、最も古い彼女のファイル〉 ファイル検出。 B このファイルを再生しますか? 〈彼女の声ヲ。 子守唄代わリ、に――最後のマばタキをしテ…〉 再生。 ゆる はじめまして。 (笑)…よろしくね ──────────────────── ■お借りしたSE・BGM On-Jin ~音人~、SENTIVE、Beam 効果音検索、魔王魂、効果音源、Materia-Rhythm Official Web Site、Soundsnap、Ramine、煉獄庭園、闇詠乃 功良の『つまらない曲だけど』、d-elf.com

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      ■登場人物 汐川 ゆる (しおかわ ゆる) 影が薄く、臆病。 友達をつくるのが苦手で、引っ込み思案。 新生活に胸を膨らますも、結局孤立。 以後、アンドロイドに依存する。 Β (ベータ) 心を持った人型家電製品。 容姿は、20代男性を模している。 時代とともに型が古くなり、メーカーサポートも無くなる。 いたる所に欠損や傷あり。 ──────────────────── ■脚本 都市の雑音。 ゆる、買い物帰り。 鍵。ドア開閉。 ゆる はぁ… 蛇口よりコップ一杯の水。 ゆる …まずぃ。 〈大学進学を機に、私は実家を離れ、上京した〉 マンションの呼び鈴。 ゆる ぁ、はーいッ ゆる、コップをシンクに。 ドア開ける。 ゆる 〈娘の一人暮らしを按じた父親は、私の元へアンドロイドを〉 逆再生。 「をドイロドンアへ元の私」。 B 〈娘の一人暮らしを按じた父親は、彼女の元へ私を送るよう頼んだ〉 ドア閉める。 おぼつかない足取り。 ダンボール置く。開封。 ゆる&B 〈組み上げられていない、バラバラの四肢が届く〉 マニュアルめくるパラパラ。 ゆる 〈私はマニュアル片手に、パッケージ通りの〉 B 〈私を復元した〉 ボタンを押す。 ゆる わっ! B しばらくお待ちください… ゆる 眼、開いた… B …フォーマットが完了しました ゆる 〈その精巧さは、遠目に見れば人間と寸分違わない〉 B 〈センサーが目の前の彼女を視認する〉 ゆる 〈瞬き、〉 B 〈透き通る〉 ゆる 〈呼吸、〉 B 〈黒い瞳が、〉 ゆる 〈肌〉 B 〈私の顔をなめるように観察していた〉 ゆる 〈感動を超えてむしろ、私はその一瞬、女性である意味を剥奪された。 人はいつの間にか、人を創れるようになっていたのだから〉 B …… ゆる はじめまして。 (笑)…よろしくね ファイル保存。 B 〈それが、最も古い彼女のファイルだった〉 10年後。 ゆる&B 〈歳月は流れ、〉 B 〈彼女と私の暮らしは日常に馴染んだ〉 ゆる 〈私と彼の暮らしは日常に馴染んだ〉 ゆる&B 〈病に臥した時も、〉 B 〈彼女は廃棄せずに優しくパッチを当ててくれた〉 ゆる 〈彼は命令せずに優しく頭を撫でてくれた〉 ゆる&B 〈そう――気づけば、〉 B 〈私の方が彼女に支えられていたのだ〉 ゆる 〈私は彼に恋をしていたのだ〉 回想。 同居して7ヶ月、雨の駅。 ゆる あめ…。 〈予報が外れた雨の夜〉 …ぁ。 〈駅前で佇み、傘も差さず、主人の帰りを待ちわびる機械。 ショートする関節も余所に、私の為に、一本の傘を抱きしめて…〉 B、ゆるの元へ。 B …… ゆるにだけ傘を差す。 ゆる ……。 〈言葉が出なかった。 それからというもの、彼の顔を見る度、私は錆びついた頬にほっぺをすり寄せていた〉 B 〈ぬいぐるみをいつまでも捨てられない少女のように、彼女は錆ついた頬にほっぺをすり寄せてくれた。 もはや右腕の関節すら動かないのに、にも拘らず大切に、ずっと傍に…〉 ゆる 〈彼さえ傍に居てくれれば、他に何も望まない〉 雨霧に溶ける二人。 回想、了。 雫。 B 〈でも、彼女の人生は孤独そのものだ。 時と皺を刻み、終ぞ誰一人として部屋に招く事をせず。儚く消費し続けた命〉 ドクン――。 ゆる、喀血。 50年後。老婆の掠れた息吹。 ゆる 〈脈が重い。 たぶん寿命が訪れたのだろう…〉 B …… ゆる 〈それでも、私は嬉しい。だって、こうして最後まで彼の手を握れるのだから〉 ドクン――。 ゆる 〈ただ、失明する前にもう一度だけ、あなたの笑顔が見たい〉 ドクンッ――。 ゆる おはよう B おはようございます ゆる 行ってきます B お気をつけて ゆる ただいま… B お帰りなさい ゆる おやすみ B おやすみなさい ゆる (涙)…ありがと B いいえ ゆる 〈残留した思い出。それは、あなたと過ごした走馬灯。 けれど、疾走する記憶の断片に、本物の人間は、一人も描かれていなかった…〉 ドクンッ――! ゆる 〈私は……幸せだったのだろうか? 死の淵で、ごまかし続けた孤独が溢れ出てしまった〉 ザ――。 ゆるを看取るB。故障。 B 〈ノイズが激しい。 たぶん寿命が訪れたのだろう…〉 ゆる ―― B 〈それでも、私は嬉しい。だって、こうして彼女の最後を看取れたのだから〉 ザザ――。 B 〈彼女は……幸せだったのだろうか? この感情は、〉 ザザッ――。 B 〈処理しきれな……〉 ザ――、ブツッ。左耳、消音。 B 〈左のチャンネルからは音が消え、双眼は光すらも断線した〉 ビープ音。 B 深刻なエラーが発生しました。直ちに強制終了します。 〈ただ、イカれる前にもう一度だけ、あなたの声が聴きたい〉 ゆる ―― B 〈残留した思い出。それは、最も古い彼女のファイル〉 ファイル検出。 B このファイルを再生しますか? 〈彼女の声ヲ。 子守唄代わリ、に――最後のマばタキをしテ…〉 再生。 ゆる はじめまして。 (笑)…よろしくね ──────────────────── ■お借りしたSE・BGM On-Jin ~音人~、SENTIVE、Beam 効果音検索、魔王魂、効果音源、Materia-Rhythm Official Web Site、Soundsnap、Ramine、煉獄庭園、闇詠乃 功良の『つまらない曲だけど』、d-elf.com

      • ステージ

        俺たち3人は少し特別な関係だった。 演劇部の生き残り、とでも言えばいいのか。 先輩は卒業して後輩は入部なし。 3人だけの演劇部だった。 俺と坂木は裏方。 深華だけがたったひとりの役者だった。 俺が深華を照明で輝かせ、坂木が深華を音響で色付ける。 俺たちは上手くやれていた。 部活の仲間であり、男女の関係ではなかった… あの真夏の大雨の日までは。 練習を終え、俺と坂木は自転車を漕いでいた。 坂木は「ちょっと寄り道する」と細道へと消えた。 俺は真っ直ぐ家に帰るつもりだったが、

        • 仕事依頼

          作品の使用許可や書き下ろしの依頼などは、下記のリンクより「この作者に連絡」からお問い合わせください。 はりこのトラの穴 https://haritora.net/script.cgi?writer=1831 注意事項 ・基本的に1週間以内にご返信しております。 ・1週間以上も返信がない場合、こちらのコメント欄にご連絡ください。 ・私的な理由により使用許可や執筆依頼をお断りする場合がございます。

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        メカヒト

        メカヒト

          圏外

          ■登場人物 鳩坂 時重 (はとさか ときえ) 45歳。主婦、兼、パート。 サバサバした性格。独り言が多い。 愚痴をこぼすものの、結局自らの手でやってしまう。 鳩坂 もも (はとさか もも) 18歳。高校三年生。CDショップアルバイト。 根暗なインドア少女。 付き合う相手に染まりやすく、服従型。 倉田 灰 (くらた かい) 享年21歳。大学三年生。CDショップアルバイト。 明朗快活。酒豪。 虹 渉 (にじ わたる) 3

          水槽

          ■登場人物 雨野 囚 (あまの しゅう) 22歳。元・WEB制作会社社員、現・無職。 ネガティブ思考の憂鬱質。内向的性格。 人魚に異質な愛情をそそぐ。 人魚 年齢不詳。謎の怪魚。 幼い声に老けた台詞、人を見下す傾向がみられる。 ナマイキで横柄なものの、憎めない。 御手洗 マリネ (みたらい まりね) 23歳。WEB制作会社社員。元・雨野囚の彼女。 過保護で尽くすタイプ。先天的なダメ男好き。 ────────────────

          生花

          ■登場人物 涼白 小百 (すずしろ さゆ) 17-22歳。高校二年生-女優。 偽善者。根は高慢で、唯我独尊。 華々しい世界に強い憧れを抱く。 箔里 支依 (はくり しえ) 17-22歳。高校二年生-大学四年生。 気さく。バイタリティ溢れ、常時ハイ。 生き甲斐は一日中遊ぶ事。 字都 奏介 (あざと そうすけ) 17-22歳。高校二年生-盆栽職人。 ナチュラル。誰にも飾らず接し、ゆるい。 直感で行動、基本眠い。 藤宮 成

          自己紹介

          KKKKKです。 Kが5個で「ケーゴ」と読みます。 私は演劇の台本、ボイスドラマの脚本、朗読劇の脚本、ゲームのシナリオなどを書いておりました。 noteでは過去に書いた作品の一部を公開しております。 リンク KKKKK scenario (ボイスドラマの脚本のみ) http://kkkkkplayer.xxxxxxxx.jp/ はりこのトラの穴 (過去の作品すべて) https://haritora.net/script.cgi?writer=1831 実績演劇の台

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