青木保「文化の翻訳」を読む
文化庁長官や、国立新美術館館長などを務められた人類学者の青木保さんによる著書「文化の翻訳」を読んだ。
これは、1978年に初版されたもので、当時40歳の青木さんによる人類学者として異文化世界に入り込むジレンマを、これでもかと思索を深掘りした記録だ。
冒頭の章「異郷の神を畏れつつ」では、漆黒の真の「闇」に包まれる、山深いタイの僧院での体験が綴られる。
タイでは「ピィー」という「悪霊」の存在が語られる。青木さんによれば「ピィーは英語ではspiritとかghostとか訳されて