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国際交流が好きな人。

インタビュー6:国際交流が好きな人。

~変な外国人との邂逅~

Tさん:アメリカ人の旦那さん、3歳の娘さんと暮らす女性。取材時40歳。ゲストハウスを経営中。おでんとは「早起きの会」で知り合った。

インタビュー:2017年夏ぐらい


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●ブラジル人おもしろー!!
おでん:国際交流に興味をもったきっかけを教えていただきたいんですが…。
Tさん:はい。えーと、私は大阪で生まれたんですけど、中学高校は静岡だったんですよ。で、中学のときに静岡に引っ越したら、ブラジル人ばっかりだったんです。うちの近所が。
おでん:静岡だったら、自動車の工場で働いてる方ですかねぇ。
Tさん:そうでしょうね。当時はバブル期だったから、ブラジル人とかペルー人とか、南米系の人たちがわーっと静岡に来てて。自宅の真後ろにあるアパートには全部ブラジル人が住んでたし、通学路にもブラジル人の家がバーッと並んでるところがあったし。
おでん:大阪にはない環境ですね。
Tさん:でしょー。で、ブラジル人って、サッカーの試合の日になると、テーブルと椅子を外に出して、テレビも外に置いて、裸で試合見るんですよ。みんなでパンイチになってわーって。私もう、それを見てすごい衝撃で…。
おでん:まあ…、中学生やし、ちょっと怖いかもしれないですねぇ。
Tさん:いや、そこで私は「おもしろー!!」ってなって(笑)。「なんだこの人たち!」「なんで裸でギャーギャーやってるんだ!」って。
おでん:あ、そっちだったんですね(笑)。
Tさん:日系ブラジル人の中には、片言で日本語しゃべれる人もいたりするんですよ。で、おばさんとかが私の飼い犬を見て「あなたのケダモノかわいいね」って言ってきたりして。
おでん:ケダモノ(笑)。
Tさん:日本語ちょっと違うけど(笑)。でも、私みたいな子どもに、おばさんが一生懸命話しかけようとしてくれるのがうれしくて。それで、家に上がりこんでご飯とか食べさしてもらったりしてて。見たこともないお菓子をもらったり、すっごい甘い飲み物を飲まされたりとかして。
おでん:溶け込んでる(笑)。そういうのが苦手な人もいるでしょうけど、Tさんは楽しめるタイプだったんですね。
Tさん:まあ、近所のじいさんとかで「ブラジル人うるせえな」と思ってた人もいると思うんですけどね。私はもう、ブラジル人の世界を覗くのが新鮮でおもしろくて。それで国際交流に目覚めたんだと思います。

●英語習得への道1 文通編
Tさん:で、中学の終わり頃、「外国人と仲良くするためには英語ができないとダメだ」っていうのを理解し出したんですけど。
おでん:はい。
Tさん:でも、ホントに私、英語ができなくて。中学の成績、英語は10段階の3だったんですよ。もう、赤点ギリギリって分かってくれます?
おでん:5段階の3じゃないんですもんね…(笑)。
Tさん:そう!もうやばくてホントに。他の教科は人並みだったんですけど、英語で高校入試失敗するんじゃないかってハラハラするぐらい(笑)。で、高校に入った後に何とかしようと思ったんです。
おでん:ほうほう。
Tさん:それで、英語科に行った友だちに教えてもらって、文通を始めることにしたんです。フランスの女の子とやり取りをすることになったんですけど。…でも、その子、筆記体で書いてくるから読めなくて!!
おでん:えっ、読めないような筆記体?(笑)
Tさん:いやまあ、筆記体すら読めないぐらい私、英語ダメだったんですよ(笑)。…とにかく、私は相手の手紙を解読するのに1カ月ぐらいかかっちゃうんです。なのに、相手の返事はすぐ、シャッて来るんですよ(笑)。
おでん:あははははは。
Tさん:私が1、2カ月滞納して、相手がシャッて返事する、というのを3年間続けたら、少し英語が分かるようになってきて。
おでん:おおー。
Tさん:英語の授業もできるだけ手を挙げたりして積極的に受けるようにしてたら、成績が10段階の7まで上がったんですよ。
おでん:それはすごい!
Tさん:文通は高校卒業するとやめちゃったんですけどね。で、大学生のときに旅行でハワイに行ったんです。「私、英語7まで上がったし!」っていう自信もあって(笑)。
おでん:かわいい(笑)。
Tさん:そしたら現地で「通じねえよ!」ってなって(笑)。
おでん:そうなりますよねぇ(笑)。

●英語習得への道2 カフェ編
Tさん:20代のときは、海外旅行をして「もっと英語を勉強しよう」と決意しては、帰国して忙しくて忘却の彼方…というのを繰り返してたんですけど。
おでん:分かるわー。
Tさん:でも、30代になった頃、ストレスで物忘れがひどくなってしまったことがあって。「これじゃいかんな、脳を刺激しないと!」ってなって。で、これまで好きだった国際交流と、英語の勉強を、まじめにやろうと思ったんですよ。それが33歳ぐらいかな。
おでん:語学を学ぶきっかけが脳の活性化だったとは…。
Tさん:で、初めはまあ、普通に英会話教室を検討したんですよ。でも、ああいうのって日本語禁止っていうところが多いんですよね。私はホントにレベルが低いから、「質問は英語で」って言われても何も出てこない。英語が分かんなくて来てるのに、何が分からないか英語で説明できるわけないだろって。
おでん:確かに。
Tさん:で、次は、カフェとかでやるやつ。あれをやろうと思ったんです。
おでん:あ~。カフェで日本人と外国人がマンツーマンで勉強してるやつですね。たまに見ますよね。
Tさん:そうそう、それです。いろんなシステムがあると思うんですけど、私が利用したのは、3500円ぐらいの費用を支払って、リストから5人の先生を選んで、その人たちのメルアドをもらう、っていうやつ。
おでん:5人の紹介料が3500円で、授業料とかはそれぞれの先生に支払う感じですかね。
Tさん:そうですね。それで何人かやったんですけど、ホント変な外国人ばっかりで…。
おでん:ええ…(笑)。
Tさん:授業料が安い先生を選んじゃったからかもしれないんですけどね…。私は長く続けたかったから、授業料が安めなのは必須条件だったんですよ。あと、日本語ができるっていう点も必須条件で。それ以外は、若くても年配でもOK、英語のネイティブじゃなくてもOK、にしてたんですけど。
おでん:うんうん。
Tさん:そしたら、会っていきなりラブホに誘うエロじじいとか、2回目の授業から「結婚してくれ」と言い出す自称イギリス人のタンザニア人とか、なぜか「今イタリアに住んでるから会えません」て言う人とか。…そんな人ばっかりで。
おでん:荒いなー。
Tさん:いやなんか、おもしろいネタは豊富にできたけど、「私の英語力全然上達してない!」「変な国際交流しかできてない!」って(笑)。

●英語習得への道3 スカイプ&メール編
Tさん:で、次は、スカイプを通じてやる英会話みたいなのあるじゃないですか。あれをやったんですよ。ウエブカメラ買って。
おでん:インターネットを使って、テレビ電話的におしゃべりをするやつですね。
Tさん:そうそう。英語と日本語を教え合う、っていうやつだったんですけど。あれも変なのばっかりで…。
おでん:(笑)
Tさん:股間を見せてくる人とかいるんですよ…。
おでん:わー。もー。
Tさん:なかなかいい人に当たらなくて…。真面目で良い人に当たったと思っても、そのうち「水着の写真を送って」とか「サンダルはいた足の写真送って」とか言ってきたり…。
おでん:変なの引き当て率がすごいな…。
Tさん:でも、良い人もいたんですよ。「娘が日本語を勉強しているから、自分も日本語を勉強したい」っていうお父さんとか。その人はアメリカの兵士の人で、当時はアフガニスタンに派遣中だったんですけど…。こないだ来日したときに会ったんですけど、日本語がすごい上達してて!
おでん:ああ、ちゃんとした人もいるんですね。ホッとする~。
Tさん:良い人もたくさんいると思いますよ。レアかもしれないど…。
おでん:レアなのかぁ…。
Tさん:あと、スカイプとほぼ同時期に始めたのが、メールエクスチェンジです。
おでん:メールで文通みたいな感じ?
Tさん:そうですね。スカイプだと、ライブでやり取りをするから、私が辞書で調べている間、シーンてなるんですよね。それが気まずいというか…(笑)。メールだと翻訳機も使えるし、翻訳機を使った文章を自分で正しく修正して、それを相手に添削してもらう、っていうやり取りができるからいいなって。…で、これが割と、長く続いたんですよ。メールのやり取りに慣れてくると、チャットみたいなのもできるようになって。
おでん:おお、ついに自分にぴったりのやり方が見つかったわけですね!
Tさん:まあ、変な人は相変わらず多かったですけどね。へその写真をひたすら送ってくる自称モデルとか、嘘かホントか知らないけど、犯罪まがいの行為を告白してくる人とか。
おでん:事欠かないな…。

●忙しくても国際交流を楽しむ方法。
Tさん:その頃、私、週6で働いてて。海外旅行に行く暇もないし、外国の人に会う機会もなかなかないじゃないですか。それで、カウチサーフィンも始めたんですよ。
おでん:カウチ…?
Tさん:「カウチサーフィン」っていうウエブサイトがあるんですけどね。バックパッカーとかをしている人を家に泊めてあげるっていうやつで。部屋を貸すとかじゃなくて、ちょっとした部屋の隙間を貸してあげるんです。タダだから収入になるわけじゃないんですけどね。…とにかく、それに登録したら、いっぱい泊めてくれ泊めてくれーってなって。
おでん:へぇ~
Tさん:それで、オランダの親子とか、自転車で日本一周してるカップルとか、いろんな人たちがうちに泊まってくれたんですよね。中には料理を作ってくれる人もいて、デンマーク料理とかポーランド料理とか、家に居ながらにいろんな国の料理を食べることができたりして。週6で働きながら、外国の雰囲気を味わうことができて、すごい楽しかったんですよ。
おでん:それはいいですね。
Tさん:変な外国人にくたびれていた頃だったから、旅行者がすごい新鮮で(笑)。旅行者は旅行が目的だから、私には全然目もくれない。せいぜい感謝されるぐらい。
おでん:目もくれないのが魅力なんですね(笑)。
Tさん:基本的には泊めるだけなんですけど、話を聞くのもおもしろいし、予定が空いていれば観光に付き合ったりもできたし。すごい楽しかった。…今はやってないんですけど。
おでん:でも、今はゲストハウスをされてるんですよね。
Tさん:そうですね。でも、ゲストハウスはカウチサーフィンと客層が違うんですよね。中国や韓国から買い物に来た人とかが多くて。だから、あんまり文化交流みたいなのはできないんですけど。でも、いろんな人と会えるのはやっぱり楽しいですよ。だから、私はやっぱりこういうのが好きなんだなと思って。国際交流が。

●子どもと一緒に旅したい。
おでん:アメリカ人の旦那さんとはどうやって知り合ったんですか?
Tさん:彼は、メールエクスチェンジをしてたときの、一番古い友だちの一人です。私、初期の頃は英語ができなかったから、とんちんかんなメールを出しまくってたと思うんですけど(笑)、それでも気長に付き合ってくれる人が何名かいたんですよね。
おでん:やっぱり、そういう素敵な方もちゃんといるんですね。…ちなみに、これからの目標は何ですか?
Tさん:5年ほど前に一人で海外を旅することにハマって、「もっと一人旅を極めたい!」と思ってたんですけど、妊娠して中断しちゃってたんですよね。だから、これから再開しようかなと思って。で、大変だとは思うんですけど、子連れで行ってみようかと。
おでん:子どもを実家に預けるのって、やっぱり気を遣いますよね…。
Tさん:いや、そうではなくて。なんか、カウチサーフィンで友だちになった人の中には、子連れで世界中を回ってる人も多いんですよ。で、「私もやらなきゃ!」と思って(笑)。
おでん:ああ、そういう前向きな理由でですか。いいですねぇ!
Tさん:その人たちのSNS見てたら、子どもに大自然の景色とか見せてるんです。忘れてしまうかもしれないけど、子どものときにそういう景色を見せるのもいいなって。
おでん:素敵ですねぇ。旅の様子はやっぱり、その人たちみたいに、SNSで紹介したりするんですか?
Tさん:それはしないかな…(笑)。私ねぇ、めんどくさがりなんですよ。昔、変な外国人たちのことをブログにまとめようと思ったこともあるんですけど、それも続かなくて。…ネタはいっぱいあるんですけどねぇ。変な外国人の話、もっと聞きたい?聞きたい?(笑)
おでん:聞きたいような、怖いような…(笑)。ちなみに、今日伺った変な外国人の話が1だとして、まだ語っていない話はあとどれぐらいありますか。
Tさん:…12ぐらい。
おでん:ちょっと、今日はいいです(笑)。

<おわり>

※カウチサーフィンでT家に来た素敵な外国人の皆さん