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「アート×福祉」の前提として

こんにちは!皆様この週末はご自宅にお籠りされているでしょうけれど、心穏やかにお過ごしでしょうか?まだnoteの使い方が慣れていなくて、日が空いてしまいましたが、初投稿から応援を頂き、ありがとうございます!

さて、今日はまず、外側から見える「アート×福祉」と実施現場での感触の違いについて、書いてみようと思います。

「こうありたい」にどうアプローチするか

あしおとでつながろう!プロジェクトは、代表はアートを生業とするおどるなつこですが、理事に福祉職のメンバーがいるため、企画立案時に実施可能かのすり合わせがスムーズです。アートの飛躍と福祉的配慮が乖離しないで運営できている。それはつまり、以下の連携がうまくいっているということかと思います。

ひとりひとりの「こうありたい」をサポートする:福祉
その人の「こうありたい」を掘り出すように働く:アート

しかし、福祉の現場で、必ずしもアートを取り入れたいとは考えられていないかもしれません。慢性的な人手不足などにより、個別の「こうありたい」に応えていく支援を目指していても「こうしてください」となりやすい状況があり、安定した居場所づくりで手一杯。これは実は福祉の現場だけでなく、社会全体がそのような状態にあるようにも見えます。「福祉×アート」についてのヒアリングをまとめてみました。

片やアーティストはというと、初めから福祉に興味を持っている人は少ないのではないかと思います。「自分にとっての”こうありたい”」を追求していた最中に、ふと興味を惹かれて掘り進んで行ったところが、たまたま福祉というジャンルだった、という例が多いと思います。これまでにご協力いただいた大阪釜ヶ崎のココルーム代表上田假奈代さん(詩人)からもそのような経緯を伺いました。

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また他に、そもそもアートを設立趣意に取り込んでいる福祉施設があります。ともに活動することの多い仙台の多夢多夢舎中山工房さん、藤沢のさんわーくかぐやさん、訪問してお話を伺った滋賀のやまなみ工房さん、それぞれに特徴がありとても自由な表現が育まれています!前述のココルームさんには宿泊もできますし、上記いずれの場も開かれていますので、お近くの方はお問い合わせの上ぜひ遊びにいらしてください。

アートプログラムが事業に育つまで

さて、私たちのプロジェクトがどのように始まったかというと、ドイツ国際平和村を訪れたおどるなつこの「タップダンスで世界をつなぐ」という強い思い込みに、当時のタップクラスメンバーが巻き込まれて2010年に動き出し、彼らが団体理事となって今に至ります。そもそも福祉に興味があったわけではなく、タップから始まり様々なことが結びついていった先がたまたま障害福祉の場であったのです。下記インタビューに詳しくまとめていただいています。

過程としては、2010年にまず月二回の福祉施設ボランティアセッションを始めました。私が初期に気になったことは、障害のある人が日々のありようを固定されてしまっている様子でした。例えば聴覚過敏の方に聞こえる不快音が支援者には聞こえないとき、聴覚過敏の方が示す不快感は問題行動と受け取られてしまいます。支援者には原因が感じられないからです。そのようなことを感じながら、支援者と施設利用者が対等に楽しめる輪をつくるようなタップセッション方法を確立していきました。“おとたび”という布製簡易タップシューズも、この時期に開発し、福祉施設に縫製作業を依頼して作成していきました。

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並行してガイドヘルパー研修を受け、半年ほどガイドヘルパー登録をして働き、実際の福祉の場がどのような基準で動いているのか、様々な立場から観察しました。ダンサーとしては珍しいでしょうか?しかし、振付家として戯曲に振り付ける際には歴史背景を調べたりしていますので、私にとっては関わるジャンルを知ろうとすることは当たり前のことだったのです。そこから5年ほど、福祉施設内でのタップセッションを中心にプログラムを発展させていきましたが、そのうちに閉塞感を感じてきました。

平均的な人々と交わる場で行わないと、何も変わらないのではないか?

2015年ごろから、福祉施設以外での公共施設オープンセッションの開催などを試みてみたのですが「福祉に興味のない人は参加しない」という結果に終わります。それでも、少しづつ障害のあるメンバーが外のイベントに参加してくれるようになってきて、タップのサイレント映画を撮ったりしました。

そんな試行錯誤の中で”アートによる社会包摂活動”としてACY助成採択されたのが2017年でした。この年に初めて、おどるなつこ以外のアーティストとのコラボレーションで4つのイベントを企画。多様な人がともに一つの場を創りあう体験から、私たちにも見えてきたことがありました。活動の様子は以下の動画をご覧ください。

この1年間の活動で気づきを得て、障害のあるメンバーを案内人として互いの表現を尊重しあう体験型プログラム「メッセンジャー事業」が生まれます。

2017年から2018年の私たちの活動に関しては、助成元のアーツコミッション・ヨコハマによる評価PDFが発行されています。

いやはや、結構長い道のりを歩いてきたものだなあ。この道のりを、ともに力を合わせてくださった方々のお顔を感謝とともに思い浮かべております!

ということから、以降、活動詳細についての事例報告を進めていきます。

どうぞよろしくお願いいたします!


いつも応援いただきありがとうございます。サポートは活動維持費に使わせていただきます。どうぞよろしくお願いします!