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サンフレッチェ広島の現在地となでしこジャパン 続編

 前回はサンフレッチェ広島の2023シーズンを振り返ったが、ここからは展望を書いていこう。サンフレッチェ広島は現在、リーグ戦、ルヴァンカップ、天皇杯を合わせると6月7日以来6敗2分けと8試合勝利が無い。こんな状況になってくるとサポーターは選手に辛辣いな言葉を投げたり、采配に言及したり、監督解任とか無責任な発言をするようになる。つくづくサポーターとは感情的な存在なのだなと少しうんざりとした気分になる。しかし時には厄介な感情的なサポーターが居なくてはクラブは成り立たない。

 成り立たないとはどういうことか?これは、常に冷静に物事を見ている、客観的な視野を持ったサポーターばかりだとチーム状況が悪い時に大荒れすることはなく客離れも少ないだろう。しかし、良い時もさほど大きなうねりもなく良くも悪くもコンスタントなクラブ運営に終始してしまうだろう。これはつまり成長が無いことを意味し、そのクラブの価値は上がることは無くそんな存在はいずれ消えてしまうだろう。そうならないためにはやはり感情的なサポーターが必要ということだ。

 感情的に動くとチーム状況が悪い時は必ず荒れる。それが暴動にまで発展すると社会問題になるが問題にならない程度であればその”荒れ”もクラブ運営にはプラスに働くだろう。つまり何かしらのムーブメントは話題になりクラブの露出が増えるからだ。サンフレッチェ広島は現在、間違いなく露出が増えている。これを逃す手はない。

 サンフレのチーム状況は悪いがその分話題が豊富だ。満田の怪我、川村の代表初選出後の離脱、大勢の体調不良者、加藤陸次樹の加入、そして直近の森島の移籍。チームの課題とどうやって勝っていくかの道筋は監督、コーチに任せておいて我々サポーターはその過程を楽しめば良い。スキッベ監督ならやってくれる。このような良い監督にはなかなか巡り合えないものだから我々は今この時間をしっかりと楽しんだ方が得策だ。そして私が想いを馳せるのはサンフレッチェ広島というクラブであり、経営や運営についてだ。

 広島は現在サッカー専用の新スタジアムを建設中でサンフレッチェ広島はそれの指定管理者となった。紆余曲折を経ていよいよ年末には完成するこのスタジアムという巨大なツールをクラブは最大限に活用しなければならない。そして今シーズンはクラブにとってビッグシーズンとなる来シーズンへの布石としなければならない。今シーズも何かしらのタイトルを獲ることができれば人気はより高まり来シーズンに良い導入が出来るであろう。しかし既に残るタイトルはリーグのみでそれも厳しい状況にある。それならばサポーターの感情的な動きを利用し話題を生み来シーズンへと繋いでいくのが良いのではなかろうか。

 森島の移籍に関してオファーから決着まで間、Twitterでは常にトレンド入りしていた。森島の移籍は非常に痛いが、クラブが露出するという面では大きな貢献をしてくれたのである。であれば、あとはそれをどうマネタイズできるか、話題から人気にどう返還できるか、クラブの手腕が問われるところだ。

 同じような状況にあると言えるのがなでしこジャパンだろう。彼女たちの凄まじい躍動は以前書いた通りだが、今後の勝敗によっては日本の大きなムーブメントになるのは間違いない。この大きな話題から確実な人気へとどう返還できるかが女子サッカーにおいては至上命題であり、一度逃したチャンスをもう一度掴めるかもしれない重要な局面になるだろう。

 今日8月11日はラウンドオブ8として彼女達はスウェーデンと対戦する。非常に白熱した好ゲームになることが予想され楽しみで仕方ないが、勝敗に限らず日本女子サッカーは既に起こり始めているムーブメントを的確にキャッチすべきだ。何しろタイミングが良い。

 現なでしこジャパンには多くのWEリーガーが活躍している。男子チームはほとんどが海外クラブでプレーしている選手ばかりだが、女子チームは半分以上が国内クラブでプレーする選手たちだ。そんな彼女たちがワールドカップで活躍すれば自ずとWEリーグにも関心が集まる。そして2023-24 WEリーグに先んじて2023-24 WEリーグカップが8月26日に始まり、ワールドカップの熱をそのまま持ち込めるタイミングであり、まさしくこれを逃す手はないのである。

 プロスポーツとは興行でありビジネスである。日本はスポーツマンシップなどの精神と同じく清く正しくといった論調で捉えがちだが、プロスポーツというビジネスである以上お金は非常に大事で、お金を稼いで儲けないと誰も幸せにはならない。稼いで儲けるからこそチームが強くなり、ファンサポーターは喜び、さらにその輪が広がりクラブに還元される。その循環が無い限り上手く事が回るはずはなく消滅していく未来しかなく誰も幸せにならないのである。

 サンフレッチェも女子サッカーも、明るい未来を切り開くために大いに稼いで儲けてほしいと切に願う。

ODA SYCLE
小田
 

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