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新たなテクノロジーが浸透するとき、社会に何が起きているのか?【Off Topic Ep157】

宮武徹郎と草野美木が、アメリカを中心とした最新テクノロジーやスタートアップビジネスの情報を、広く掘り下げながら紹介するPodcast『Off Topic』。このnoteでは、番組のエピソードからトピックをピックアップして再構成したものをお届けする。

エピソード『#157 イノベーションの波とタイミング 後半』は、前回見ていった優れたスタートアップが生まれやすい条件や、イノベーションの波が到来するタイミングを踏まえて、さらにテーマを深堀りしていく。テクノロジーが社会に受け入れられ、そして市場が変化していくために必要な観点とは?

社会は、いかにテクノロジーを受け取るのか

新しく素晴らしいテクノロジーは、ただそこにあれば、自然と世の中へ広まっていくわけではない。それを社会が受け入れなくては、人が介在する以上は浸透もしないのである。では、どうすれば社会はテクノロジーを受け取りやすくなるのだろうか。宮武はいくつかの変数があるうち、わかりやすい例として「ネーミング」を挙げる。

かつてピーター・ティールは「会社名は成功と失敗につながる一部だ」と話したという。たとえば、彼が立ち上げたPayPalは「支払い(Pay)」と「友達(Pal)」というフレンドリーな名前だった。方や、ショーン・パーカーが作った音楽サイトのNapsterは、子供の「誘拐(kidnap)」から取られたものだった。

Lifewire, 1000logos

起業家としての思いがネーミングに宿る例は他にもある。同時期に覇権争いをしたFacebookとMyspaceはどうだろうか。宮武は「Facebookは友人が書いたもの読む場所、Myspaceは自分が書いたものを見てもらう場所」であることが名前からも感じられ、また人生においては「書くよりも読むほうが経験数は多い」という点からも、結果論ではあれどFacebookが争いを制した一因だったのではないか、と語る。

サービス名だけでなく、新しいテクノロジーが受け入れられるためには、それに関わる人間がいかに受け取るか(あるいは、受け取れるのか)が鍵になる。1966年にElting E. Morisonが書いた『Men, Machines, and Modern Times』という本には、今で言う新たなテクノロジーがどのように社会へ浸透していき、それらに社会がどのようにリアクションしたのか、といった事例が載っている。

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