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【はすおか船長とえほんの海】第1回 絵本屋が語る「絵本とは何か?」

こどもの本専門店「きんだあらんど」店主の蓮岡船長とともに送る、子どももおとなにも読んでほしい心ゆたかになる絵本の選び方のお話。

今月から一年間にわたり、月一でお話ししていただきます。


皆さんよくご存じの絵本。
それぞれに大好きな絵本もありますよね。
「昔読んでもらった」「読んであげたら喜んでもらえた」「心が穏やかになった」など、さまざまな絵本の思い出を楽しい体験と共に記憶しておられると思います。

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お子さんと一緒に絵本を読むことを日課とされているお母さんは、すでに絵本が持つ不思議な力を実感されているでしょう。
お子さんに絵本を読んであげたことで、言葉や行動にも変化が出始めること、そして何よりもお子さんとのかけがえのない時間を共有しながら楽しめることを体験しているはずです。
だから今さら「絵本とは?」と問われるのも、何か妙な感じがすると思います。

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「子どもにとって良い絵本とは」
私たちはずっとこの課題に取り組んでいますが、これは一言では答えられません。
それに、絵本を扱ってきた僅か10数年の間にも、絵本を取り巻く社会環境、種類、そして質は大きく変化しました。

絵本を紹介するサイトや媒体も数多く作られ、それに膨大な広告宣伝も入っているので、「この本が本当にどんな本なのか」情報が多すぎて判断しづらくなってきているのが現状です。

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その中でも、何十年と本棚に置かれて今でも大好きな絵本。
何度も読み返して、その絵本が自分の行動を支えてくれる絵本。
親子で読むことで心が落ち着いていく絵本。
など、誰もが名作と思う絵本にはいくつかの共通点があります。

私たちは、この名作絵本が持つ、物語や絵の構造、エッセンスなどを通して、年齢や発達にあった絵本をご紹介しています。

今回、第一回目に際して、私たちが考える絵本の視点をご紹介したいと思います。

①絵本とは楽しむもの

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まず絵本は楽しむもの。
それが最も大切な視点です。
本人が楽しいと思えればそれは、どんな内容であれ、その人にとってはかけがえのないものとなります。
そして、その絵本の内容が幼少期の心の発育に影響して、やがて人生を変えるほどの力を持ち得ます。

その楽しさをどのように彩るのか。
私たちは、幼児がこの楽しさと出会う瞬間から、その興味を、心を満たしてくれる明るさにつなげ、美しいものへの感性につなげ、また普遍的な知恵につなげることを一心に考えて絵本を選ぶのです。

楽しいと思う気持ちは人によってバラバラ、他人から強制されるべきではない大切な個性です。
でも、その個性の大部分を育んでいくのは、親御さんのつくる環境です。

だからこそ、親子で心を通わせて、心の底から楽しめる絵本をご紹介するように努力しているのです。

②絵本とは美しいもの

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絵本の絵とは、おそらく幼児が初めて出合う美しい「芸術」であると思います。
芸術とは、個人的な意見としての「きれい」を超え、より深く幅広い叡智で認め支えられている美しさをもったもの。

子どもは、幼児期に出合った美しいものと一緒に成長して大人になります。
そのことがどれほど大きな可能性をもつことになるでしょうか。
大人と同じ美しさを感じることで、安心して美しい物への興味が芽生え、そして美しさを感じる美意識も同時に育むことになります。

③絵本とは共有するもの

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例えば、楽しさ、は内から自然に沸き起こるものだけではなく、誰かから教えられるものでもあります。
「これ面白いよ」という場には、面白さを理解する大人とそれをつなげる子どもの心が共存します。
子どもは身近な大人が紹介してくれるものによって、安心して興味を持ち、自分の中のまだ言葉になっていない感情を整理していくのです。

また「美しい」と思う気持ちも同様に、子ども本来が持つ、自然美や機能美に対する純粋な興味を、大人がリードしてあげることで、彼らの中に美しさへの興味がどんどん育っていきます。

④絵本とは言葉の伝達

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絵本を通して子どもは大切な言葉に出会います。
それは、日常で聞ける話し言葉とは違う、自分の心の中を表現する内言語と言われる言葉です。まだ言葉で表現する力が備わってなくても、絵本を読んでもらうことで、言葉のニュアンスや前後の使い方で、その言葉の持つ意味や精神を知ることができます。

そうやって、楽しく言葉を学んだ子どもは、感情表現も豊かになり、様々な事柄を言葉で認識できるようになります。

絵本は物語を通して、自然に心を表す言葉と出合うことができるものなのです。

・・・・・・・・・・・・

大きなポイントを挙げてみました。
今、お持ちの絵本は、このポイントに合っていましたでしょうか。

絵本ブームの波に乗って本当に多種多様な絵本が巷では紹介されていますが、上記の視点に照らしてみたら「これは絵本かな?」と呼べるものも数物多く見られます。
親子とも豊かになる絵本。
それを探っていきたいですね。

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言葉だけでは、まだどんな絵本がお子さんに相応しいものかイメージがつかないと思います。

次回からは具体的に絵本を挙げて、年齢や発達にふさわしい絵本の選び方をご説明していきたいと思います。

ABOUT -この記事を書いた人ー

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蓮岡 修
子どもの本専門店「きんだあらんど」店主

島根県出身。
紛争地・被災地での人道支援活動を経て、2008年より「きんだあらんど」店主となる。
全国各地の幼稚園の選書請け負いや、雑誌のコラム掲載など様々な場面で選書を行う。
絵本に関する講演も多数。
大学非常勤講師/京都市内の子育て広場代表等多方面で活躍。

■きんだあらんど
家庭で読まれる絵本と読み物をコンセプトに、こだわりの選書で世界の名作を中心とした本を取り揃える。
毎月絵本の読み語りや絵本講座等のイベントも開催。

【店舗情報】
公式HP : http://kinderland-jp.com/
所在地  : 京都市左京区頭町351 きんだあビルディング2階
営業時間 : 10:00 ~ 17:00
定休日  : 水曜日、祝日(不定休)、年末年始
TEL   : 075-752-9275

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