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サルベージ 折々 2006.


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ヒマラヤサクラ

手づからに訪はむまだきの春ならば狂ひたらむの言を背にして

ただ待つだけでなく
こちらから訪ねていこうじゃないの
まだ早すぎて来ないっていう春を

花はそれぞれ適温で開き散る

開き散るを決めるのは
花自身

人もまたそうであっても良いんじゃないと

年甲斐もなく・・
いまさら・・

他人の口の端に何てのぼろうが

今がその時

いつもそう思いたい
そう思っていたい

私の春は私が決める
2006.01.01



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芽吹かむと我と我が身を叱責す心この身と裏腹の春


稲刈り後の秋の田で目に止まった。
枯れた稲の株からでた新芽と呼んで良いのかどうか新芽。

たぶん・・

いや
おそらく絶対、育つ事はないと思われる新芽。

水の無い枯れた田で、何を思って芽吹くのか。
枯れたように見えた稲株にもまだ命があるってことか・・と。

育つ事のない芽。
結ぶ事のない実。

それでも伸びようとする芽。

自然とはむごい。
けれども・・
凄いものだと。

結ぶべき実
伸びるべき先

探すのも手か・・

この秋がダメなら、次の秋
この春がダメなら、次の春

巡る季節の中で・・
2006.01.13.




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雫波ゆるり広ごりつと溢る色も香も無き身にも春あり


水温む・・
切られるような冷たさだった水がふと気付けば心地良い感触に変わってる。
昨日から?今日から?
心地良さへの切り替わりには、疎いもんなんだろうか・・ヒトって。。

雫が波となって波紋を広げていく
どこまでが自分で何処までが他人だったかなんて
落ちた瞬間に忘れてしまう
いや・・もとからないのかもしれない

無色透明の水にも春は来る
色も香もない・・
でも、温度はある。。確かに。
2006.02.17.



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坂田寺跡

競ひたる色とりどりの春ありて地に這ふ身にも光等しく


梅桃桜・・
順々に花開く春の花

天に向かい枝を伸ばし花を付ける木々に比べて
地に添うように咲く草花は少し地味かも・・

でも・・
天の桜に空の連翹、地のタンポポ
ここでの三者三様の春がお気に入り
2006.04.09.




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否と言ふ術無き今日を過ぎし日の一つと数ふ明日を招かむ


階段は終りがある

辿り着いた先は青空がいいな

まだこれだけ

先を見るのもいいいけど

もうこれだけも

たまには

ここまで上ってきた自分を

褒めてあげなきゃね

次の一歩を出す為に

誰の為でもなく自分の為に

感情は原動力になる


スタートはあそこだったんだよ


2006.05.12



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名を違へ様も違へど我はただ落ちゆく性を務めゆくだけ

降る季節や降り方によって色んな名を付けられてる雨。
地球の遥か上空でどういう状況になった時に雲が起こり雨が降るのか・・
よく知りません…

でも
雨は雨。

ざあざあ
しとしと

新緑の季節
喜んでるのは草木だけ?

雨はただ
天から地に

横切る空(くう)に
人がいるだけ
2006.05.18.




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水鏡深き浅きの色写し嘘も真も良しと呟く


色が見えるのは光があるから
形が見えるのは光があるから

差し込む
照らす
光あればこその色形

この眼に映る緑と
貴方の眼に映る緑は
同じ緑なんだろうか・・と

水に映る色は偽り?
さざ波に姿を変える水面の姿は偽り?

手には取れない
目に見えるもの

それはそれで
真なんだと
2006.06.04.



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蓮葉の 名残りの露に 濁りなく 夢と現を 映す夏の日


午後の陽射しの蓮の葉の露。

電線も電信柱もないところで

うつるのは空と緑

うつるのは今の空?
朝の空?


露の抱え込んだ小さな小さな空の世界に

もっと小さな小さな私もいるんだろうか・・

露の中の私は・・

今何を思ってる?

封印された露の世界も

時を刻むんだろうか・・
2006.07.27.



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醒ヶ井

温もりは四季を問はずと教へ来は今を流るる清き一筋

春も夏も秋も冬も

一定の温度を保つ地下水の流れ

暖かいと感じるか
冷たいと感じるか

それはすべてこちらの都合

受け取る気持ちに掛かってる

四季を問わず心地良い

そういう風になりたいな・・と。
2006.08.02



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岩肌をなぞり落ちゆく水は水聞きも見もせず先を急くのみ

とどまる事のない水も
淀んでいるように見える水も
一時も同じ場所に留まってはいないのに

それぞれ
それが1個の固体であるかのように
目には映る

一滴・・
一粒・・

水の単位はなんなんだろう?
分子の集まり?
なんて色気のない考え方が浮かんだりして・・

今見た水はもう此処にはいない
先へ先へ

前になにがあるのか
何のために先に進むのか

そんなことは
二の次三の次

たぶん・・
全く関係ない

高い所から低い所へ
ひかれるままに流れていく水


・・・ 優劣を無視する如く流れ行く邪気なき水に時はすぎゆく ・・・

考えても仕方のないことはある
2006.08.27.



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緩慢な日々を送りし現し身に身を染め季節知らしめる華

吉野に宮滝と言う所がある。

昔々からの名所なんだそうな。

ここの”夢のわだ”が見たくて・・・

色々な背景に少しでも触れられればと。

アオでもなく
ミドリでもなく

エメラルドグリーンなんていうハイカラな名前は合わない。


緑色片岩の岩に囲まれた川。
緑の石に緑の川。

やはり・・
この国の色はこの国の言葉で・・と。
碧というのはこういう色か?と。


折りしも彼岸。
川岸・畦・崖・・所構わず咲く彼岸花。

暑いだの寒いだの・・
我が身勝手に囁く人間よりも
彼岸を思っているかもしれない
紅い華

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うき事を なべて抱へて 淵はただ ふかき碧を たたへ黙せむ
2006.09.24.



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2006.11.25.飛鳥・定林寺跡(立部寺跡)

変はりなく訪ふ風に移ろひて後幾度の秋を刻むや

久しぶりに訪れた定林寺跡は、相も変わらず荒れ果てていた。

「土壇と礎石が残る」とされ
史跡指定まで受けている地。

刈り取られた夏草が枯れたままうず高く・・。

カサカサ・・ではなく、ズボズボッと、歩く度に沈み込む足先。

埋もれた礎石。


史跡へと入る小道だけが少し人心地つける景観。
南は竹薮の断崖。
北も西も断崖。


指定を受けたから、開発されない地。
開発されないから放置された地。


忘れ去られたような地で
ただ過ごす木。

渡るのは、風と鳥の音。
彼らには、この方が天国なのかもしれないな・・と。
2006.11.30.




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離れ住み共に呼ばるる名も変はり更に思ふは経りし年月

こんな紅葉が多かった。


同じものを見

同じものも食べ

同じ屋根の下で暮らし


それももう人生の半分を切ってしまった。

のに・・

血なんだな・・

と、思う母とのお出掛け。。

似たもの親子
2006.12.07.


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