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「残穢じゃん」と言われた女と家の話 #2

前回のお話を「ライトな残穢じゃん」と言われ、ちょっと怖くなってる私です。

今回は家の話とちょっと外れて、私が撮った2枚、じゃなかった3枚の心霊写真についてのお話。(前回2枚と言っていたのですが誤りでした)
今回もたいした話ではないが、人生で3枚も撮ることってあまりないので、まとめておきたかった出来事でもある。

ちょっと長いかも。

1枚目

少々宗教的な話になるが、母方の本家は富士山信仰の多神教。
そのため本家を守っている親族は、お正月には富士山へご挨拶に行き、大きな祭壇を守り度々訪れる親族たちを迎え入れる役目を担っている。

とはいえ母含めその他兄弟はそこまで信心深くはない。
クリスマスはチキン焼いてケーキ食べるし、私も母も富士山に登ったことがないくらいだ。無宗教といっていいくらいの適当な感覚だと思う。

しかし親族の集まりとなると人数が多く大賑わい。夏休みなんかはよく互いの子供を預けあっていたのだと思う。

みんなで楽しく集まる夏休み、なぜか私だけヒヤッとさせられたのだ。

高尾山め


私のファースト心霊写真。それは高尾山で撮った一枚だった。

親族で集まった夏の日の高尾山。山を愛す者たち的には楽しいイベントだった。
しかし、海沿い育ちの小学生私は「何がおもろいんだ山登り」と少々不機嫌だった。

海行きたかったし、虫よりウミウシ触りたい。とムスッとしたまま母と父に手を引かれ高尾山を登った。

そんな私を見た父が「写真を撮ってみろ。レンズ越しに見て気づく森林の良さがあるかもしれないぞ」と写ルンですを渡してきた。

風に揺れる葉や地面の苔、木漏れ日。
確かに山の自然も良いかもしれないなぁ、と数枚撮りながら思い始めていた。

しかし、そんな私の最初の一枚は、あまり良いものでは無かった。


お母ちゃんの手に手


ウキウキしながら近所の薬屋さんで現像した写真を受け取った。
私は車の中で「お母ちゃんみてみて」と嬉しそうに写真を共有していた。

父「なあ、これおかしくないか」
母「え…これって」

私が撮った写真の何がおかしいのだ!!と半分キレながら奪い取った写真は、私が気乗りしないまま写ルンですを渡された直後に撮った、一枚目の写真だった。

親族の小さな子供の手を握る母の左手。
右手側ははガードレール。その下は断崖絶壁。人が入る隙間もないのに、ぞわっと手に白い手がついていた。

怖くて泣いた。もう高尾山いかない、と思った。
それから一度登りにいったが、実は家の話と同様「嫌だな」が発生したのでもう随分長い間行ってない。
親族には「失礼な態度で登ったから神様に怒られたんだな」と笑われた。

しかし、生粋のジャニオタだった私。
当時流行っていた「USO!?ジャパン」というジャニーズオカルト番組のネタになると思って速攻番組に送った。タッキーに「怖い」って言われたかった。取り上げられなかった。

手にまとわりつかれた母は不運が…、なんてことはなくピンピンし、数年後ゴリラみたいな強さで父と離婚した。

2枚目


二度目の高尾山に登った時、当時中一くらいだった私、ケーブルカーにのっている母を写真に撮ったらまたしても心霊写真だった。
母の股の間に顔。子供が紛れ込んだようなものではなく、顔だけが結構ハッキリ。

もう高尾山行かない、と思いながらその写真は本家管理でお焚き上げしてもらった。

私はまだ高尾山に許されていないのかもしれない。
息子が行きたがってるけど、ママはちょっと高尾山が鬼門なのかもしれないんだよなぁ。

3枚目

私のワースト1恐怖写真。

母が奮発して大きなテレビを買った。
父と離婚し、爽やかな気持ちで引越しをした出窓のある高台のアパートに来たちょっと高めな新家電。

今まで小さいテレビだったので、テレビっ子な私は大層喜んでいた。

私「この前の遠足であまったカメラで写真撮ってもいい?」
母「やめときなよ、真っ黒な画面ってなんか嫌じゃん」

母の忠告を無視して撮った、まだ配線を繋いでないテレビの写真。
現像後見事に回収してしまったフラグに顎が外れそうだった。

テレビの大画面に、ぬうっと映る顔のない男性。
こちらを除き見ているような姿なのに、顔だけが真っ黒なのだ。

それだけならまだ良かった。

私「ねえ、これ、父じゃない?」
母「やだ、ほんとだ。この背景あの人の実家じゃない」

真っ黒な顔の男性は父と似た輪郭とおでこ。
よく着ていたラルフローレンのポロシャツ。背景には父の実家にある特徴的なこたつの柄。そしてインコ二匹の鳥籠が写っていたのだ。

そしてその写真を撮っているころ、父は実家に住んでいた。

私は短気な父が苦手で陰で「クソジジイ」と呼ぶほどだったため、私の念写とは思えなかった。

その場にいた近所に住む従兄弟の冷静なお兄ちゃんが「おばさんに未練ありそうだもんね。テレビ通して覗かれてるんじゃないの」と呟いた。

鳥肌たてて泣きながらお焚き上げしたし、母も私もお祓いした。

数日後、父が泣きながら「母の作った料理が食べたい」と電話がしてきた。
霊や目に見えぬ存在よりも、生きた人間の想いのほうが怖いよね。

おわり。

次回は「嫌な家と隣人」について話をしようと思います。


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