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対等な関係の裾野

こんにちは。夏日が続きますね!
私は夏生まれのタップダンサーおどるなつこです。
このNoteでは現在「あしおとでつながろう!プロジェクト」の2017〜2019年のインクルージョン活動についての事例報告をまとめています。上記の3年間にはACY他の助成を受けながら、福祉施設のメンバーを案内人としたタップダンスのコミュニケーションプログラムを学校や街のイベントに広げるべく活動してきました。
2020年は、皆さんに育てられたこのプログラムを携えて日本全国を回る心づもりでしたが、新型コロナという環境変化により、実施は難しい状況となりました。密接なケアが必要な方の多い福祉施設では、緊急事態解除以後も、いまだ、慎重に運営されていて、6月中は対面ワークショップ開催には至らない状況です。
これまでの「アート×福祉」事例報告は、育て!広がれ!メッセンジャー!マガジンとしてまとめており、有料パートには、使用文書やデータ、宿泊スケジュールなどのファイルもシェアしております。
障害のある人を案内人としたコミュニケーションワークショップの実施にご興味ございましたら、是非マガジンをご購入ください!

子どもたちに届けたい

私たちの事業は、特に子どもたちに届けたいと考えて行ってきました。

・他者の表現を反復してみる!
・違いはおもしろい!
・自分らしさはかけがえのないもの!

黒人差別の歴史から育まれたタップダンスを軸に、尊重しあう良さをあそびながら楽しく体験できるのが「あしおとの輪」というタップコミュニケーション!おどるなつこやミュージシャンと共に、障害のあるタップメンバーが案内人を務めているのが、このプログラムの特徴です。
子どもたちが生き方を覚えていく時期に共有できるよう、2019年度は、広域旅公演事業の他に、横浜市内2地区で毎月オープンワークショップを開催してきました。子どもはいつも参加費無料です。定期開催からさまざまな発展を見せ、アート×福祉×教育、と広がっていきました。

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また、2019年の12月には、ヨコハマ・パラトリエンナーレ2020の準備ワークショップとして、別の小学校のSDG's授業でも取り組んでいただきました。

差別意識

この活動を始めた経緯に、紛争地で怪我をした子ども達と踊った経験があります。その時、なぜ争いが起きるのか、どうしたらそれをやめられるのか、足元から考えておりました。

そもそも、人はどのように差別意識を身につけてしまうのでしょう?
差別とは、人をなんらかの属性でカテゴライズし、さらに対等ではないと見下してしまうことではないかと思います。
私にもそれはあって、時々はっとさせられます。それは当たり前と思っていることの中に潜んでいます。

ふと見渡せば、町にはさまざまな人が暮らしています。学生、会社に勤める人、商店で働く人、家がない人、長年の仕事を終えたらしい人、赤ちゃん連れの人、病気や障害があるような人、外国語を話す人...地域によっても違うと思いますが、ご近所ではいかがでしょうか?そして、自分とは違う属性の人と、深く話したり、共に場を作るような経験はありますか?地域のお祭りなどで、そんな機会があるかもしれませんね。違う属性の方にもご案内は届いているでしょうか?同じ属性の人ばかりにはなっていませんか?

子どもは、おもちゃなどでも同じものをとても喜んだりしますが、それはおそらく「これを知っている」という安心感からなのではないかと思います。そして、知らないものに出会った際には、周りの人がどう対応してるかをじっと見つめます。大人の皆様はいかがですか?
子どもは、新しいものと出会うときに、大人のやり方を真似してつきあい方を学ぶことが多いものです。だから、大人によって分けられていることがらは、そっくりそのまま別のものと認識してしまうのではないでしょうか?

そのような仮説から、赤ちゃんからおじいさままでが対等に相手の表現を反復しあっていく「あしおとの輪」開催時には、さまざまな属性の人があしおとによる共同作業をする場づくりを心がけてきました。

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対等な関係から伝え合う

「あしおとの輪」では、スタッフが把握していたとしても、輪の中で個々の障害や属性を確認したりはしません。輪に参加したら、あだ名を反復しあい、少しづつ知り合い、やりたいかやりたくないかのみを尊重して進めていきます。輪の外から距離を置いて参加しする人もいます。どのように参加したいかも大切なポイントです。

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横浜市のとある小学校の学習室は、メンバーの多くが外国籍につながる子どもでした。率直で反応が良くオリジナリティに溢れていた子たちは、火花が散るようなエネルギーで、毎回とても楽しい作品を生み出していきました。そう、放課後に学校から毎月、高学年の生徒を先生方が会場まで引率くださっていたのです。

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これは、ある子が、私が伝えたタップの基礎を、低学年の仲間に伝えるために書いた絵です!ゆび=ボール・かかと=ヒール・どん=スタンプという、基礎となる3つの要素が解説されています。彼らは、参加して楽しむだけではなく、自分たちの体験を学校に持ち帰り「あしおとの輪」とはどんなことかを、低学年に伝えていたのです!

やりたいことが広がる→表現が広がる

「あしおとの輪」はレッスンではなく、誰かの足音を全員で真似していくあそびです。それだけでもかなり面白いのですが、回を重ねる中でちょっとした基礎を伝えると、それぞれのやりたいことが広がっていきます。そうして出てきた子どもたちのアイディアを、演目の振付にまとめていきます。その振付を、私は福祉施設セッションの際に全メッセンジャーに伝えていきます。

つい、大きく動けた、笑顔が良かったなど、結果である表現の方に目が行きがちですが、私たちが最も大事にしているのは、そこに至る動機です。動機がない時に結果を求めてしまえば、それはやらされた演芸となってしまいます。

私たちのこの姿勢を先生方が見事に踏襲し、日々子どもたち主導の「あしおとの輪」として学習室で展開されたことから、素晴らしい成長が生まれました。観客として、その成長を拝見した際には感動しました!

メッセンジャーとのコラボレーション作品

この他にも、この子どもたちとは何度も共演の機会をいただきました。

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