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世界7大陸最高峰空撮プロジェクトを応援する

早いもので、冒険研究所書店をオープンしてそろそろ半年が経つ。

書店として古本と新刊を揃えているが、ギャラリースペースも併設し、現在は探検家でノンフィクション作家の角幡唯介による「北極の10年展」を開催中だ。

彼と私は、10年前の2011年にカナダ北極圏を1600km歩く遠征を行っている。「アグルーカの行方」という彼の著作にまとめられた旅であるが、ギャラリーではその時に撮影したビデオ映像を編集し、10年間門外不出だった動画を初公開している。今月いっぱい上映中。

来月の冒険研究所のギャラリーでは、友人で写真家の山本直洋さんのモーターパラグライダーの空撮写真展を行う。

山本さんは、モーターパラグライダーというエンジン付きのパラグライダーでの空撮を得意とする写真家だ。

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山本さんは、来年1月から「世界7大陸最高峰空撮プロジェクト」を行う。

世界最高峰エベレストをはじめとして、北米、南米、アフリカ、ユーラシアなどの各大陸最高峰を自分で飛びながら、その上空から撮影するという前人未到の挑戦となる。

冒険研究所書店では、1月から始まる、世界7大陸最高峰の空撮プロジェクトを応援していく。

これから7大陸全てを撮影していくには、長期の計画となる。資金も必要。山本さんの写真集を販売中だ。ぜひ写真集を買ってください。1月のキリマンジャロで1日分の食費の助けにはなるでしょう。

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そうやって、来たお客さんにも説明したり、色んな人と話していると、多くの場合「ドローン」というキーワードが出る。

「ドローンでカメラを飛ばしても撮れそうなのに、なんでわざわざ人間が飛ぶの?」と。

昨日、一緒に2年前の北極も歩いた写真家柏倉陽介が来て、山本さんの写真集を買いながらその写真を見て「いや、この写真はドローンじゃ撮れないんですよ」と言った。

それはなぜか?写真とは、その場の光を捉えて、その瞬間の心に捉えたものを写真として写すもの。ドローンでいくらカメラを上空に飛ばしたとしても、その時に人間が見ているのは、ドローンから送信されてきた映像を手元のタブレットに映されたものでしかない。

自分の目で見て、心で感じたものを捉える。ふと視界の端に捉えたものを振り返った時に見たものの驚き、美しさ、その生の光、そういうものはドローンでは捉えられないのだ、と柏倉陽介は言っていた。

もう、その通りだと思う。ドローンでカメラは上空に飛ばせるが、人間の生の目は人間が飛び上がらないといけない。ただ測量するとか、図鑑の記録映像であればドローンでも良いが、人間の営みを写真という手段で写すには、人間が飛ぶ必要があるのだと思う。

ドローンで飛ばせば人間が飛ぶ必要なんてない、というのは、Amazonがあるんだから街に書店なんて不要でしょう、という議論と同一線上にある。機能を果たせば人間の営みは無駄である、という議論だ。

写真家が撮影するというのは、撮影という機能を果たせば良いのではない。そこには、機能化できない人間の営みがある。それは、冒険クロストークのテーマでもある「機能と祈り」にも通じる。

なぜ自分が山本さんの空撮を面白いと思うのか、それはある意味で無駄なことをしているからだとも言える。誰に頼まれたわけでもなく、それをやらないと誰かが困るわけでもない。でも、彼は心が動いた。自分が目指すものに対して、心が動いたから実行する。それで充分だ。


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