デジタル・ミニマリスト

電車に乗る。車両内を見回す。99%の人が無表情でスマホ画面をにらみつけている。ごくまれに本を手に持って読んでいるような学生を見かけると正直ホッとした気分になる。

人のスマホ画面を勝手に覗き込むわけにいかないから想像する。仕事関係者とのやり取りや仕事の準備・フォローをしている人はいるだろう。デジタル書籍を読む人も増えているはずだ。最新のニュースも読める。普段忙しいのだから、電車に乗っているときぐらい気分転換にゲームをやりたいという人もいると思う。また、自分も経験があるが、SNSはやり取りを始めてしまうとなかなか一方的に打ち切ることが難しくなる。その場合、目的の駅に着いてもやり取りの続きが気になって、歩きながら画面を見続けることになる。人にぶつかりそうになりながら。急ぎ足の人が迷惑顔で追い抜いていくのに気づかないまま。

携帯料金を下げようという動きがある。ほとんどの人がもっているスマホや携帯電話の料金が下がることについてどう思うかと問われれば、だいたいの人が安くなる方がいいと答えるだろう。携帯電話会社の関係者でもなければだが。

携帯料金が下がれば、大人から子どもまで誰でも寝ているとき以外はいつでも抵抗なくスマホが使えるようになる。もちろん、すでにそうなってしまっているから、全ての人の家計費をまとめて下げてしまおうという理屈はわからないではないが。

しかし社会にとってそれが本当にいいことなのかと思う面もある。

60年ほど前、テレビ放送が始まったころ大宅壮一が「テレビが人間の想像力や思考力を低下させる」と警告した。そろそろ、その検証はどこかでされているだろうと思うが、不勉強のためよくわからない。

同氏がもし生きていたら、今の状況をどう評するかぜひ聞いてみたい気がする。

PS/タイトルの「デジタル・ミニマリスト」というのはカル・ニューポートという人の著書。最近読んだ本。

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