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事業会社で起きた「やってみないとわからない」の罠

株式会社TIMERSのデザイナーとしてサービス改善に取り組んでいる小川(@ogaa_ww)です。

2024の3月に入社してから半年が経ったので、その中での学び(≒失敗)を書いていこうと思います。

事業会社の開発現場では、新しい施策を検討する際によく「やってみないとわからない」というフレーズが使われます。

このフレーズは、ユーザーに対して行う施策全般において、一見正しいアプローチに感じます。しかし、半年の経験から言えるのは、この言葉にはいくつかの罠が潜んでいるということ。

この⁨⁩言葉を鵜呑みにし頼りすぎた結果、取り組む仕事への納得感が低く、施策自体の効果も出ないという最悪な状態に陥りました。

ここでは、私が半年間の仕事を通じて学んだ「やってみないとわからない」の危険性について、具体的な失敗体験をもとに考察し、それをどう回避できるかについて書いていきます。


2種類の「結果が見えない施策」


施策の中には、大きな価値を生むかもしれないが結果が不明なものと、あまり成果が期待できないが実施しないとわからないものがあります。

前者は投資する価値がありそうですが、後者は時間やリソースを無駄にする危険性が高いです。私が直面したのは後者のような施策でした。

「やってみないとわからないので…」と言われると頷くしかなかった

「これをやってみる意味があるのだろうか」とモヤモヤしたまま進めた結果、実装段階で「やっぱり意味ない」と限界になり、施策を進める意味を見失うことがありました。

また、リリースしても期待した効果が出ず、その上で改善が進まないという苦しい状況に陥りました。

最初から感じていた疑念をなぜ払拭できなかったのか?その理由を振り返ると、大きく3つの要因が浮かび上がってきました。


「知らない何かがあるはず」というバイアス


1つ目の要因は、「自分が理解していないだけで、きっと裏に何かしらの意図や背景があるはずだ」という思い込みでした。

特にポジションが異なる人、上流で施策に関わる人に対してはこのようなバイアスがかかりがちです。無意識のうちに、「自分が聞くべきことは他の誰かがすでに考慮しているだろう」と思い込み、疑問を抱えても行動に移せないことがありました。

しかし、物事が具体化してくると、「やっぱりおかしい」と感じることが増えてきます。

重要なのは、最初から「わからない」と表明する勇気です。しかし、わからないことを明確にし、その場で言語化するのは簡単ではありません。

その実践として、サービス・事業の課題ユーザーの課題、そしてそれらを解決する手法の3つがつながっているかを確認しています。

これらがバランス良く成立している⁨⁩ことが"やるべきこと"

「ユーザーの課題を無視していないか?」「事業の成長につながるのか?」「アプローチは適切なのか?」と、これらの視点を持つことで、無駄な施策を避け、本当に実施する価値があるのかどうかを最低限見極めることができます。


「やらなくてもわかる」が伝わらない


もう一つの失敗は、「やらなくてもわかる」と思ったことを、言葉だけで伝えようとした点です。

例えば、「ユーザーがこんな複雑なものを使うわけがない」と考えても、言葉だけでそれを伝えるのは難しいことがあります。提案者は適切だと考えて施策を設計しているので、根拠が曖昧な反論は受け入れられにくいです。

その際に有効なのは、ユーザーが体験する具体的なシナリオを視覚的に表現し、提案者にその体験を共有させることです。

一連の体験のワイヤーを組んで「これを実際にユーザーがどう感じるか?」という視点で議論することが大切。職能やポジションによって⁨⁩異なる視点をユーザー視点に統一した上で議論しないと、それぞれの考えがぶつかる空中戦になってしまいます。

画面を触れば直感的にわかる。

それでも最終的には、「やってみるしかない」となれば、やるしかない場面もありますが、その時に自分でしっかりとした仮説を立てていれば、結果が自分の予想通りだった場合、次からは意見がより通りやすくなるかもしれません。これは根気強く続けることが重要です。


「自分で解決する」という選択


最後の要因は、自分だけで解消する方法を考えがちだったことです。

最終的に決定権を持つ人の意向に従うのが仕事の構造ですが、その前に納得感を持って進めるためには、周囲の力をうまく借りることが重要。特に、自分の意見が通りにくいと感じた時は、力関係をうまく活用することも時には必要です。

例えば、自分の上司や信頼できる同僚を巻き込んで、彼らの意見として伝えてもらうことで、状況が好転することもあります。社内の力関係を活用することは、社内政治のようであまり好ましく思われないかもしれませんが、効率的に物事を進めるためには現実的な手段として検討する価値があります。

納得できない仕事に時間を費やすよりも、問題を解決するために適切なアプローチを取ることが大切。


まとめ


アジャイル開発の現場では、「やってみないとわからない」という言葉がよく飛び交いますが、本当にすべての施策がそうなのでしょうか?考えが未整理な状態で「やってみないとわからない」という言葉を使うのは、単なる妥協である場合もあります。

もちろん、すべての施策をやってみることはできません。だからこそ、結果が不透明な中でも大きな価値を生む可能性があるものに絞って取り組むことが重要です。

今回の私の経験が、同じような失敗を避ける手助けになれば幸いです。

今取り組んでいる施策、本当に「やってみないとわからない」ですか?




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