見出し画像

AI.スマート農業の欺瞞

AI.スマート農業を如何にも農業の未来を作るかのような報道や記事が相次ぐ。

今までも野菜工場とか、土を使わない農業とか大企業が地方自治体と連携する農業とか、一時マスコミネタにはなったが、今は見る影もないプロジェクトは掃いて捨てるほどある。
そこには、自治体がやるからと惜しげもなく税金が投入され、
結局、投資効果ゼロで、廃墟の建物だけが残る事業が目白押しだ。

自然農法や有機栽培を基本とする小田々農園も
30年以上前からその有効な利用は考えてきた。
私たちには有効に利用できるプランはある。
しかし、有機農産物の市場シェアが、
先進国の中で最悪な国では、
それを使うにはまだスケールメリットはない。

人の能力、ある意味職人芸を越すものにはある程度の経済規模がいる。

一方、慣行農法(農薬や化学肥料や除草剤に頼る準工業化農業)ではどうか、
経営能力のない農協や
農業で発展した成功体験や実績の無い自治体では
ノウハウも応用母体もないから無理な注文なのだろうと思う。

もともと、その農業分野では、
農家は多くの業界に食い物にされてきた。
金融・保険を主体とする共同組合;農業技術も販売技術もない、組織のトップに経営ができるプロもいない素人の集団だ。
頭のない巨大な生き物は、しかし、生まれた以上生き延び成長しようとする。
肥料や農薬、農業資材などは、組合員に買わせて収入源にする。
それは強制ではない、しかし、組合員達はもともと金を持ってなかったから、
農産物の売上から後で天引きされれば最初金を払わなくても済む。
どんぶり勘定で採算を考えない農家には後払いで売り上げから天引きされる方法は魅力的だ。例え、農作業の時給が数百円であっても、数十円であっても、あるいはマイナスであっても、幾らかの金額が振り込まれれば、収入があった様な気がする。
村社会で共同意識がある民族では、
他人と違う事が嫌われることに依存する世界では素晴らしいシステムでもある。
そこには優秀で研究熱心で、努力家の極一部の農家も、
そうではないが何となく人の真似をしていれば、
取り敢えず他の農家と似たような農産物生産を確保でき、幾ばくかの売上にあずかれる大多数の農家も
外見上平等に扱われる。
前者が技術開発やブランド構築に熱心な事で協同組合に農産物の売上や利益率で貢献する一方、
後者は数で農薬や肥料資材の購入や金の借り入れによる金利収入などで協同組合に利益貢献する。
協同組合は農家である村人のほぼ全員が組合員だ。さらに農家でなくても、家や事業資金や車の購入で金を借りたい農家以外も準組合員として加入でき、金のあるものはそこに金を預ける事で金利収入を得、生命保険や自動車保険にも加入できる。協同組合の運営する店舗で食料や生活必需品を購入できる。
担保さえあれば金を貸してくれる地域最大の金融機関と関係を持つ事は、支払いが止まれば取引も停止される民間のスーパーや量販店、一般民間店舗よりは使い勝手がいいと感じる組合員や準組合員は多い。
民間の農業資材や種苗・肥料・農薬を販売する業者は割安であったり、個別の営業ではサービスが良かったりする場合もあるが、経営を考えない多くの農家はそこを使うことに思い至らない。
誰でも農産物を持ち込める地域の市場もある。そして、そこは金の支払いも早く、組合より農産物の規格が甘かったりするから、目先の利く農家はそこに持ちこんで収入源の多様化を図るが、共同組合はそこに持ち込むことを禁止するのが一般的だ。

組合は、農水省から見ると民間営利組織扱いではない。
だから国税から多くの補助金が注入される。
それも多くの組合員にとっては、如何にも自分たちが得をしてるかに感じる存在に見える。

そこに、どこかのメーカーが、採算には程遠いがいかにも最先端ぽい技術を、農水省や珍しい物好きのマスコミを取り込んで、国からの補助金が8割以上出るからと言うような理由で、村や町の活性を図りたいと思う地域の自治体のある意味真面目な職員と組合の職員にうまく取り入り、先端技術を売り込む。
投入された補助金を差し引いても採算の取れない水耕栽培などの野菜工場、地域住民の健康被害や環境汚染を無視したヘリコプターや航空機にによる広域共同農薬散布、
そして、今流行りなのが、AIやロボット、パワーアシストスーツを活用したスマート農業だ。
いずれも、ある意味農家自身は農薬を直に浴びなかったり、力仕事や煩雑な細かい仕事から解放されるかもしれないが、それを導入することによる高コスト化、将来の補助金がなくなったときの金利負担、地域と農産物の農薬汚染・環境破壊は進み、そして地域雇用は失われ、過疎に拍車を掛ける骨粗鬆症のような地域社会が約束されている。
ひたすら安い農産物を強要されて、生活が成り立たないから、若者が後を継がず、ひたすら衰退ししてきた農村社会が、最後に無人化して、ロボットだけが働き、
それを年老いた農家が年金から借金を払う社会が来るのだろうか?
地域のためと言いながら、農家から吸い上げるだけ吸い上げた組合は農地を宅地並みの評価して農家に金を貸続け、その二桁から三桁の粉飾決算を隠すために合併を繰り返して、
今や殆どの農協は地域の農協ではなく、都道府県に一農協に近づいた。
農家にとっては顔も見たこともない様な公務員のような職員が、無機質に機械的に事務的に農家を選別する。
組織というものは生まれた瞬間から生き残ろうとする。
それは組織の本来の目的;組合員への福祉ではなく、そこで働く職員のための組織;組合員は単なる食い潰す為のネタに変容する。

ここから先は

147字

¥ 100

期間限定 PayPay支払いすると抽選でお得に!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?