見出し画像

北海道飲食草紙 #001 幻のかまぼこ「たつかま」を作ろう

ありがたいことに、ここ数年の暮れは料理上手のいとこのおせちを頂きながらの酒宴というのが定番で、今年はその準備のお手伝いをほんの少しだけさせてもらった。
私めにできることなど……ともじもじしていたところ、唯一貢献できたのが、北海道でまことしやかに知られる肴、「たつかま」作りだった。

製品はもっと丸くてきめ細やか

たち、とは、鱈の精巣、つまり白子のことである。
先日、京都で白子を頂いたとき、「こちらでは雲子といいますけど、北海道ではたち、ですよね!」とわざわざ言及していただいて、語源でも聞かれたらどう答えようかと思ったりした。いや、別に何も知らないのだけど、上品な話にはならなさそうなので……。雲、いいですね。きれいで。

話は戻って、白子=たちをかまぼこにしたもの、「たちかま」がさらに訛って「たつかま」なのである。
どんな食べ物かというと、白子の味から、油っぽさや生臭さを抜いて、塩っ気を少し足し、ぷりっとむちむちの食感にしたようなイメージ。お刺身にしたり、バター醤油で焼いたり、味噌汁に入れたりもする。余談ですが、普通の白子を味噌汁に入れて食べる北海道人もいます。

このたつかま、酒の肴としては最高なのだけれど、そこそこ高い。たつかまに興味はあり、真鱈の白子は手に入るという人は、手作りしてみるのも悪くないかもしれない。簡単ではないけれど、ポイントを抑えれば多分大失敗はしないと、今回やってみて思いました。

レシピをあげている人は結構いるので、検索してもらって色々と見比べてみてもらったら良いと思いますが、ざっくり書くとこんな感じ。分量は後述の通り状況によって変わるため、あくまで目安です。

1.白子500gを冷水で洗って、血合いなどの汚れを取り除く

2.洗った白子を湯通しして、ザルなどで濾す3.塩大さじ1と片栗粉大さじ2を加え、ひたすらすり鉢ですり混ぜる

4.とろとろの液状の中に塊が発生しはじめるが、ひたすらやがてひとまとまりの餅状になるまでかき混ぜ続ける

この状態からまとまるまで20分以上かかった
もっともっと固くなるまで混ぜていいです

5.ひとまとまりになったものを、大きめのおまんじゅう位のサイズにまるめて、沸いたお湯で15分くらい茹でる

もう少し
凝固が弱くて形がぐずぐずになってしまっている

6.冷水にとって塩抜きする
7.完成!

私にお手伝いの要請がかかったのは、4のタイミング。いつもは疲れてしまう前にまとまってくるらしいのですが、全然固まらないから混ぜてほしいとのこと。片栗粉を足したり塩を足したり、こんなに入れたらしょっぱいかも……と言いながらシャカリキですり混ぜ続けていたら、ようやく凝固してきました。
毎回白子の状態でこの大変さや比率が変わるらしく、製品として安定した品質で生産するためには熟練の業が必要なものだと実感しました。腕力だけを誇ってすり混ぜているときは、「知性がないレシピだ」と大騒ぎしていたのですが、全然化学だな〜と反省。
今回はとにかく固まらなかったので塩と片栗粉を何度も追加し、しかも30分以上茹でたのですが、その結果塩気はちょうどよく抜けて、形が以外はわりと成功と言える出来でした。
固まらないなら塩と片栗粉を少しずつ足し、茹でが足りなければ長く茹で、しょっぱければ長く冷水につければいいだけなので、様子を見ながらやれば、後戻りできないことはあんまりなさそうです。

お正月休みも佳境かと思いますが、酒飲みの大人と一緒に、冬休みの自由研究にもおすすめです。道外の子たちって冬は自由研究ないのかな? そもそも白子ってこんなに売ってないのかな?



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?