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【書評らしきもの】僕は君の「熱」に投資しよう 佐俣アンリ著

スタートアップと言われる企業は、VC(ベンチャーキャピタル)から出資を受けて、短期間でアーリーステージを駆け抜けて、上場(もしくはバイアウト)へ向かう。

自らを、ロックバンドのような存在と位置づけ、多額の出資を受けたときに、革ジャンで記念写真を撮って、世間にアピールしたスタートアップもあった。

スタートアップは、若い人にとって、夢と熱狂とも言える存在。

かっこいい起業家に憧れて、ロックスターに憧れてバンドを組むのと同じ感覚で、会社を作る。

そうしたバンド的存在のスタートアップを、デビュー前から才能を見出だし、方向性についてアドバイスし、資金のバックアップするのがVC。

本書はVCを経営する佐俣アンリ氏による、7日間の特別講義とある。

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UUUMといった最先端企業の可能性を早くから見出だし、2013年の時点で2200万円を出資。YouTubeがまだまだ単なる動画サイトの頃から、可能性を感じていたのだろうか。UUUM経営者の鎌田和樹氏の才能に着目していた実績についても、本書では詳しく触れてある。

では一体、起業家たちのどこを見て、可能性を判定しているのか。それは、直感だと言う。

「髪型がいい」「歯並びがいい」といった理由も、出資に値すると言う。「こいついい感じだな」「なんだか彼は疲れているな」「パソコン、ボロボロだな」といった、出会った印象で投資対象か、見分けてしまうそうである。

脳がイマイチだと感じているのに、Google出身だから、著名人の紹介だから、といった理由で出資すると、うまくいかないと言う。

結局、経営とはアートだから、合理的に説明がつかないもので、感覚的なものなんだろうな。

と、もっともらしく、まとめたいところだが、自分ごとに置き換えてみたら、やはり同じように判断している。

一緒に仕事する相手を探すとき、zoom越しの相手の言動で判断していないだろうか。

・なんか経歴はすごいけど、貧乏ゆすりが気になるな

・上から目線で無意識に返答する癖のある人だなぁ

・キレイな人だけど、話を聞くとき無表情だったな

・面談中にやたらと中断するけど、本気度は高いのだろうか

などなど。

人が人を判断するにおいては、直感以外には判断基準がないのかもしれない。

「この人は、こう見えて実はいい人ですよ」

って、こっそりと教えてくれる機械があれば、真っ先に頼りたいのだが、そんな機械は、面白法人カヤックでも開発予定にないだろう。

佐俣アンリ氏の著作は、起業家でなくとも必読書である。なぜなら、人が人を見る目は誰しもが、持ち続けなければならないからだ。

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