二〇一五年八月 壱
scene 50次の週、日付が土曜日に変わった頃、軍兵衛さんとマサシさんがやって来た。
「軍兵衛ご苦労、マサシも」
父が二人を迎え入れ、俺は深々と礼をする。
「ホントすいません、本来なら俺が運転しなきゃですけど、まだ免許もってなくて」
「さすかえない愛郎くん。マサシはいっつもうづの車ば運転しったがら、もづはもづ屋さまがしぇどげ」
軍兵衛さんは豪快に笑った。それにしても、ふたりとも何か思い違いをしているらしく、黒いスーツにサングラスで決めている。
「ミュージッシャンばむがえいぐ