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#003 仕事って何だろう?

割引あり

1. 仕事の定義

前回は、経済全体と日々の仕事の接点となる付加価値について考えてみました。付加価値とは、対価である売上高から外部購入価額を引いたものです。
企業経営者にとっては、粗利、売上総利益、限界利益などと呼ばれる指標とほぼ同じ意味でした。
仕事の金額的価値そのものと言っても良いと思います。

それでは、「仕事」とは何でしょうか?

中小企業の付加価値経営を考えるにあたって、まず仕事についてしっかりと定義する事が必要です。

インターネットで調べると、次のような事が仕事として定義されています。

何かを作り出す、または、成し遂げるための行動。「やりかけの仕事」「仕事が手につかない」

生計を立てる手段として従事する事柄。職業。「将来性のある仕事を探す」「金融関係の仕事に就く」「週の半分は自宅で仕事する」

したこと。行動の結果。業績。「いい仕事を残す」

デジタル大辞泉

何となくのイメージと合致する部分も多いかもしれませんね。

企業経営や付加価値との関係性を考えたとき、筆者は仕事とは次のように定義しています。

仕事 = 顧客へ提供する価値の生産を代行すること (価値生産の代行業)

顧客へ提供:
 → 仕事には必ず顧客がいて、仕事の結果が提供される先を示します

価値の生産:
 → 仕事を通じて顧客にとって有用な価値が生み出されることを示します

代行すること:
 → 仕事を通じて顧客の代わりに自分たちが生産を行う事を示します

そして、この仕事の金額的価値が付加価値となります。

2. 仕事の範囲

具体的な仕事のイメージを固めるために、筆者も好きなラーメン屋さんを例にとって考えてみましょう。

もちろん、ラーメン屋さんではなく身近な仕事や、自分の仕事に置き換えて眺めていただいても結構です。

ラーメン屋の仕事

(1) 顧客はラーメン屋で自分の食べたいものを注文します(発注)
(2) ラーメン屋は仕入先から仕入をして、ラーメンを作って提供します
(3) 顧客がそのラーメンを食べ(消費)、代金を支払います。
(4) ラーメン屋は仕入先に仕入費用を支払います

顧客から受け取る代金の総額が売上高となり、仕入費用の総額との差が付加価値という関係になります。

ここで皆さんに「仕事とは何ですか?」と聞くと、「ラーメンを作ること」という回答が多いのではないでしょうか。

先ほどの仕事の定義に則って考えるならば、ラーメン屋の仕事とは、顧客へ提供する価値の生産を代行する事です。

顧客へ提供する価値の主なものは、ラーメンそのものです。
その意味で、ラーメンを作ることというのは、ラーメン屋さんの仕事の根幹となる部分と言えるかもしれませんね。
一般的な企業(特に製造業)で置き換えれば「製造」という工程です。

一方で、顧客に提供している価値とは、ラーメンという現物だけでしょうか?
顧客からすれば、おいしく食べられる空間(店舗)や時間、自分で作るよりも本格的でおいしいという製品そのものの魅力・満足感、店主との心地よい会話なんかも含まれるかもしれません。

ラーメン屋からすれば、この提供される価値には、顧客の代わりに代行した全ての行為が含まれなければいけません。

例えば、ラーメン屋はおいしいラーメンを作るために調理技術を習得し、メニューの研究を行います、一般的な企業で置き換えれば技術投資をしています。
顧客に安心して食べてもらえるための店舗を構え(家賃、光熱費など)、顧客の代わりに調理するための器具を揃え(設備投資)、より多くの良質なサービスを提供するために従業員を雇い教育します(雇用、人材投資)。
場合によっては配達もします(配送)。
更に、材料を購入したり(調達)、会計処理をして(決済)、支払いや税金を納めます(経理)。

上記の全てが、顧客にラーメンを提供するために、ラーメン屋が行っている行為と言えます。
これらすべてが、仕事に含まれるわけですね。

当然、これらの支出を賄うには、それを価格に含めて顧客から受け取る必要があります。

顧客からしても、単にラーメンという商品を買うというのではなく、ラーメン屋が代行するプロセス(仕事)に対する対価を代金として支払うという事になります。

3. 顧客への提供価値

上記で説明した仕事の範囲と価格は、提供するラーメン屋が自分たちの事業を成り立たせるために必要な設定です。

一方で、顧客からすると、サービスへの対価としてその価格に満足できるかどうかは別問題ですね。
必ずしもその価格とサービスで満足し、次回も来店してくれるとは限りません。

もしかしたら不満を感じ、今後は競合店の方を選んでしまうかもしれません。

顧客へ提供する価値が、合理的に生み出され、顧客が価格以上に満足して初めて、持続可能な仕事(事業)となります。

実際の企業経営の本当に難しいところですね。

高級路線とするのか、安さを売りにするのかなど、企業ごとに異なる経営戦略となりますが、提供する価値と価格のバランスが取れているという事が重要になります。

4. 付加価値のバトンリレー

仕入側についても見てみましょう。

自社にとっては、仕入先からの仕入れが購入費用となります。当然、仕入れは個々のラーメンの食材もそうですが、光熱費や家賃、設備への支出なども含まれます。

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