見出し画像

変えずに守る、でも取り巻く環境は変わっていく。その時どうする?②

饅頭はいつまでも安い物。という認識とは裏腹に物価も変わっていく

前回の記事の続きで、小豆のお話から。

たまに、和菓子通だからこその質問をされることがあります。
「小豆は北海道だけじゃなくて色々あるでしょ、丹波大納言とか」
「備中白小豆ですか?」

誰でも聞いたことのあるような有名どころの
希少価値が高い小豆はとれる量も少なく、価格の安い饅頭のこしあんにしてしまうようなものではありません。
皮ごとを活かして粒あん、かのこなどにして
トッピングや上生菓子、少量で作る物でなければとても手が出る値段ではないので、使うなら饅頭が超高級品の値段になってしまいます。

それで高級品として売れるなら良いですが、
例えば1個500円で、見た目普通の小さな饅頭、買いますか?

「饅頭は気軽に、お茶菓子に食べられるもの」

社会的な認識もそういったものですが、(そのせいで、いつまで経っても安いまま値上げができない業界の悩みはよく聞きますが、それはまた別の話として)
どんなに良い物を使っていても、ある程度までしか値段はつけられません。


当店としても、饅頭は日頃のおやつであってもらいたい。そして

「神参りのお客様に、最高の品物を」という精神から、まごころ込めてこだわり続けた、昔から変わらない味をお客様にお届けしたい。

その信条を守ることは大切にしたいと思っています。
しかし小豆だけで収まる話ではない、昨今の全ての原価上昇に
「どこまでならいいのか・・・?」
と頭を悩ませています。
 物価が上がっても、収入が倍にでもならない限り
人が出せる金額はそう変わらないものです。

変えていくものと、変えずに守るもの。


時代の変化に合わせて、また、法令によって、取引先のルールによって
どうしても変えていく必要があるものは当然あります。
そして、「今、人がほしいと思っているものやトレンド」を取り入れることも商売をする上では必要なことでしょう。

古いものに固執して、変えずにいることが必ずしも正解ではない。
誰かが買ってくれないと商売として成り立ちません。

菓子司小川屋も、ずっと自社製造の饅頭と煎餅のみを販売し続けてきた店ですが、
時代の変化もあり、「それだけではだめだ」と
新しいことへの挑戦を続けています。

ただ、「変えてはいけない、ブレてはいけないもの」もあると思っています。

「そうそう、これ。この味。」
昔から変わらない味を求めて、しかも何世代にもわたって
うちのお客様は足を運んでくださっている。
だから、期待を裏切らないために看板商品の「味を変えずに守ること」が第一。
原料が高騰しても、身を切りながらでもこの1点は守り続けてきました。

とはいえ、ずっと続けていくための問題は山積しています。

ここ数年は値上げをしてもすぐに物価が上がって利益が出ず、
価格が上がれば当然購入数は減り、お客様が離れてしまう怖さも常にある。
その上施設・設備の老朽化、人手不足等々。
小規模な商売を長年しているところは皆同じだとは思います。

とりあえず今は、出来るところまで
その先は見えませんが、いろいろ考えながら頑張っていきたいと思っています。

次回は当店の新しい商品「琥珀糖」についてのお話にしようと思います
気になる方はスキ&フォロー、シェア大歓迎です。
コメント、ご意見などもお待ちしています。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?