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Netflixをサバイブさせてきた「待ち」の戦略、これからの最大の壁【Off Topic Ep159】

アメリカを中心に最新テクノロジーやスタートアップビジネス情報を広く深堀りしながら紹介するポッドキャスト「Off Topic」。このnoteでは、番組のエピソードからピックアップしたトピックをお届けする。

今回は「#159 ストリーミング戦争、結局Netflixはどう?、AI時代の脚本はどう変わるか」から、について。今年1月に創業者であるリード・ヘイスティングスがCEOを退任したNetflix。動画配信サービスの競争が激化するなかで、ひとつのターニングポイントを迎えた同社は、今後どのようなポジションで生き残っていこうとしているのか?

Netflixを生き残らせてきた「待ち」の戦略

Netflixの現況と今後を考えるにあたっては、まず各サービスの利益をみていきたい。2022年に米メディア「Bloomberg」が各社の動画配信部門を比較したところによれば、Disney+は2020年に18億ドル、2021年に12億ドル、2022年34億ドルの赤字を計上している。パラマウント、ワーナー、コムキャストなども同じく3年連続で大きな赤字を出すなかで、Netflixは2020年に22億ドル、2021年に45億ドル、2022年は44億ドルと、唯一いずれも黒字を達成している。

Bloomberg

Netflixは動画配信サービスにおけるファーストムーバーではあったが、他事業でのマネタイズが可能な他社と異なり、動画の配信だけにフォーカスしたピュアメディアであるNetflixは、今後厳しくなるのではないか。過去のOff Topic記事ではそのような予測もあったが、これは「今の段階では間違っている」と宮武は言及する。

ピュアメディアという性質や、ウォール街のプレッシャーによって黒字化に非常にシビアにならざるを得ないなかで、Netflixは非常にシンプルな戦略を重要なタイミングで度々選択してきた。コンテンツ投資を続ける競合サービスの停滞を「待つ」という戦略である。

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