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電気グルーヴ「DRAGON」

1994年発売の5枚目のアルバムで、前年に発売した「VITAMIN」と同じく12月1日なのでちょうど1年後の発売となる。「VITAMIN」同様歌ものとインストの半々を占めており、今回は代わり替わりに収録している。
全体的な曲の作風もほぼ前作を踏襲している点やTB-303も本作に多く起用されている点も含め、「VITAMIN」の姉妹作のような印象を受ける。
卓球はこのアルバムを最後に電気グルーヴを解散する考えも入れていたらしい。

メンバー
石野卓球・・・ボーカル、シンセサイザー、プログラミング
ピエール瀧・・・ボーカル、瀧
砂原良徳・・・シンセサイザー、プログラミング
※歌詞カードにはメンバーの記載がなかったので担当に関しては憶測で書いてます。

収録曲

ムジナ
作詞・作曲 電気グルーヴ
9分半にも及ぶ曲。歌詞は存在するが「Kick it, Wake up Jump」だけでインストに近い。アフリカのどこかの民族が出すようなリズムでゆるやかに始まる。囁く様な声で「電気グルーヴ」と連呼する声も入っている。ゆるやかなリズムは7分頃まで続き、7分18秒辺りから突然高速なアシッドへと大きく変化する。個人的にはこの部分が一番好き。ちなみにシングル「ポポ」のカップリングには、この終盤部分のみ収録した「ムジナⅡ」という曲がある。

ポポ(Dubbing You Mix)
作詞 石野卓球、ピエール瀧
作曲 石野卓球
シングル曲でフジテレビ「ポンキッキーズ」に使用された。アルバムバージョンとなっており、シングル版との主な違いは音にエレクトリックベースが追加され低音がより強調されている。歌詞は汽車をイメージしていると思われガチだが、実はLSDの歌らしい・・・。タイトルは電気の合宿中、瀧が発した奇声が元らしい。「いろんな コトバの無駄な意味 切捨て いつまでもSLで走ろう」という歌詞が好き。

バロン ダンス
作曲 石野卓球
バリ島で卓球が聴いてたラジオで流れた音源を録り、サンプリングしフィーチャーしたインスト曲。女性の何とも言えない神々しいような歌唱が魅力的で、ガムランとディスコが融合したような神秘的な印象を受ける。それにしてもサンプリング元が気にかかるところだ。

カメライフ
作詞・作曲 石野卓球
後にシングルとしても発売された楽曲。応援ソングに見えて逆に応援ソングを皮肉ったような電気らしい歌詞であり、個人的に一語一句凄く理解できるw 特に「がんばるがんばるなんてやめちゃえ」が好き。「人事をつくさず天命を待つ」(アルバム「KATAREKA」収録)といい、電気のネガティブな歌詞は嫌というほど共感できるww
シングル版とはアレンジとミックスがところどころ異なる。個人的にはシングルバージョンの方がサウンド的には明るくて好きかも。

ザ マーブル メン
作曲 砂原良徳
インスト曲で、リズムが非常に速いシーケンサーが特徴的なディスコサウンド。一定のリズムがひたすら続き、303の音を時差唸らせる構成。タイトルを直訳すると結晶石男達。

お正月
作詞・作曲 ピエール瀧
アルバム「UFO」から続く瀧による作詞作曲作品でタイトル通り正月を歌った曲。和なタイトル、歌詞とは裏腹にサウンド自体は教会で流れてそうな西洋チックで後半になるにつれて曲が盛り上がっていく様はなかなか面白い。特に最後のサビとその後の疾走感はなかなか良い。「いでよ初日の出照らせよ我が大地を」のオペラ風な歌唱が好き。
坂本龍一の楽曲「Happy End」らしき旋律がちょくちょく登場する。

カメレオン マニア
作曲 砂原良徳
正月の流れからの元旦などでよくやる特番のコメディ番組感溢れる明るいノリノリなインストダンスナンバー。曲構成事態は「ザ マーブル メン」と似ている。

ノイ ノイ ノイ
作詞 ピエール瀧
作曲 砂原良徳
「ゴワザーム地方民謡」という架空の国の民謡を歌った曲。歌詞も全て実在しない言語で歌われている点も電気の曲の中でもらしいっちゃらしいが結構異色な存在である。サウンドに関しては特に民謡チックってわけでなくテンポの速いテクノナンバー。
余談だが、この曲の歌詞を見ないで歌える事が出来れば電気ファンとして相当な上級者かもしれないw

ブラジルのカウボーイ
作曲 石野卓球
非常にテンポが速いディスコサウンドで様々な音が入り混じるインスト曲。イントロから始まる叫ぶようなシンセの音が特に印象的。電気のインストの中では上位に入るくらい大好きな曲。
このアルバムの卓球と砂原の両氏によるインストはなかなかに個性の違いがはっきりしていると思う。


作詞・作曲 石野卓球
アルバムの締めは10分50秒に及ぶ電気の曲の中でも1、2位を争う人気曲でもあり、最も美しい曲。イントロは音がゆっくりとフェードインし、アウトロは音がどんどんフェードアウトして最後は主旋律だけが残り、それもゆっくりフェードアウトしていく様はとても美しくまさに虹のよう。五島良子が前作に引き続き参加し、今回は卓球とデュエットする形になっている。特に好きなのはやはり間奏部分、一旦主旋律が消えてベースにあたる部分だけになるところが好き。
電気にとってもこの曲は日本以外でも活動の場を広げるきっかけとなった曲で、海外アーティストの多くにリミックスされている為海外人気も相当なものと窺える。
人気曲なのだが意外にもライブで披露されることはそんなに多くない。
後にショートバージョンとしてシングルカットされ、原曲にはない音やパートが追加されている。またリミックスシングルが数枚CDやLPでも発売された。


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