休職最終日(休職日記20)
明日の今頃は、もう起きてる。
起きて、顔を洗って、服を着替えて、薄くメイクをする。
髪を整えてから、朝ごはんを食べて、朝の薬を飲む。
不安を抑える薬をしっかり飲んで、タバコを吸って、7時半前には家を出る。
駅まで向かう。きっと暑いから、汗をかく。マスクを何度もずらしながら呼吸して、駅までの道のりを淡々と歩く。
電車に乗る前に、切れている定期券の更新をして、改札をくぐる。
5分に1本くらいのペースで次々とくる電車のどれかに乗って、静かに目を瞑る。
ほんの15分のあいだに、多分、こころは爆発寸前になって、緊張で、お腹が痛くなるかもしれない。
そうこうしているうちに、あっという間に最寄駅に着いて、人の波にうまく乗れるように電車を降りる。
いつもの階段を登って、改札を出たら、まわれ右。
朝から開いているドトールに行って、カフェオレを頼もう。
カフェオレを飲みながらタバコを一服、出勤時間まではまだ余裕がある。
朝飲んだ薬が効いてくるのを待って、必要であれば頓服も追加して、時間まで少しのんびりする。
時間になったら、さっと店を出て、こんどはまわれ右。スタバの角をさらに右に曲がって、地下道を進む。
見慣れたエスカレーターが見えてきたら、迷わずそれに乗る。
地上に出たら、大通りを道なりに歩いてゆく。
歩いてほんの2、3分で、職場が見えてくる。
通用口まで行ったら、インターホンを押す。
お久しぶりです。おはようございます。〇〇です。
と、しっかりと名乗って、鍵を開けてもらう。
明日のシミュレーション。
今日が最終休職日。
いやだよう、こわいよう、不安だよう、の気持ちと、脳内でシミュレーションを繰り返してどきどきしている気持ちと、両方ある。
どちらもたぶん嘘じゃないから、ぐるぐるぐるぐる、マーブル模様のように、身体中を駆け巡っている。
ああ、落ち着かない。
ああ、不安でたまらない。
でも、どきどきする。
なんといったらいいのかわからない気持ちに踊らされて、胸がぐっと詰まってる。
どうしたって、明日はやってくるんだから、今日は今日として、大切にしてあげよう。
そうじゃないと、自分がかわいそうだ。
休職おつかれ、自分。
よく休めました。ちゃんと休むことを覚えられてよかったね。
明日からはまた、外の世界に行ってみよう。
外の世界は、また知らんことばっかりだよ。
怖がらないで。
大丈夫。
みんなにかけてもらった、やさしい言葉を思い出そう。
怖がらないで。いや、怖くてもいいか。
怖くてもいいよ。
だから明日まずは、行ってみよう。
行ってみて、やってみよう。
投げ銭?みたいなことなのかな? お金をこの池になげると、わたしがちょっとおいしい牛乳を飲めます。ありがたーい