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テラハ事件を「お気持ちヤクザ」のオモチャにしてはいけない(の続き)

前半はこちら

ー「書いちゃダメ」はダメー
誤解を恐れずに言えば、リテラシーの低い人達によるいわれのない誹謗中傷も「表現の自由」、制限してはいけません。これ言うと怒り出す人がいますが、そもそも「表現の自由」という呼び名が間違いで、正しくは、

 ✕表現の自由 じゃなくて
 ○表現の責任

ですからね。「好きなことを自由に主張して良い権利」じゃなくて「好きなことを自由に主張し、その責任を自分で背負う義務」です。

「殺すぞ」と投稿するのも自由。責任とって逮捕されて下さい。相手に損害を与える投稿もどうぞご自由に。訴えられて賠償金で責任を果たして下さい。過剰なバッシングで相手を追い込み、悲劇を招いたのなら、その内容に応じて、然るべき法的責任を果たして下さい。

責任を負わせる為の法整備はまだ不十分で、投稿情報の保全や対象者特定のハードルなど、改善すべき点は山ほどあります。が、それは別の問題です

何を書いても自由、何を言っても自由、あなたの責任でヨロシク。誰も止めないから自分で責任取ってね。これ以上でも、これ以下でもありません。そもそも相手の主張を止める権利なんて誰も持っていませんから。「書いちゃダメ」は道徳の話、自分で決めることです。


ーお気持ちヤクザー
ですがその「誰も持っていないはずの権利」を声高に主張する人達がいます。お気持ちヤクザの皆様です。東に「休日に遊んだ」という投稿があれば

 「休めない人間の気持ちを考えろ!消せ!」

とバッシング、西に「内定もらった!」投稿があれば

 「就活中の学生の気持ちを考えろ!消せ!!」

もっとこじらせると、

 「萌え絵ポスターはセクハラだから回収しろ!!!」

と関係者に圧力をかけ

 「あの雑誌の記事で傷ついた、廃刊にしろ!!!!」

と出版社に押しかける。「その表現で傷つく人がいる」「その発言で不快にさせられた」という、それ、あなたの個人的な気持ちですよ?を「社会の悪」に変換して大騒ぎする人達。「不快だ」「嫌いだ」と主張する自由を「不快だからやめろ」「嫌いだから消せ」に履き違えてしまう人達。それがお気持ちヤクザ。

お気持ちヤクザ


ー「表現の自由」の自殺ー

残念ながらお気持ちヤクザ達がやっていることは、そのままブーメランとして彼らの頭に突き刺さります。だって、

「『その主張で傷ついたから消せ!』という主張に傷ついたから消せ!」

と反論されたら何も言えませんからね。表現の自由を自らドブに捨てる行為でしょう。表現の自由って自分の気に入らない表現でも、その存在を認め我慢する修行でもあるんですよ。それができない人には、漏れなくブーメランが飛んできます。

そしてテラハの事件以降、頭にブーメランが刺さった方々が、なぜか元気にウォーミングアップを始めてるんですよね。「自分たちは誹謗中傷された被害者だ」と思ってるんでしょうか。まわりに「それ、ブーメランだよ」って教えてあげる人は……いないんでしょうねぇ。

法の整備が進み、表現の自由が理解され、誰もが自分の発言に責任を持つようになれば、それだけで今よりもっとマシな言論空間が作れるはず、というかそれ以外、私たちにやれることはありません。そして残念ながら、そこにブーメランズの出番はありません。


ー誹謗中傷の被害者に伝えたいことー
最後に、ネットで攻撃にさらされ傷ついている人に知って欲しいことがあります。「私は世の中の大勢から批判されている」なんて思っちゃダメですよ。だってそれ間違ってるから

SNSへの誹謗中傷やネット炎上に加わっている人は、世の中のごく一部です。1万件の批判意見の裏には、100万件、1000万件の

 「どっちだっていいじゃん」
 「別に悪くないでしょう?」
 「騒いでる奴らヒマなの?」

という見えない人達、敵じゃない人達がいます。バカ騒ぎに加担するほど暇じゃないから投稿しない、だから全く見えないんです。でもいるんです。見えないだけなんです。「あのタレントに攻撃してやったよ」とか「批判を拡散させておいたよ」なんていう暇なおバカさんに会ったことあります? 無いでしょ? ネット上の攻撃者なんてそれくらい少数派なんですよ。だから「世の中の大勢から批判されている」なんて思い詰めちゃダメですよ、絶対ダメです、損ですからね。

おしまい

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