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IQが20違うと会話が成立しないという話

前回、高学歴社員がなぜやめてしまうのかという話を書きました。
これに似た話で時折聞く言説に
「IQが20違うと会話が成立しない」
というのがあります。
この主張がいろいろなところで聞かれるから、一人の人が言い張っているわけではなく、ある程度同じ経験をしたり共感を得た人がいるということなのでしょう。
なので今回はこの説を自分なりに考えてみようと思います。

まず、この現象をもっと正確に表現しようとすると
「IQが20違う場合、上位者が下位者に目線を合わせないと会話がスムーズに進行しない」
となると思います。

なぜでしょうか。
それは、そうしないと会話の展開速度にずれが生じるからです。
筆者はそのずれの原因を
「思考の瞬発力」
つまり
「一つのことからどれだけのことを連想できるか」
だと思っています。

例えば、あなたは会社の同僚と二人で歩いています。
目の前を気に入らない人が通りかかって、ぶん殴ってやりたいとしましょう。
実際に殴ったらどうなるかについてどこまで想像できますか?

日本の刑法では正当業務行為ではない、暴行を行った場合相手がけがなどの傷害を受けた場合は傷害罪、そうでない場合は暴行罪という罪に問われます。
簡単に言えば捕まるわけですね。
捕まったら概ね職を失ったり社会的信用を失ったりしますよね。
ちょっと殴ってやるだけのつもりだったのに、それで転倒した時に当たりどころが悪くてその人が死んでしまったら?
もちろんそれが起こる確率は低いかもしれませんが、あなたは突然殺人犯です。
なので、そういったリスクと目の前のむかつく人間を殴ったときに得られるリターンを比較して、多くの人は思いとどまります。
もしあなたが殴りかかろうとすれば同僚は一旦あなたを止めるはずです。
好き好んで同僚を犯罪者にしたい人はそんなにいないでしょうから。
しかし、相手を殴ったらどうなるかあなたが一切想像できなかったり、暴行という罪を知らなければどうでしょう。
こいつを殴らなきゃ気が済まないのに何で止めるんだ?
となるでしょう。

実際これは極端に短時間で思考しなければいけないシチュエーションですが、ほかにも最近話題の「闇バイト」において身分証等を人質に取られてしまい、逃げられなくなるという問題もそうですね。
応募して、身分証のコピーなどを送ったら、その先でどのようにそれが自分を縛るかまで、「相手の悪意」を想像できていないので、「必要」と言われたらそれを提供してしまうのです。

ちょっと考えたらわかるでしょ?の
「ちょっと」
がコミュニケーションにおける大きな差になってくるのです。
整理すると下のようになります。

・「ちょっと」の思考ができる人
とっくに思考の中で解決している上に、わざわざ説明する必要すらないと思った話を相手に説明しなければ会話が進まない状況になる
・「ちょっと」の思考ができない人
なぜそうなったのかわからない結論だけを聞かされ、なぜわからないの?みたいな顔をされる状況になる

これは双方にとって大きなストレスです。

実は「ちょっと」は訓練や慣れで多少補うことができますので、前と同じシチュエーションなどでは、以前できなかったことができるようになるというのは起こりえますが、経験値が少ないことに向けての思考力が突然飛躍的にアップするというのはほとんどないでしょう。

ですから思考ができる人とできない人が新しい物事、例えば新しい分野の業務などに直面した際、同じようなストレスがお互いを襲います。
話の進行速度がかみ合わない上、それが仕事の業績などの自身に明確に不利益があることで起きるとなると尚更でしょう。

こうした場合、一般的にはIQが高い側や知識を持っている側(上位者)が相手にレベルを合わせる必要が出てきます。
しかし、相手のレベルを見抜くというのは簡単なことではありません。
先ほどの暴行の例でも、まさか同僚が暴行罪を知らないで殴ろうとしているなどとは思わないでしょう。
だから、試行錯誤で相手のレベルを図るというプロセスが社会的には必要になります。
それをする必要を上位者が感じていない場合や、知識はあるけど対人関係が苦手な人が上位者の場合などに、双方が不満を募らせた結果最初の言説が生まれたのだというのが筆者なりの結論です。

皆さんはいかがおもわれるでしょうか。ご意見ご感想・コメントをお待ちしています。

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