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ひと工夫ほしい映画のエンドロール

 ずいぶん前から気にはなっていたが、映画館で映画の本編が終わってエンドロールが始まると途端に席を立つ人がいる。こちらが映画の余韻にふける間もなく、館内のそこかしこで立ち上がる人がいると、どうも落ち着かない。ましてや自分が座る席の並びにいる人が無理やり自分の前を通るようなことがあるとすっかり興ざめしてしまう。

 きっと次の予定が迫っているお忙しい人たちなのだろう。しかし、まだ館内の照明も点いていないので、足元が真っ暗でかなり歩きにくいだろうと思う。下りの階段で躓きかけている人を見たことがあるが、転ばないようぜひ気を付けてほしいものだと思う。

 少し皮肉めいた書き方になってしまったが、エンドロールで出てしまう人の気持ちもわからないではない。とにかく長い。もう終わるか、そろそろ終わるかと思いながら延々と続く文字の羅列をじっと見つめるのは一種の苦行だ。法事で足が痺れているのに、なかなか終わらないお経を我慢してじっと聞いている場面を思い出す。

 いったい、いつからこんなに長くなったのだろうか?最近は、サブスクリプションで古い映画を観る機会が増えてきたのでよくわかるのだが、少なくとも50年前の映画では、主役級の人や監督など主だった人の名前しか出てこない。想像するに、たとえわずかでも映画の制作に関わった人たちを一人残らず “顕彰” するという一種の人権的な配慮が働いているのだろう。

 新聞で役所の人事異動が細かい文字で掲載されることがあるが、これをまじまじと見るのは、名前の出ている当人か、その近しい人か、特別な理由があってその時の人事に関心のある人ぐらいだと思う。映画のエンドロールもそれとよく似た感じで皆眺めているのだろう。

 なんとなく事情は分かる。だからこちらも我慢して付き合う。だから、せめてエンドロールを最後まで観たこちらにも何か “ご褒美” みたいなのが欲しいと思う。

 エンドロールが終わった後に、メイキング場面が観られるとか、撮影時のNG集を流すとか、クイズを出して後で豪華賞品をプレゼント!などなど、いろいろアイデアはあると思う。また、エンドロールも、決まりがあるのかないのかよくわからないが、無地の背景に文字がただただ羅列されているだけの、つまらないものがほとんどのように思う。せめて、その背景に、印象的な場面をうっすらと流してくれるぐらいのサービスはしてもらえないものだろうか?

 そうすれば、本編の映画だけでなく、本編が始まる前の大量の予告編も含めて、映画館に入ってから出るまでの時間を目いっぱい楽しめるように思うのだが、如何?

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