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割り込んでまで仕事を頼みたい、という職場での情景

この現象を説明した心理学的なことばは無いかしら、と思ったときがある。たぶん、問題にならないレベルで名付けるにも値しないんだろうけれど。

たとえば、こういう情景。

  • 職場内で、ふたりで立ち話または片方は座って片方は立っている。

  • そのふたりは雑談しているのではなく業務上の話をしている。

  • ふいに、あさっての方向から仕事を依頼してくる人がいる(上司の場合が多い)

  • その人が去ったあと、ふたりで「何でいまこのタイミングなんだろうね」的なアイコンタクトを交わす

こういう場面の当事者(仕事を依頼される側)のとき、ずっと不思議に思っていた。
至急対応が必要な内容でもない。雑談していると思われたのか、心外だな、とモヤっとした。

ただし、人のフリ見て我がフリ直せ、という。管理職になって、自分が依頼する側に回ると、もしやこういうことなのではないか、と思い当たった。

これはたぶん、「ヒット&アウェイ戦法」 なのではないか、と。


思い当たったのは、自分が複数のタスクを持っていて、仕事を後輩に振りたいと思ったとき。

思い返すと、その仕事の内容をこまかく説明するほど精通してなくて、丸っとよろしく放り投げたい、と内心ストレスを感じていたときだった。

そんなとき、相手が心ここにあらずなタイミング(電話が長引いたの後で、思考を落ち着かせているとき等)で、依頼をしたくなる自分がいた。

おや、お前(自分)はもしや、こんなことを企んでいるのではないか?

  1. 仕事を依頼して、自分からボールが手離れする。

  2. 一定の確率で、相手から「これってどういうことです?」とか、確認が入りボールを戻される。

  3. 上記2.の確率を減らしたいために、相手が別のことに思考が向いた状態で仕事を振る。

耐久性が低い自分を守るため、打ってすぐ離れる、という戦法を取ったのではないかと。暫定的に「ヒット&アウェイ仮説」と呼んでいた。


上司から丸っとよろしく仕事を振られることは、組織人にはあるあるだ。

むしろ、漠然とした仕事を引き受けてカタチにしてこそ付加価値というものである。

でも、ヒット&アウェイ戦法を取りたくなる、自分の心理や振る舞いには、気をつけていた。

というのも、思考が中断される突発的な仕事の割り込みは、頭の中で細かな線が切断されて痛みが生じ、墨汁のようなストレスホルモンが分泌される、気がしていたのである。

ヒット&アウェイ仮説が正しいかはわからないし、他人は変わらないので、皆まで言うこともなかったけれど、ひとりで気にし続けていた。

定期的に、自分の思考や振る舞いに疑いを向けて、メンテナンスをするのは自分のケアとしても周囲へのケアとしても、たいせつなのだと思う。

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