🚲【ゲストコラム】ギネス記録の超ロングライダー・落合佑介さん（第2回）「アメリカ西海岸1500㎞レースへの挑戦」～長距離を走る準備とは？～

2022年10月19日 18:41

オージーケーカブト公式noteです。
オートバイ用／自転車用ヘルメットのメーカーとして、各ジャンルのライダー、アスリート、個人やチームのヘルメットをサポートし応援しています。

いまKabutoが応援する、各シーンで頑張っている「人」を通じ、その方が関わる世界をより深く知っていただきたく、ご本人によるレポートやコラムなどを掲載しています。

今回は、自転車での日本縦断最速ギネス記録を保持し、世界の長距離イベントへ挑戦する落合佑介（おちあい・ゆうすけ）さんに執筆いただきます。（全4回を予定）

（▼第１回自己紹介編）

第２回では1500㎞のレースを走る上での準備や、日ごろのトレーニングについて執筆していただきました！

🚲1,500㎞のアメリカ西海岸レース、Race Across the West(RAW)を走る準備とは？

1,500kmのレースと言われても、想像しにくいですよね。
距離で言うと、ルートにもよりますが、東京～大阪約525㎞、東京～福岡県北九州市は約1,050㎞、東京から～鹿児島県の最南端佐多岬までが約1,500㎞です。

所要時間は、1日200㎞ずつのペースなら約1週間、300㎞なら5日間かかります。RAWでの制限時間は92時間ですので、約4日間です。1日400㎞弱を走らなければ完走できません。

しかもコースの大半は砂漠地帯で、連日日中は平均40℃の中を走り続けます。また、標高2,600mの地点では10℃以下の中を下ることもありますので、冬に使うようなジャージ類も必要になります。
ジャージの種類を間違うと、寒暖差で走れなくなりますので最適な服装を選ぶことは重要です。サポートカーに積み、荷物を持たなくても良かったものの、着替えるタイミングの判断には気を使います。

こういった準備は変化に富んだ長距離レースならではの準備です。

🚙サポートカーはアメリカレースの必需品

RAWや来年出場を考えているアメリカ大陸横断Race Across America(RAAM)はレースであり、必ずサポートカーを同伴させて走らなければならないルールとなっています。
サポートカーは何台でも可能ですが、今回は1台で、現地でミニバンをレンタルしました。そのサポートカーのボディーには、指定された機材の取り付けが必要です。
例えば、私のゼッケンナンバー「R140」のほかに、一般の車に自転車レースをしていることを認識してもらう目的で「RACE ACROSS THE WEST」「LIVE COVERAGE」「CAUTION BICYCLES AHEAD」のステッカーを目立つように貼り付けます。

その他、後方からの視認性をあげるため、アンバーライトや低速走行マークの三角反射板等を取り付けました。さらに屋根の上にはルーフキャリアバッグを取り付け、少しでもサポートを効率的に行うため、レース中に必要ない荷物を積みました。

車内には予備の自転車1台と私をサポートする機材や食料、そしてクルーの荷物を整理整頓して積む作戦です。
しかし時間が経過するにつれ、段々と疎かになったようで荷物の置き場所が変わったようです。ゴール時には水の入った2.5ガロン（約10リットル）の容器が10個程残っていました。

レースの走者はもちろん、クルーがサポートをするための準備も必要となってきます。

🚲快適に走ることを求めた機材

ここからは機材やトレーニングなど「普段の準備」についてお伝えしていこうと思います。

私はロードレースに殆ど出場したことがありませんので、レース用の機材知識は乏しく、速く走る機材≒固い機材（※ペダルを踏んだ力がそのまま推進力になるような機材）という程度の認識をしています。

しかしロングライドで求める私の要件は、快適でストレスのかからない事が重要で、距離が延びる程に、身体が痛くなることを防ぐため、クッション性（※推進力としなやかさを兼ね備えた）のある機材を求めます。そのため、レース＋ロングライドで使用できる機材をバランスよく選択しています。

例えば、ヘルメットやアイウェアではオージーケーカブトの製品を選択しています。イザナギはそのエアロダイナミクスにより速さを求めつつ、暑い砂漠地帯での空冷効果やアイウェアとの組み合わせによる快適性がストレスを緩和してくれます。
個人的に気に入っているものはアイウェアホールド機能です。ヘルメットにはノンスリップラバーが同梱されているのですが、これにより疲れて外したアイウェアを落とさずに済むのです。特に登坂の速度が緩むときに使用します。
どのアイウェアでもそうですが、長時間使用し続けると、耳の部分が痛くなります。これを休めるためには、ストレスなく、ヘルメットに取り付けるのが一番良い方法です。その機能を実現しているのが、オージーケーカブトのアイウェアホールド機能なのです。

🚵毎日の通勤がトレーニング

普段のトレーニングは仕事への通勤往復です。
主に近くの峠や農道など平地以外の場所で練習しています。週5回走って距離300～350㎞、獲得標高7,500mを目指しています。

強度は上げずに坂道でも自分がラクだと思うペースで、走り続けられるようにします。そうすると、疲れは溜まりにくくて週５回が多いとも思えず、精神的にもラクになります。

実質的なロングライドは、ブルベのようなイベントがあるときにしか走れません。
家族の中では自転車は趣味と思われています。そのため多くのお父さんと同じように、長時間乗り過ぎると家庭内での立場が危うくなります。。。

⚠️長距離を走る上で気をつけていること

普段から自分自身について理解しておくということです。特にロングライドでは数日間走り続けるときがありますので、自己管理能力について問われることが多いです。
例えば、数日間走ると天候や寒暖に違いが出ます。同じ時期でも、猛暑の中、坂道を上ったり、土砂降りの中、峠の上から下ったりすることがあります。私は週5回の通勤を有効に活用し、天候に関係なく練習をしています。日ごろの積み重ねがどのような環境下でも走り続けられるような身体づくりに繋がっています。

それと同時に、雨天や濡れた路面でも安定して走れるように練習しています。
日ごろからウエットな環境に慣れておくことでロングライドに生きてくるだけでなく、撤退するかどうかの判断、撤退後のマネジメント能力も磨かれます。
特に真冬の雨は長時間の我慢を強いられ、雪に変わる可能性もあるので状況によっては直ぐに出走を止めてしまうこともあります。

一般の社会人ですから、普段は職場に迷惑かけないようにすることを一番に考えています。(RAWやRAAM出場している時は長期休みをいただき、ご迷惑をおかけしていますが・・・)
RAWもRAAMもソロ出場ですので、私が事故、転倒すれば、次の大会を辞退しなければなりません。安全に走れるように、交通ルールを守って走るように常に心がけることを大切にしています。

今回はRace Across the West（RAW）の準備のほか、普段の練習風景も交えてご紹介いたしました。次回からはRAWのレース本番についてお届けいたします。

次回へ続く

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