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成城学園前|カリス成城|成城でハーブの歴史を重ねていく


こんにちは。CONOMACHI STORIES編集部です。定期的に小田急沿線の「この街」スポットを紹介していくレポート。
今回は、成城学園前にあるハーブとアロマの専門店「カリス成城」代表の坂出さんにお話しをお伺いしました。

日本で初めてのハーブ専門店は、1983年に成城から始まりました。
ハーブといえば、今では当たり前のように馴染みのあるものですが、日本中に広めた立役者となったのが成城に本店を構える「カリス成城」。
全国に17の直営店を構え、今でも第一線でハーブの魅力を伝えつづけている株式会社カリス成城代表取締役の坂出智之さんにお話を伺いました。

株式会社カリス成城代表取締役の坂出智之さん

■ハーブを揃えるところからのスタート

1983年の創業当時、坂出代表は大学生で、先代であるご両親がカリス成城を始められました。ご両親が成城の土地に自宅を建てて住んでいらっしゃいましたが、そちらを自宅兼店舗にしたそうです。
社名にある「カリス」はギリシャ語で「恵み」や「美しい」という意味で、「ハーブによって美しく恵みのある生活を送りたい」という願いが込められています。

(坂出代表)
「父は元々、肥料や植物関係の仕事をしていて、植物のビジネスの可能性を探っていました。1960~70年の頃は公害問題があり、科学的な進歩もあったがひずみも出てきた時代。また、当時はヒッピー文化も出てきて、自然回帰的な思想もありました。そういった流れの中で、植物の有用性に着目したハーブを1つのテーマにしたんです。当時はアメリカでハーブが出始めていた頃で、天然のもので人々の生活を良くする、科学的なものへの抵抗といった意味合いもありました」

創業当時、ハーブの認知度はほとんどなかったそうです。
海外のハーブティーを輸入している会社があったり、ハーブをポプリの原料として使う人がいたりはしましたが、一般的には「ハーブって植物?」という程度の認知しかなかったといいます。

(坂出代表)
「最初は流通がないので、とにかくハーブを揃えるところからのスタートでした。アメリカに父の友人がいたので、その友人を介して、ハーブの原料を扱っている会社から輸入したり、海外でハーブの情報を集約している会社からも購入したりしました。そして、100種類くらいが集まり、お店を始めました。」

ハーブ専門店オープンの情報を聞きつけ、オープン前に雑誌や新聞の記者の方が取材に来たそうです。いくつかのメディアに掲載され、ハーブは認知されていきました。

(坂出代表)
「オープンと同時に、うちもやりたい、うちも買いたいという声があり、自然発生的に卸売りが始まりました。最初の頃は売上の1割は店舗、9割は卸売りといった割合でしたね。」未開拓の分野を始めるというのは、並大抵な覚悟でできることではありません。すべて手探りでハーブを集めるところからスタートし、お店をオープンさせる。まだインターネットもない時代に、多くのご苦労があったことが容易に想像がつきます。

■海外との取引拡大、そしてハーブの普及活動へ

創業して10年ぐらいが経った頃、元々サラリーマンをしていた坂出代表がカリス成城へ入社。その頃から、大きく変わり始めます。

(坂出代表)
「私は当時、輸出入関係の仕事をしていて流通の開拓は得意だったので、入社してからは海外との取引を増やしました。他にもハーブの正しい理解を深めるために、講演会やハーブ教室の開校、ミニコミ誌の発行なども始めました。
1992年からは『全国ハーブサミット』を各地で開催し、情報交換も含めてハーブの普及を行っています。地方に行くと、それぞれいろんな素材があって私から見ると宝の山なのに、何もないと思っているんです。例えば、くわの葉っぱは健康茶になったり、伐採した木を蒸留すれば香りのオイルが採れたり、野生のくろもじは爪楊枝作りに利用されてきましたが、薬酒作りや蒸留して精油を取るなど、いろんな可能性があること、価値を生み出せることを伝えたいですね。
自治体が地産地消の取り組みをする中で、付加価値をつけられる商品が作れるという意味合いで、ハーブの活用方法と重なる部分があります。」

笑顔でハーブのおもしろさを話してくださいました

そう語る坂出代表は、ハーブの普及というだけではなく地域活性という観点でも物事を見ていらっしゃると強く感じました。『全国ハーブサミット』はツアーも組まれるほど人気のイベントとなっており、坂出代表がハーブを通じた自然の恵みと豊かさの提案を実現されています。

■大事なのは、いいものがお客様のところへ届くこと

2023年4月に創業40周年を迎え、これまでに多くの商品を開発されてきました。現在は、約350種のハーブ、約150種のエッセンシャルオイル、十数種のキャリアオイルを取り扱っています。
ハーブをブレンドしてティーバッグにしたのも、ファミリーレストランへ卸したのも、カリス成城が初めてだそうです。飲料メーカーとのコラボ商品も数多く手掛け、これまで培ったハーブの品揃えやノウハウについては、業界トップと言っても過言でありません。

日本で最初の、日本人によるブレンドハーブ・ティーバッグ

(坂出代表)
「ドライハーブは開封したときに、香りが立つことが大事。
そのため、乾燥の温度を上げすぎて、香りが抜けてしまうことがあるので、温度管理は徹底して行います。

また、機械や目視での異物の選別も行います。風でほこりや石を取ったり、磁石で磁性を帯びた砂を落としたりしたあと、金属検知器や画像センサで確認したのち、スタッフが目視でも最終チェックをします。安全で美味しいハーブティーを作るために、いい産地のいいものを選ぶことは必要ですが、いいものがお客様の元へ届く努力は絶対に必要です。」

そんな徹底した管理のもと、多くの商品が生まれる中で、2023年6月に「私の温茶習慣ハーブティー」が『ジャパン・フード・セレクション』の最高賞を受賞。冷えが気になる方のためにしょうがを使用して開発され、発売当初からの人気商品となっています。なんと、ハーブティーとしては初の受賞とのこと。徹底したこだわりをお聞きし、しかるべくして受賞されたと思います。

『ジャパン・フード・セレクション』で最高賞を受賞した「私の温茶習慣ハーブティー」

■成城でしかできないことを

今後に関しては、成城本店の売り場スペースを拡張予定とのこと。食材系やお酒も入れるなど商品のバラエティを増やしておもしろいこと、自分たちのやりたいことを表現していきたいと坂出代表は言います。

(坂出代表)
「10人中1人のファンを作ることが理想です。10人中9人がファンになるようなものは、他でたくさん取り扱っていますよね。うちでは、おもしろくてあまり手に入らないようなものを用意して、足を運んでもらえるようにしたいです。
オープン当初は、ハーブの認知度がそれほど高くなかったこともあり、入りづらかったと思いますが、この成城本店には今でも昔からのお客さんが来てくれます。本当にありがたいですね。街並みも住んでいる人たちもゆとりを感じさせるこの場所で、成城をさらに活性化させることも含めて、楽しく遊べる場所にしたいと思っています。スタッフはみんな十分な知識がありますので、気軽にご相談に来てほしいですね。」

インタビュー中にも、坂出代表はたびたび場を和ませ、楽しいお話をしてくださいました。「ハーブはいろんな可能性があって、どんどん楽しいアイデアが浮かんでくる」と笑顔で話してくださり、「おもしろい」とよく口にされていたのが印象的でした。

日本初のハーブ専門店として、人々に自然の恵みと豊かさを提案し続けながらも、坂出代表から感じる飽くなき探求心。カリス成城のこれまでの歴史は、その探求心から長く続いてきて、これからも続いていくのだと感じました。
40周年を迎えて掲げられた「原点回帰」と「発信力」をテーマに、これからも成城からハーブの魅力を発信されることを楽しみにしています。

坂出代表、貴重なお話しをありがとうございました!

今後ともどうぞよろしくお願い申し上げます。

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