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実録:お店づくり(1)物の売れない時代の僕らの事業構想

前回から1ヶ月空いてしまいました。本業の合間に工事を進めているので、想定よりも押しまくりで方々から急かされております。わかった、まぁ待て。

とりあえず本業の依頼を受けての設計業務がやはり優先度高くなりがちなので、これから週イチでこの「実録:お店作りマガジン」を更新します!

そうすれば、強制的に吉祥寺プロジェクトも進めざるおえないハズ。自分を追い込むスタイルでがんばります。


さて、今回は僕らの事業構想の話をしましょう。

今回出店する僕らのお店はデザイナー×フードスタイリスト×陶芸家の3人組ユニットでして、飲食+物販+展示のMixでワークショップを絡めて、お店で使っている器や調味料や展示作品を買って帰れる体験販売型ショールームのようなお店です。

でも、そもそもこれだけ物が売れない時代、リアル店舗よりEC、酒離れ&家呑み文化が根付いて飲食業界も苦戦必須、リアル店舗を持つことは時代遅れでオワコンと言われています。

本当にそうなのか??

今日は、なぜ今のタイミングであえてのリアル店舗への挑戦なのか・・・その理由をお話しします。


逆張り志向、全てはリアルに回帰する

物を売る〝だけ〟ならばECで充分な時代、それは間違いないです。でも、ちょっと待てよと。物ってさ、売っておしまいなんだっけ??

そもそも、僕らが日常的に買っているのは物質が欲しくて買っているのか?

例えば、朝コンビニに寄って買うコーヒー。これって、始業前のリラックスしたひと時をより充実させたいから買っている。買っているのはコーヒーだけれど、この場合は「よりリラックスできること」とお金を交換している。

そう考えると、物を売って届けてハイおしまい!じゃなくて、どう届けて、伝えて、使って、何を感じてもらうのかが大事なんじゃないかと思うんですよ。

そうなってくると、必然的にECだけだと物の魅力の伝達って完結しないはずなんです。どれだけ動画やVRが発達したって、生身のコミュニケーションの情報量や熱量には絶対にかなわないから。

ECにお店が偏ったのは、それ以前のお店っていうのが効率よく回して数売ってナンボというスタイルをとってしまったから。そりゃ在庫効率と場所代と人件費とを考えたら、今ある箱での商売って成立しづらくなる。

しかしですね、それって本来のお店=リアルな場所のポテンシャルを引き出していなかったんじゃないのか?と思うのです。

だから僕らは逆張り志向、EC全盛のカウンターとしてリアル店舗でのコミュニケーションに価値を作っていく方向をとります。


先にファンを作ってから箱に展開

とはいえ、いきなりリアル店舗を構えてもお客さんが来ることはほぼない。これはECでも一緒ですが、認知されて興味を持たれてはじめて集客→販売という流れになる。

ですから、リアルだろうがネットだろうがお店を構える=何かを売りたい時、いちばん最初にやるべきなのは〝 認知の向上 〟です。知ってもらわないと何もないのと同じ。

その点では、一昔前はリアル店舗を持たずに認知を向上するのは至難の技でした。それがEC全盛になってきて、SNS+ECの合わせ技でも充分に認知が取れるようになってきた。

でもですよ、EC→リアル店舗へと展開する場合、場所の制約があるリアル店舗では集客の対象地域そのものが全く変わって来る。

だからECやSNSで人気のあのお店がリアルに出すと苦戦したり、思ったよりも売上があがっていなかったりする訳です。

この点は僕らもずっと意識はしていて、今回のリアル店舗の計画の話が出るまでに5年間くらい不定期&単発のイベントで地道なファンづくりをしてきました。

こうしてシステムを話したりしているのも上記の一環です。



スモールスタートで立地を重視、DIYでコスト削減

そして、実際にお店を出しますよとなった場合、いちばん重視したのは立地です。ただ、これは繁華街の駅前一等地であればいいのかというと、それだと家賃が高すぎてスモールスタートのゲリラ戦略的な店舗づくりではペイしません。

店舗を実際に構える時のコスト構造の問題は2つあって、イニシャルコスト=初期投資と、ランニングコスト=維持費です。

僕らのような弱小個人事業でお店を出す場合、とにかくこの出店投資を最小化するのが生命線。初期投資をかけるほど損益分岐点は上振れしますし、そもそもそんなお金の余裕はねぇ!!

もちろん、投資を受けたりクラウドファウンディングを使うなど色々な手もあります。でも、それをしてしまうと関わる人が増えることで、純度の高い表現が難しくなってくる。

金を出せば口も出したくなるのが人情なので、そこは使い所を考えたい。けれどみんなで一緒に作ることはとても大切なので、受け入れ方含めてやり方を整理したら挑戦したい。これはちょっとネタを準備中です。

今は本当に「巻き込み型のものづくり」が台頭して席捲しているのだけれど、できることは自分でやる事=DIY施工などでなるべく費用を抑える事にして、まずは立地を重視して物件を探しました。

重視した立地のポイントは以下。

【店舗の立地探しで重視したこと】
・ある程度以上の商圏人口
・2路線以上の乗り入れのある駅
・評価の高い同業者が多い地域
・路面の1F
・駅からの距離は10分-15分程度まで
・帰り道にコンテンツが豊富




コンテンツのある街で1日をプロデュースする

最終的に僕らは吉祥寺駅の徒歩10分、中道通り奥の路面の1Fで、ちょっと狭めの場所を借りました。

これには思惑もあって、うちに来る時や帰り道に地域の他のお店に寄って買い物をしやすいかどうかを重視しています。

具体的に言いますと、、、

【店舗の立地探しで重視したこと】
・ある程度以上の商圏人口
→吉祥寺は巨大商圏

・2路線以上の乗り入れのある駅
→JR中央線、JR総武線、京王井ノ頭線

・評価の高い同業者が多い地域
→アウトバウンド、ボンド、CINQ、マルクス etc

・路面の1F
→中道通り奥の路面1F

・駅からの距離は10分-15分程度まで
→10分

・帰り道にコンテンツが豊富
→美術館、公園、おいしいパン屋、コーヒー屋、百貨店、映画館

行ってもらえればわかると思うのですが、吉祥寺って1つの街でありつつ東西南北で街の顔がまるで違うんですね。

おまけに都内有数の公園でもある井の頭公園+動物園を抱えていますし、三鷹の森ジブリ美術館もある。さらに2018年冬にはミニシアターのアップリンク吉祥寺がPARCOの地下にOPENします。

食べ物系でも、僕らの出店する西エリアではパンの名店のダンディゾン、はらドーナツ、新店のリベルテ、ほかにも駅ナカでは膨大な数の旬の食物販も揃っています。

また、店舗立地から徒歩1分で公園もあり、公園を囲むようにマーガレットハウエルカフェとLIGHT UP COFFEEがあって帰り道にお茶もしやすい。

お店に来てもらえれば、徒歩20分圏内で半日や1日をプロデュースできるくらいに街全体のコンテンツが豊富です。これはとても強い。

(反面、平日の夜は人の引きが早くふらっとした飲食の集客には難しかったりするので、お酒の売り上げ頼りで回すには難易度の高い街です。あと人気エリアで家賃が高いのでカフェで成立させるのも難しい。)



今こそ〝箱〟を持つ意味がある

僕らがここでやることは、デザイナー×フードスタイリスト×陶芸家の3人組ユニットでの飲食+物販+ワークショップをMixした体験販売型ショールーム。ここにさらに他の作家さんの展示(食も物販も)を入れ込む、自由な箱として使う予定です。

これは、物も情報も溢れて価値観が多様になった今の時代のなかで、取り残されてしまっている感覚を伝える場所・一緒に考えたり探す場所が必要だと考えているからです。

取り残されてしまっているその感覚とは「美学」です。

何を美しいと思うのか?
何が気持ち良くて、心地いいのか?
自分にとっての豊かさとは何なのか?

これらを統合して、自分の中に価値観の軸を作る。

すでにこれを持っている人は自分で選んで自分で買えますが、人の価値観は日々うつろうもの。

そのためには、知ること、考えること、体験して話し合うことが必要です。だから、食と物と人との間をつなげる場所として、箱を作る事にしました。

知る・考えるだけならネット上でも完結しますが、体験して話し合うためにはリアルな場所が必要です。

ゆえに箱はあえて小さめ(資金的な理由もありますが)を選んでいます。席数もカウンターで6-7席にしぼり、ギリギリみんなで会話できる大きさにしました。


コンセプトは「人と人との閒となる場所」=人間賛歌

そんな訳で、僕らの事業のコンセプトや軸になっているのは「間をもつ=取り成す」ことです。

人と人との間、人と物との間、食と人との間、これらの間を埋める場所という意味を込めて「閒」=あわい、AWAIという名前をつけました。

この場所を軸に、信頼する作家さんや未来のクリエーターさんと一緒にそれぞれの美学を探していければと思います。

昨日のレッドリストの職人の話のように、伝えないと滅びる文化もたくさんある。この箱だけでは少人数すぎて、密度濃く話はできても講演やイベントは無理なので、そこら辺は先々事務所+大箱なども視野に入れつつ、まずは小さく始めます。


次回は「出店候補地を決めて不動産屋さんや大家さんと交渉する」の話です。

ここら辺、実際に出店したい人は聞きたいところだと思います。またがんばって続き書きますね。(工事も進めねば!!!)


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