【仮説】営業スキルでものが売れると思う、場合によっては⑤

4章 属人化されていくスキル

〇営業会社にありがちな成功事例発表なるもの

四半期ごとに全営業マンが集められ、その期に活躍した営業マンが登壇する成功事例があったりするものです。
社長、役員なども列席するような会において、
「キミの活動内容を発表するように」
と依頼がきたりします。
「せっかくの機会なので、みんなのためになるような発表を」
と任された営業マンも意気込みます。
しかしながら、会社員である以上、上の方々への“目配せ”が必要となります。
直属の上司にはじまり、部門長、そして統括部長、役員、社長に気に入っていただける発表内容でなければなりません。ですから、決して嘘ではないものの、
・会社の推奨している営業方針に則った方法か
・「目上の人のご指導の賜物である」という観点で述べられてるか
について重きが置かれる面は否めません。
要するに、話が多少なりともアレンジされているケースもあるわけです。


〇本当に大切なことは?

しかしながら、社内での成功事例発表の場合、外部講師による研修に比べて利点もあります。
見込み客発掘から、成約に至るまでの過程、そして成果そのものは事実である可能性が高いです。
(社内での出来事なので、成績と内容に食い違いが起きるような発表をすることは、まずないでしょう。だとしたら、場がざわついてしまいます)
そして、あなたの業界、あなたと近い立場の人が出した成果なので、聞いたときに自分の営業にそのまま活用しやすい点もメリットとして挙げられます。活用しない手はありません。
そこで、発表者が「何に着目して」、「どこに」「何を提案していったのか」を分析的に考えます。
(「自分でも取り組めること」なのか。もし、そうでないとしたら、それはなぜなのかを考えていきます)

精神的にブレーキになる例ですが、
・やったことがない提案活動なので、面倒だ
・白地から顧客発掘をいまさら行うことには、かなりメンタルブロックがある
・発表者と自分とは、ずいぶんとキャラクターが違うようだ
などなど。いろんな理由が存在すると思います。
それらは、解消できることなのか、解消できにくい問題なのかを突き詰めてみるとよいでしょう。

本当に大切なことは、話を聞いて「やっかみ」をすることではりません。
学べるところは、素直に学んでいく方がプラスになります。




〇経験を言語化するときに生ずるギャップ

あなたに直属の上司がいたとすると、必ずと言ってもいいほど、
「オレがバリバリ売れていた時には・・・」
という武勇伝のようなものに遭遇するでしょう。
(そしてなぜか、売れていなかった時代の話には遭遇できないものです)
何度も聞かされた話の内容ではありますが、
「すごいですねー、課長」
とお愛想の言葉を添えながら聞き流すことも多いと思います。いわゆる処世術の1つであり、自慢話をやり過ごすには、こうするしかないのも事実です。
(しかも、話は微妙に盛られている気がしてしまいます)
もし、この武勇伝通りの人物だとしたら、いまだに課長のポジションに収まっているのはおかしいはず。
気になる点はあるものの、そこはまた、頑張って目をつぶって自分にとってのメリットに着目してみましょう。
あなたの成績につなげる方法はないかという問題について一緒に考えてみたいと思います。

そもそも、内容がひと昔前の話だったりして、そっくりそのまま活用できないのが、この手の話の難しさであります。
(その壁をも乗り越えてこそのプロフェッショナルな営業マンともいえるのですが、大変です)
では、さっそくですが、どこがまず今の状況と異なるのかを分析します。
・個人宅の在宅率が今とは全く異なる時代の飛び込み営業術に関しての話だ
・他人の会社のデスク回りにも、気軽に立ち寄れた時代の職域営業の話で、今とは企業の外部からの訪問者に対するセキュリティーについての考え方が異なる
などなど、よくある理由を挙げてみましたが、いかがでしょうか。

そこで分析的に話を聞き、かつ現在との相違点を明確にする。
このようにして、武勇伝も話を分析的に聞いてみることで、生かせる点に関しては「自分ゴト化」する。自分だったら、この時代の活動につなげるためには、どうしたらいいかを考える。そうでなければ、時間の無駄になってしまうのです。同じ話の繰り返しで、うんざりして損をするのは、自分なのですから。


〇教えても教えても本人のメンタルブロックを壊せない

逆に、上司の立場から考えてみましょう。
上司というものは、自分の成功体験にこだわる傾向があります。
そして、その方法論を部下に押し付けてしまうのです。
「言われたとおりに実行しろ」
と癇癪を起されたら部下としては、たまりません。
表面上だけでも、実行しているようにふるまったうえで、結局実態が何も変わらない。
そんなケースに遭遇することがよくあります。
(特に「飛び込み営業が得意な上司」の下に、「それが苦手な部下」がついてしまったときなど、まったく噛み合わなくなってしまいます)
解決方法は、ないものでしょうか。
次の項目では、それを一緒に見て参りましょう。

〇営業スキルって、伝達できるの?

結局のところ、「教え魔」の上司や先輩が必死になって自分の成功体験を語ってみたところで、受け手側が必要な情報をうまくキャッチする分析的な視点に欠けていたりすると生かしきれません。
また、受け手が必要性を感じていなければ、話を流して終わってしまうのです。
上司の武勇伝を何度聞かされても、
「そこには成功につながるような法則性を見出すことが困難だ」
と感じたとすると、部下の「聞いているフリ」や、「感心しているフリ」が始まってしまいます。

そこで、伝達する側の工夫なのですが、わかりやすいキャッチフレーズを用いる方法があります。
たとえば、私が体験した例です。
「お客さんと友達になってこい」といったアドバイスで、「自分にはできない」というメンタルブロックがとけたケースがありました。このフレーズは、実は奥が深いものでした。
ハウスメーカーで住宅営業の仕事をはじめたばかりの私が、まだ仕事の何たるかをわかっていない状態のときに、上司から同行営業の車の中で聞いたものです。
住宅の仕事の場合、見込み客としてのお付き合いから始まり、自社のイベントに何度もお越し頂くことから最後クロージングを行います。
そして、契約してからが仕事の始まりで、数回から数十回にわたり顧客と打ち合わせを行い、ショールームを一緒に見学し、着工、上棟のイベントを実施。
最終的に完工するまでが、流れになります。契約前のお付き合いよりも、契約してからのお付き合いの方が長く、お会いする回数も、頻繁。
きちんと納品まで面倒を見ることができなければ、一生に一度の大きな買い物といわれている「家づくり」が、不幸なものになってしまいます。そこで「友達になる」ということの重要性が出てきます。
要するに、「友達」といっても、妙に馴れ馴れしくすることではありません。お客様から見たときに、友人のようなスタンスで気軽に意見を言えるような人物(もしくは人物像)として相手から思われるように振舞いなさいという意味です。
住宅営業のキホンが、わからない私にも、
「あ、こういうことか」
とピンとくる。いい広告のキャッチコピーのように響くものでした。
そこから実際の契約につながるまでは苦難の道のりではありましたが、このフレーズからヒントを得て、自分なりにやるべきことを見つけて、開拓につなげていったことは今でも心に強く残っている次第です。
部下、後輩に自分のスキルを伝授したいと考えている方がいらっしゃるようでしたら、そのためのわかりやすいフレーズを考案してください。話の伝わり方は、全然違うと思いますので。

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