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トライ&エラーを繰り返すことの有効性は統計学的にも示される

はじめまして。大晦日に一発目の記事を出します。

医学部卒からデータアナリストのキャリアを経験した変な奴です。

このnoteでは、「ビジネスに活かせる統計学的思考法」をお伝えしていきます。つまり、数理統計学に基づく、ビジネスマンが意思決定を行う際に有用な「思考方法」を伝えていくチャンネルであり、決して専門的すぎて理屈っぽく、浮世離れした数式やプログラミングを解説しようとは考えておりません。

記念すべき第一回目のテーマは、トライ&エラーについて。

ビジネス本では「考える前に動け!」「数を打て!」というような言説が目立ちますが、そうした根性論にも似た言説は、数理統計学的にもけっこう妥当性がある、というお話です。

非常に簡単に、そしてちょっとスピリチュアル的に表現(超訳?)するならば、「何回も試すと、物事を規定する真理のようなものが見えてくる」と言えるでしょう。(以下の青枠の中は読み飛ばしても構いません)

何回も試す、というのは数理統計学で言うと、採取するサンプル数を十分に大きくするということとほぼ同義ですが、統計学用語で言うところの「分布を規定するパラメータ(母数)」が、サンプル数を十分に大きくすると見えてくるのです。

このパラメータというものが要するに、物事がどのくらいの確率で起きるか、を規定する「真理」のようなものであり、これを把握できたならば、ビジネスに限らず全ての意思決定を行う際の判断基準となるでしょう。

こうした事実は、「中心極限定理」「大数の法則」「モンテカルロ法」などにより数学的に示されます。

なんか一発目からスピスピしいことを言っているように思われそうなので、具体例を一つご紹介したいと思います。

ポアソン分布という確率分布のお話です。これは、起きるチャンスは幾度となくあるものの、実際に起きることはめったにないという出来事が従う分布のことです。

「起きるチャンスは幾度となくあるものの、起きることはめったにない」出来事の好例は、一年間の交通事故の発生件数です。毎日毎秒、世界中に歩行者とドライバーがいますが、ほとんどの人が今、怪我もせず生きているように、交通事故とはめったに起こりません。このような出来事が起こる確率は、ポアソン分布という分布に従います。

「さっきから『分布に従う』とか言ってるけど、どういう意味?」とお考えの方も多いと思いますが、これまた超訳すると「たくさんサンプルをとってきてヒストグラム(棒グラフを集めたやつ)を描くと、ある数式(分布)のグラフの形と酷似するということが起きたとき、そのサンプルはその分布に従っているといえる」ということです。

これでもまだちょっと分かりにくいと思うため、ポアソン分布の話に戻り、具体的にご説明します。

ポアソン分布が歴史上注目されたきっかけは、ボルトキーヴィッチという人物が結論づけた

「1875年から1894年の20年間で、プロイセン陸軍において馬に蹴られて死亡した兵士数(1年あたり)の分布がポアソン分布に従う」

という発見でした。それこそ現代でいう交通事故の発生件数に関する調査のようなものでしょう。

こちらのブログの執筆者の方が作られたヒストグラムが好例なのですが、実際にポアソン分布(パラメータ0.61)から得られる理論的値と、上記の馬に蹴られて志望した兵士の数とを照らし合わせると、恐ろしいまでに酷似しているのです。これが「分布に従う」ということです。

少し話が専門的になりましたが、重要なのは、ボルトキーヴィッチが20年分のデータを追い、ある種の「真理」を見出だしたように、たくさんトライ&エラーをしてたくさんデータを集めると、真理とおぼしきものが見えてくるのが、数理統計学的にも示される、ということです。

こうした事例はビジネスの場ならばたくさんあるものと思われます。たとえばいくつもの会社に営業をかけるときや、たくさんの人材を面接するときなど…そんな場面でも、数を打てば真実が見えてくる、という数学的事実はあてはまります。

トライ&エラーが大事、ということは当たり前のことのように思えますが、実は数学的にもその重要性が示されるのです。森羅万象の全てを規定している数学が示すからこそ、当たり前のことなのかもしれません。

【結論】
トライ&エラーが大事!

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