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探し難いもの

この世できわめて探し難いもの
いさなとるおおうなばらに落とした真珠だろうか

この世できわめて探し難いもの
荒涼たる砂漠に落とした一本の針だろうか

この世できわめて探し難いもの
しろたえの雪に落とした白い結晶だろうか

この世できわめて探し難いもの
うばたまの闇に落とした烏の羽だろうか

この世できわめて探し難いもの
それは窟の内の自分自身


一言メモ

この作品も、高校 3 年生の時に詠んだものです。高校時代は、自分がしたいことを最も考えた時期でした。自己紹介記事「Who am I?〜何者なのか」でも紹介しましたが、高校時代は数学と物理が好きでした。そのため、大学でも数学を勉強したいと考えていました。しかし、高等教育で学ぶ数学を見てみて、 1 つ感じたことがありました。それは、自分がやりたい数学とは少し違うんではないのか、というものです。このような考えが浮かんできてからというもの、自分がしたいこと、或いは自分が勉強したいことを考えては、とにかく不安に感じていました。そんな時、世の中のどんな難問を解くよりも、身近な自分の存在を理解することの方が難しいのではないかと思い、この詩を制作しました。今はこの時に比べて自分を見失わずにいますが、それでも自分という存在が近いようで遠く感じます。まるで、鏡に隔てられていて、決して触れられないようなそんな感覚を抱くこともあります。私という概念は、つくづく曖昧模糊たるものだと思います。皆さんは、自分のことを熟知していますか。

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