🚲【ゲストコラム】自転車トライアル元世界チャンピオン・有薗啓剛さん〜「まずは自己紹介」〜#1/4

オージーケカブトはオートバイ／自転車関連の各方面で活躍するご本人によるレポートやコラムなどを掲載中。今回は、自転車トライアル競技の元世界チャンピオンで、現在は自転車パフォーマーのかたわら、子供たちのストライダー教室やMTBの普及活動などを行う有薗啓剛さんに執筆いただきます。

🙇はじめまして。アリゾノケイゴウと申します。

僕は現在プロMTBライダーとして活動をしております。
まずは僕のことをより知っていただくためにMTBとの出会いから現在の活動、そして今後の目標などを数多くはないですが、エピソードを交えながら書かせていただきます。
どうぞお付き合いくださいwww

まずは、自己紹介から。。
京都府出身1978年生まれ。
専門種目は自転車トライアル。
小学6年生よりMTBに乗り始め、草レースに出場していきなり優勝したことをきっかけに両親がド・はまり。MTBと共に人生を歩むこととなりました。

自転車パフォーマンスユニットK&Dとしても活躍中

以降、現在までをざっくり言います。
競技としては、数々のトライアルの大会に出場し、1996年(高3)には初となる海外遠征を果たします。
トライアルでは、初出場にして「26インチエキスパートクラス世界チャンピオン」という称号を手に入れることができました。
国内においては、1995年から2002年までの8年間チャンピオンの座を守り続けることができ、とんとん拍子で数々のタイトルを手にすることができました。

競技生活を送ったのち、自転車の魅力を多方面に広めたい！との想いからパフォーマーとしての活動を過ごします。
当時、某テレビ番組から派生した「マッスルミュージカル」という舞台などで活動。

オリンピック経験者を含むトップアスリートが中心となって舞台でパフォーマンスを繰り広げた「マッスルミュージカル」

その数年後には縁あって、シルク・ド・ソレイユのニューヨーク公演“Wintuk”という作品に出演することに。さらにその後は国内パフォーマンス集団「PADMA」のメンバーとしても舞台も経験しました。

パフォーマンス集団「PADMA」メンバーとしても活動

そして現在は指導者として、自転車の魅力を伝えつつMTBの普及活動と安全なサイクルライフを送ってもらうための安全啓発活動を積極的におこなっている、という感じです。

以下、あらためて幼少期からさらに詳しく紹介させていただきますね。

🏥とにかく病弱で、奇跡の“蘇り”を経験?!

幼少期はとにかく病弱で入退院の繰り返し。
5歳の時には喘息の発作で心臓が止まり心電図の波線が一直線“ゼロ”になったこともあり、死からの復帰を成し遂げた…という今となっては自慢話ですwww

親としては何か運動を通じて健康的な生活が送れることを願っていたようですが、心肺機能が鍛えられる持久系の運動全般、本人的には息苦しくてやりたがらなかったそうです。
有薗少年が唯一自ら興味を持ったのが“自転車”。
乗り始めた時期は小学生になるタイミングで、補助輪なし自転車に乗れる極ごく普通の少年でした。

ただ、乗り方が少し変わっていたかもしれません。

水たまりを両足を上げて突っ切ったり、砂場の中を突っ切ったり、わざわざ泥々の進みにくい場所を走ったりすることが好きだった記憶があります。
いつしか階段を降りてみたり、段差を登ったりする遊びへとエスカレートしていきました。

兄のお下がり自転車を乗り回していた有薗少年ですが、小学３年の頃に新聞チラシで見た、真っ赤なフレームにブロックタイヤを履いた“なんちゃってBMX”にクギ付け、特売だからと親におねだり作戦の末、ついにMy自転車を手に入れることができました。

ここから有薗少年の自転車遊びが加速し始める訳です。

🚲なんちゃってBMXから本格MTBへ！

小学５年生の頃、ちょうどその当時はMTBプチブームとでも言いましょうか、近所では小・中学生がMTBに乗っている子が多かったですね。
有薗少年が乗るなんちゃってBMXと近所の同級生が乗る変速機付きのMTBとでは性能に明らかな違いがあり、同級生のMTBを借りてはウイリーをしたり、ジャックナイフをしたり、友達同士競い合いながら遊んでいました。

この時すでに自分のBMXには興味がなく、MTBのカッコ良さにゾッコン、毎晩MTBが夢に出てくるくらいMTB欲に侵されていました。

ある日、自転車屋さんでもらったカタログを両親に見せてMTBについてプレゼンしますが、両親にはライト/カゴ/スタンド/泥除けなどの装備がない実用性に欠けた自転車を、当たり前のように反対されました。

それでもしつこくMTBの話をして、少しずつ溝を埋めていくプレゼン作業をすること数ヶ月…なんとか話を聞いてもらえるようになり、最終手段として、
「これまで貯めていたお年玉を全部出すから！」
で、ようやく交渉成立。念願のMTB(ミヤタ／リッジランナー)を手にすることとなります。
当時の価格で７万円。本当に嬉しくて毎日磨いて毎日眺めていましたねww
とにかく大切に使っていました。

まず、新車のMTBで向かったのは、特売BMXでは登れなかった山。
フロント３速、リア７速の21段変速を必要以上にガチャガチャとギア変速して、はぁはぁ息を切らせながらなんとか登頂に成功、小さな目標をクリアした瞬間で、なんとも言えぬ達成感を味わいました。と同時に、じつはこの頃には自転車遊びのおかげか、カラダも強くなり、悩まされ続けていた喘息もすっかり気にならなくなっていました。

🏁クロスカントリー大会に出場?!

いつしか次の目標は、MTBのレース大会に出場すること、になりました。
近所でいつもMTB好きの小・中学生の面倒を見てくれていた大学生ライダーの誘いで、’91年9月に伊吹スキー場(滋賀県)で開催されたクロスカントリーのレースに出場しましたが、結果は惨敗。
持久系の種目には向いていないことを痛感させられました。

そして運命のギアはまた切り替わります。その１ヶ月後、近所の自転車屋さん主催による草レース大会(花背スキー場)に出場することに。
「トライアル」という種目にエントリーしましたが、“コース上で足を着いてはいけない”ということ以外、ルールもわからないままのエントリー。

前日の雨によりこの日のコースは、マッディなコンディション。自転車をコントロールしていくつかのコースを順調にクリアできました。
結果は…なんと、優勝！
超絶嬉しくて、このとき自分はスピードや持久力ではなく、技術を駆使してバイクをコントロールすることが好きなんだ、と確信した瞬間でもありました。

初めて登る表彰台、しかも一番高いところに立つ感覚は特別で、今だにその時の感覚が蘇ります。親と帰りの車内で、当日のコースや走りについて、テンション高めに話していた記憶も鮮明に残っています。
いま思えば、小さい頃に砂場やドロドロの場所で自転車遊びをしていたことが、この日のマッディな、簡単ではないコースコンディションを上手く走破することにつながったのかもしれないな…と。

そして間違いなくこの日を境に、両親に火がつきました（笑

次回は、選手時代のエピソードを中心に、聞きなれない「トライアル」という競技についてご紹介させていただこうと思います。
（#2 へつづく）

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📹有薗さんがインタビュアーになって女子自転車競技メダリスト・梶原悠未選手に聞いてみた！👇