見出し画像

変えずに守る、でも取り巻く環境は変わっていく。その時どうする?①

人の味覚も変わっていく

前の記事で、昭和から変わらない材料、製法で作っていると書きましたが
昔はこのあっさりした甘みが他にはなく「黒くて甘くてあくのあるあん」が多かったため、
「あそこは砂糖を減らしているんだ」などと言われたものですが、その上品な味が1つの差別化でもありました。
 
今は世の中が「あっさり低甘味」が主流になり、スーパーなどで見かける和菓子類やあんぱんなども「あっさり味のあん」が普通になりました。
 
そのあっさり味を生み出しているのは、主に低甘味の甘味料が使われていたり、調整されているからなのですが、
小川屋は昔ながらの製法・材料を変えていないため
使用しているのは砂糖、水飴、はちみつのみ。
他の甘味料や人工甘味料などは使っていません。

なので、作るものはずっと変わっていないのですが
本来の砂糖の味が舌に残るため、今では逆に後味が「甘い」といわれてしまっています。
人々の味覚も時代とともに変化しているのでしょうね。
 
砂糖には甘さだけでなく、生地の色や質感を保つなど様々な役割があります。低甘味にしたいからと言って単純に置き換えると商品のバランスが変わってしまうこともあるので、そう簡単にはできません。

何より小川屋としては、シンプルな材料だけで、昔ながらを変えないことが1つのこだわりとして残すべきことなのかなと思っています。
 

原料も変わっていく

砂糖の話をしましたが、今度は小豆についてのお話。

あんこものには「北海道産小豆」の表記、よくみかけますね。
今時、北海道産小豆100%を使った自家製餡というのは
原価からして考えられないそうで、うちもよくバイヤーや同業者から
疑うような質問をされることがあります。

実際、もうけを考えていたらできない価格です。
でも、代わりになるものがない。変えたら明らかに味が変わってしまう。
なじみのお客様だってすぐに気づきます。
なので味を守るために、考えられないような値段であろうと、
変わらずすべて北海道小豆を使用しています。

しかし、これもいつまで続けられるかわからなくなってきています。

全体的に和菓子が廃れ使用量が減っているからとか、
育てるのが難しい上に取れ高が悪いとか
そもそも海外輸入の安い小豆に押されてしまっているからとか
理由は色々聞きますが、小豆の生産量自体がどんどん減っていて、
しかも近年災害などで量が確保できないことも続き、価格が高止まり状態。

そしてさらに悩ましいのが、品種改良でも味が微妙に変わってしまうこと。
最近取れ高が良い改良種が主に出回り、こちらが納得できる質の品種が無くなってきているのが現状です。

あんを大量に使われる企業は、大体あんも自社製造ですが、
自社の畑を北海道に持っているというところもあります。

そうでもしないと安定した品質・価格・量が確保できなくなっている。
生産者を安定的に守るということも大切なことですが、この話はまた後日にしたいと思います。

お堅い話が長くなりそうなので続きはまた次回。
気になる方はスキ&フォローお待ちしてます。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?