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町田|岡直三郎商店|230余年にわたる、醤油へのこだわり


こんにちは。CONOMACHI STORIES編集部です。

定期的に小田急沿線の「この街」スポットを紹介していくレポート。

今回は、醤油を作りつづけて230余年、町田市にある醤油醸造会社「岡直三郎商店」さんにお話をお伺いいたしました。

株式会社岡直三郎商店:
江戸時代後期の天明7年(1787年)に上州大間々にて創業した歴史ある醤油醸造。現在は町田市に本社をかまえ、"日本一"を掲げる伝統製法の醤油製品を全国各地へ発信し続けている。
住所:東京都町田市旭町1-23-21

230余年にわたる、醤油へのこだわり

町田駅から15分ほど歩いたところで、「日本一しょうゆ」と書かれたのぼりと大きな桶が目に入ってきます。大きく開かれた桶の中を覗いてみると、商品がきれいに並べられています。桶の中へ足を一歩踏み入れると、こんな機会はめったにないため気分が高揚しつつも、木桶から漂う歴史の香りに包まれて、穏やかな気持ちになります。

岡直三郎商店さんのオリジナルブランド「日本一しょうゆ」

こちらは醤油を作りつづけて230余年の「岡直三郎商店」さん。230余年におよぶ長い歴史、こだわり抜いて作られる醤油への想い、町田のみなさんとの関わりについて、岡宗晃取締役にお話を伺いました。

―――滋賀から群馬、そして町田の地へ
町田で愛され続ける「岡直三郎商店」さんの創業は、群馬県上州大間々(現みどり市大間々)だったそうです。群馬からなぜ町田の地へたどり着いたのか、詳しく伺ってみました。

(岡取締役)
実は始まりは滋賀県でした。弊社の創業者である岡忠兵衛は近江の日野商人で、戦国武将の蒲生氏郷を慕い、宿場町であった群馬県の上州大間々で醤油醸造荒物販売業を始めています。その後、2号店を高崎市、3号店を原町田(現町田市)で開業しました。

群馬県は全国でも有数の小麦の生産地で、当時の群馬の人々はうどんを1日1回は食べていたそうです。それには必ず醤油を使うこと、また水が豊かで醤油づくりにも適していたことから、醤油を事業に選んだとのこと。

岡宗晃取締役

(岡取締役)
なぜ町田でも開業することになったかというと、1859年に横浜港が開港したことがきっかけです。他県から横浜港へ生糸を運ぶ“絹の道”の中継地として栄えたので、3号店を町田に選びました。
1919年に弊社が現在の小田急線町田駅東口側に醤油工場を設立しています。1927年に小田急線が開通したことで、弊社と小田急電鉄さんが一緒に発展していったという感じですね。当時は駅から見える場所にあったので、駅のホームでは「醤油の香りがする」と乗客の間で評判になったというエピソードが残っています。

2004年には町田駅前に「天忠(てんちゅう)」という醤油料理のお店をオープン。醤油は種類や熟成の期間によってまったく違う味になるそうで、その違いを楽しんでほしいという想いから、飲食店事業も始められたとのこと。

天忠の名物「焦がし醤油フォンデュ」

―――原料から製法までこだわる醤油づくり
現在、醤油づくりは大間々の工場ですべて行っているそうです。一部タンクで作っている醤油はあるものの、大部分の醤油づくりを60樽もある木桶で行っているのだとか。工場見学には年間5000人の観光客も訪れるほどの人気スポットにもなっていて、大間々工場限定の醤油ソフトクリームが大人気なんだそうです。

(岡取締役)
伝統的な木桶仕込みでのお醤油の製造量は、業界全体では1%ほどです。桶は修理しながら100年以上は経っていますね。
木桶は自然の温度変化によって発酵熟成させるので、職人さんの技と勘を頼りに1年以上熟成させます。タンクであれば、人工的に温度調節ができるので半年くらいで品質も安定したものが大量生産できるんです。でも弊社では、木桶ならではの味わいを楽しんでもらいたくて、手間も時間もかけながらこの製法を守り続けています。

原料へのこだわりも強い。大豆は国産、小麦は群馬県産を使用し、「日本一しょうゆ」と銘打っている商品には生産量が極めて少ない貴重な有機栽培のものを使っているとのこと。

(岡取締役)
ミシュランや食べログ百名店で挙げられるような有名ラーメン店でも、弊社の醤油を多くご利用いただいています。どの醤油も自信を持っておすすめできます。

大間々工場の伝統的な木桶仕込み製造

編集部も味見をさせていただいたのですが、角がなくまろやか、さわやかさもあり素材を引き立たせるような味わいでした。醤油だけでもたくさんの種類がありますが、他にもポン酢やドレッシングなどの加工品もあれば、醤油を使った万能調味料や醤油キャンディ、お煎餅などバラエティに富んだ品揃え。商品は群馬県の大間々や高崎の店舗、オンラインショップで購入することができますが、町田の本社で買うこともできます。

一番人気は「生揚げ(きあげ)醤油」。加熱処理をせず、生きた酵母が入っています。

ーーー町田のみなさんとのつながり
町田とのお付き合いも、かれこれ100年以上。近江商人の「三方好し」精神で、売る人も買う人も満足して、その地域にも貢献するということを大切にされています。

(岡取締役)
「地域のためにできることはないか」ということは大切にしていて、弊社のドレッシングに使われているトマトや玉ねぎは町田産のものにしています。他にも、町田の有名なお菓子屋さんとコラボをしてスイーツを作ったり、年に一度は本社の駐車場で「まちだイイモノ〇(まる)ごと祭」を開催して町田のものを販売したりと、さまざまな形で交流を図っています。
あと、サッカーの「FC町田ゼルビア」、フットサルチーム「ペスカドーラ町田」、ミュージカルグループの「音楽座ミュージカル」を支援させていただいています。とにかく町田全体を盛り上げていきたいですね。

町田のみなさんとのつながりをこれからも大切にしながら、今後は海外進出にも力を入れていくとのこと。すでに輸出量も増えているそうで、伝統的な本格志向のものを求めている外国の方も多く、またグルテンフリー醤油なども人気なんだとか。岡直三郎商店さんの醤油が海外でも愛され、さらなる歴史が刻まれていくことを期待しています。

岡取締役、岡直三郎商店の皆様、ありがとうございました!

伝統とこだわりを大切にしたお醤油づくりと地域貢献への想いを聞かせていただきました。

日本一しょうゆの美味しさを全国へ世界へ広げていかれるよう、これからも応援いたします!

今後ともどうぞよろしくお願い申し上げます。