見出し画像

29.終身雇用、年功序列、緊縮財政

2023/6/16に閣議決定した「骨太の方針」、この中の「労働市場改革」での、終身雇用と年功序列について思う事を書きたいと思います。加えて緊縮財政についても触れておきます。


終身雇用と年功序列はセットで扱うべきではない

これら2つが同一視されることがしばしばありますが、これら2つを必ずしもセットで扱う必要はないと考えています。異なる視点を持つべきです。

私は終身雇用は必要だと感じていますが、年功序列は不要だと考えています。

また、日本の衰退の原因がこれら2つにあると広く言われていますが、それが原因ではないと考えています。

衰退の根本的な原因は、政府や企業に責任があるのではないかと感じています。


企業の責任

私は半導体に関する業務を行っているため、分かる部分があるのですが、当時の半導体産業は日本が世界のトップを走っていました。

当初はそれでよかったのですが、次第に求められるものが変化した事に気づかず、質にこだわるあまりに、必要とされるものについての意識が欠けていたと感じます。

過剰品質な製品ばかりを作り、実際はそこまでの品質は必要ないにもかかわらず、自己満足で高品質な物を作り続けました。

もちろん、それが必要とされる分野もあります。しかし、一般的にみるとそこまでの品質よりも、低価格で一般的に利用出来るだけの品質があればよかったのです。

これはエンジニアが陥りがちなパターンと似ています。ソフトウェアに過度な機能を詰め込み過ぎて、複雑性が増し、結果として機能追加や修正が困難になり、その結果、ソフトウェア自体の価格が高くなるという状況です。

ものづくりで最も大切な事は

「使いやすいものを必要な数だけ作る」

これを最優先に考えるべきなのですが、その視点が欠けていたと感じます。価格が上がれば、当然簡単に使えるものにはなりませんし、複雑になれば、使いやすいものにはなりません。

半導体と関係のある、液晶テレビについても、利益を優先したある企業が、海外の企業と提携した事が発端です。

国内で築き上げた液晶技術を、目先の自社の利益のみを考え技術を供与した責任は重いです。

さらに、ウクライナ問題などで世界情勢が不安定なため、企業が「投資に積極的になれない」ことから大量の内部留保をしている事も問題です。その前から、内部留保はしているのですけどね・・・

ちなみに、バブル期の日本企業は、内部留保が少なく、常に投資を続ける状況でした。

企業の内部留保は、労働者の賃金にも大きく影響します。企業がお金を貯めるわけですから、労働者に支払われる賃金は低く抑えられることになります。

これが、企業の責任たるゆえんです。


政府の責任

これは単純に

「必要とされる所に、必要とされるものを、必要とされる量提供する」

これを守れば良いだけです。日本では財務省(旧大蔵省)の権限が強すぎて、政治家はかれらの言いなりになっている節があります。

したがって、彼らの判断が誤っていた場合でも、そのまま実行してしまいます。正確には、財務省が「財政破綻論」から「緊縮財政」を行っている過ちを、認めたくない、これが真実なのかもしれません。

「緊縮財政」について政府は「国の借金が・・・」と繰り返していますが、実際には国に借金はなく、財政破綻も起こりません。

なぜなら、自国通貨建て国債で破綻した国は歴史上存在しないためです。そのことから、日本は自国通貨建てでの債務は無制限に増やす事が出来るといわれています。

日本銀行は国の子会社のようなものなので、政府が国債を発行し、償還期限がくれば、借換債により借り換えを繰り返しつづければ、問題無いといえます。

日本は自国通貨発行権を持ち、100%日本円建てで国債を発行しています。その国債は国内でほとんどが使われている事から、国の借金と言われている大部分は、実は企業や個人の資産となっています。

特に企業の内部留保が大きいのではと考えられています。

本来であれば、政府はお金を循環させて国を発展させることが求められるはずですが、「緊縮財政」の影響で、そうなっていない状況です。

それには、主に2つの理由があると考えられます。

  • 政府  → 現政府の有権者となる一部の方の不利益につながる

  • 財務省 → 財政破綻論が間違いであることを認めない(プライドの為?)


これらの事が影響していると考えられます。

以下は財政破綻や国債について的確に説明されている動画です。

この動画の最後に法人税をあげる話が出てきていますが、これはもっともな意見で、法人税をあげる事により、企業の内部留保が減少するはずです。

利益分が税金で取られるのであれば、設備や人への投資に回す方が良いと考えるからです。

以下、自民党西田さんの動画です。自民党内の人であるところがポイントです。


以下も日銀・政府・銀行の関係(15分~)と、財政破綻論者に対して的確に説明されている動画です。


これらを見て頂ければ分かりますが、政府は雑誌やメディアまたは、政府と関係のあるジャーナリスト等を利用して「緊縮財政」の必要性を正当化し、国民に対して増税への理解を求めようとしているのではないでしょうか。

経済については以下のyoutubeチャンネルが参考になります。


終身雇用

私は今後も日本経済の発展のためには必要だと感じます。というのも、長らく同じ会社に勤めていると、その分野での多くの知識と経験が蓄積されます。それが企業の資産となります。

ただし、年齢だけが高く、知識と経験が乏しい方については、早期退職をお願いすることが必要です。

なぜなら、企業としては価値を生み出せる人材が重要で、価値を生み出せない人を雇用し続けると、その分、若い人への報酬が十分に支払うことができなくなるためです。

このような観点から、以下のような人の終身雇用は保証すべきだと感じます。

  • 多くの知識と経験を有する

  • 若い人への教育が出来る

  • 技術の伝承が出来る


企業の方針としてこれを明確にしておけば、若い時期からの技術蓄積や教育への関心も高まるのではないかと感じます。

また、40代や50代の人にとっても、継続した学びの大切さや、業務に対するモチベーション維持にもつながるのではないでしょうか。


年功序列

これは必要ないと感じます。報酬はその人が生み出す価値によって決められるものだと考えられます。

年齢が高いから報酬が高いというのは、若い方から見ると理不尽に他なりません。これは、私自身がそう感じながら務めていた時期があり、経験則から強く感じます。

多くの売り上げを上げても報酬が上がらないと、やる気も失せてしまいますよね。ただ、私の場合は仕事そのものが好きだったので、辞めるに至らなかっただけです。

このような経験から、現在の私の会社では成果報酬の制度を採用しています。

年に3回の賞与を設定し、夏と冬は固定賞与、そして期末にはその年の成果に応じた賞与を出すようにしています。

夏や冬の段階では、年度の利益がまだ確定していないですが、期末には利益が確定しているので、最大限に社員に利益を還元できます。

もちろん、期末賞与については、なぜその金額となったのかを明確に説明できる形にしています。それをしないと、社員から不満が出る可能性があるためです。

また、金額を決定する際に年齢は一切考慮しません。考慮するのは、個人の売り上げから経費を引いた額と、教育等で会社の発展に貢献した活動に対してです。

特に、教育活動には自身の負担が伴うこともありますから、大きなウェイトを置いています。


リスキリング

「骨太の方針」の中に、やたら「リスキリング」という文字が出てきますが、そもそもどのような職業でも、学びは必要です。

現在でも、本人に学ぶ意思があれば学ぶ事は出来ますし、能力を生かした転職も可能だと思います。

それをするかどうかは、本人の向上心・好奇心・チャレンジ精神をもっているかで決まります。

私自身がエンジニアや指導者として学び続けているのは、好奇心が最も大きく、その次に代表という立場からの責任感、これが原動力となっています。

何を学ぶのか、これも重要です。エンジニアの世界で言えば、昔と違い今は学ぶ技術が多岐におよび、全てを学ぶ事は困難な状況です。

そのような事から、必要とされる事をピックアップして継続的に学ぶ事が必要です。

では、今後何を変えていく必要があるのかですが

「学ぶ機会がないのではなく、学ぶ動機を作り出す事」

これが十分にあれば、自然と学ぶ方向へ意識が向くのではと感じます。企業は専門技術を持ち、結果を出せる人に対して、相応の対価を支払う事が重要です。

過去のしがらみやルールに縛られる事無く、柔軟に物事を考え、新しい考えを取り入れ発展を目指す、そうした企業が増えれば魅力ある世界へと変わっていくのではと感じます。


若い方へ

向上心・好奇心・チャレンジ精神を持って欲しいと感じます。特に若い方は不自由のない環境で育った方が多いと思います。

そのようなことから、安全や安定を求める気持ちも分かります。しかし、人生というのは安全を求めれば大丈夫か、と言われるとそうではありません。

周囲の状況が変化するためです。その状況に合わせて自身の成長が必要となります。この事を知っておいてください。


管理職の方へ

「意識の改革」が必要だと感じます。若い人の意見にも真摯に耳を傾け、今の時代に合わせた形を作って行く事が重要です。

日本人の長所である「協調性」「勤勉性」はグループでの活動で特に大きな力を発揮します。その長所を生かせる管理職(リーダー)の存在が必要です。

そのためには、若い方と協調しながら活動する事が求められます。謙虚な気持ちで、接するように心がけてください。そうすれば、若い方も自然と意見が言いやすい環境へと変化していきます。


日本の発展のために

確かに、GAFAMやMATANAのようなビッグテックは日本からは生まれてはいませんが、基礎技術の分野では現時点でも多くの日本企業は力を持っていると言えます。

私の印象では、とびぬけた企業は少ないが、平均すると技術力の高い企業が諸外国より多いのではと感じます。それが日本の強みです。

今後、日本の発展には以下が重要と感じます

  • 緊縮財政をやめる

  • 政府は必要な所に投資をする

  • 企業は内部留保を最小限に

  • 企業は積極的な投資を

  • 年功序列をやめる

  • 終身雇用は続けるが、条件を設ける

  • 技術の継承

  • 報酬は人の価値に合わせる

  • 外国人労働者ではなく、国内労働者で経済を回す

  • 投票率をあげる

  • 自立した個の協調を目指す


他にもあるとは思いますが、少なくともこれらの事が必要と感じます。

皆さんでより良い国へしていきたいですね。



お気持ち感謝に尽きません🙇‍♂️