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「人間の土地へ」小松由佳


#読書感想文

今日の1冊!

「人間の土地へ」著作:小松由佳を読んだ。

昨年後半に世に出た本らしいが知らなかった。本屋をプラプラ歩いていたら見つけ即購入し一気に読破した。この本に出合えたことを感謝する。やはり定期的に大きい本屋を歩くことが必要なのだ。


筆者は、かなり前にK2登った話を読んだことがあった気がする。とても文章もよく(筆者自身が書いた分か、新聞記事だったかの記憶が曖昧)覚えていて、その後どんな活動しているのかたまに気になっていた。

その筆者の本が売っているだけでビックリだが、シリア内戦も絡んでいて、とても興味深い1冊になっている。


序盤の、登山シーンは迫力があり命を危険にさらしても、「なぜ山を登るのか」ということ意味が文章から熱く伝わってくる一級品の登山ノンフィクションである。

そこから舞台がシリアに移る。遊牧民たちの、日本人とは違い価値観で生きる人々が生き生きと描かれている。そして日本人的なお金も固定給なくとも、幸せな生き方があることを問いかけてくる。

そして、そこからシリア内戦が始まる。独裁国家の恐怖・一方で平和である程度豊かで暮らしやすい国シリアの複雑な歴史と、それから始まった泥沼の内戦、戦争の恐怖、歴史ある街を破壊する戦争の虚しさ。難民キャンプの問題等が一気に文章からあふれ出てくる。

そしてこの本は、また国際結婚で結ばれた1組の夫婦の恋愛物語でもある。

今たくさん語られている「多様性」についても考えさせられる本である。

多くの人に読んでもらいたいと思う1冊である。


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