見出し画像

女性管理職比率を上げるために本当に必要なことを考えてみた

こんにちは。育休スクラをはじめとした法人研修サービスのマネージャーをしていますNOKIOOの池上です。私たちは女性活躍を起点に組織が発展することを目指して事業を展開しています。女性活躍をテーマに毎月開催している人事担当者向け無料セミナーから要はなんなんだっけ?というポイントをまとめていきたいと思っています。

今回は「攻めの女性活躍への転換」の回から、女性管理職比率を上げるために必要なポイントをまとめてみたいなと思います。前回の記事は「そもそも女性活躍ってなんだろう」「今、女性活躍に取組むべき理由」「女性活躍が進まない理由」「組織が本気で取組みたくなる女性活躍とは」をまとめました。この記事では、前回の内容を踏まえ「女性管理職」にフォーカスしてまとめていきます。

前回記事の紹介
#1 そもそも女性活躍ってなんだろう
#2 今、女性活躍に取り組むべき理由と進まない理由
#3 組織が本気で取組みたくなる女性活躍

女性管理職登用は本当に進んでいないのか

2003年に掲げられた「社会のあらゆる分野において、2020年までに、指導的地位に女性が占める割合が、少なくとも30%程度になるよう期待する。」という目標(平成15年6月20日男女共同参画推進本部決定。通称「2030(ニイマルサンマル)」)は未達に終わりました

また、令和2年版男女共同参画白書によると、日本における女性管理職拡大が世界的に見ても遅れていることが分かります。

就業者に占める女性の割合は,令和元(2019)年は44.5%であり諸外国と比較して大きな差はなく,欧米諸国よりは数%ポイント低いが,アジア諸国の中では比較的高い。しかしながら,管理的職業従事者に占める女性の割合について見ると,令和元(2019)年は14.8%であり,5年前の平成26(2014)
年の11.3%と比較して,近年着実に上昇しているものの,諸外国と比べると依然として際立って低い水準となっているる(Ⅰ-2-13図)。
(令和2年版男女共同参画白書より)

画像2

なぜ女性管理職が増えないのか

令和2年版男女共同参画白書によると、女性のうち35歳以上では50%以上が非正規雇用で就業しており、同年代の男性と比較しても大幅に多いことが分かります。

画像2

女性が出産や育児と仕事との両立を迎える30代は、組織人として中堅層から管理職候補層に移行する期間と重なります。この両立期に離職したり、非正規雇用に転換したりすることが、女性管理職比率が低水準にとどまっている大きな要因と考えられます。

私たちは女性管理職拡大を妨げる境界線は人材階層別で「管理職候補層」であり、女性管理職比率拡大のためには「女性管理職候補母集団を形成すること」が必須であると考えます。

なぜ女性は管理職になりたがらないのか

ソニー生命保険による「女性の活躍に関する意識調査2020」の結果女性の管理職への意識調査では、正規雇用者で管理職でない女性のうち「管理職になりたい」と考える人は18.7%と低い結果でした。

同調査において、管理職になりたくないと考える理由は、「責任が重くなるから」(50.6%)、「ストレスが増えそうだから」(49.7%)、「管理職に向いていないと思うから」(42.8%)、「管理職になる自信がないから」(33.4%)、「管理職を見ていると大変そうだから」(32.5%)という結果が明らかとなりました。

画像3

女性管理職比率を上げるために必要なポイント

ここから、女性がなぜ管理職になりたがらないのかを整理し、女性管理職比率を上げるために必要なポイントを考えていきます。

1.女性の意識の問題
管理職のイメージが「いつでも会社のために働ける人」という認識が定着してしまっている。賢い女性ほど、管理職から遠ざかっていきます。

アプローチ方法のヒント
管理職の役割定義をアップデートしましょう。
誰もが活躍できる組織では現在までの要件ではなく、新しい要件にしていくことが必要です。

2.人材育成の問題
女性自身がキャリア形成ができるようなスキルを、若手期に身に着けられておらず、ライフステージの変化を迎える女性に対して、スキルアップを目的とした時間を積極的に提供できていない。
組織側の“無理だろう”というバイアスにより、女性の意思を確認することなく、成長機会が提供されない。

アプローチ方法のヒント
女性に正しい育成機会や成長機会を提供しましょう。
スキルを獲得した女性は自信を持つことができます。

3.業務役割の問題
仕事における役割定義が限定的になっていたり、属性や“これまでのやり方”にこだわり、業務役割を限定している。女性のモチベーションは年を重ねるほど下がり、悪気なく壁をつくらせる方向に誘導している。

アプローチ方法のヒント
属性や働き方に関わらず正しい業務機会や成長機会を提供しましょう。
経験を積んだ女性は自信を持つことができます。

4.仕事のやり方や評価制度の問題
男性&正社員&長時間労働を前提にした仕事のやり方や評価制度になっている。働く時間や働く形態に限らず、成果を出し、評価される制度が整わない限り、制約を受けやすい両立期女性が正しく活躍し、評価されない。

アプローチ方法のヒント
フルタイム、短時間勤務など働く時間に限らず、正しく業務機会や成長機会を提供しましょう。期待役割を明確にし、成果に対する評価をしましょう。

まとめ

私たちは「女性活躍推進」や「女性管理職拡大」を目的ではなく、組織課題を正しく解決した結果、女性が活躍できる環境が整ったもしくは女性管理職が増えつことが理想と考えています。

女性が活躍できる組織は、性別や事情によらず、あらゆる人が活躍できる組織であり、思想・理念、働き方・業務プロセス、風土・文化、仕組み・制度が整った状況、ダイバーシティ・インクルージョンそのものです。

ダイバーシティ・インクルージョンがもたらすのは、優秀な人材の獲得、投資家からの評価、ブランドイメージ向上、意思決定の精度向上、エンゲージメント向上、業務プロセス変革、DXの推進などの組織課題が解決され、企業価値の向上です。あらゆる人が活躍できる組織を目指すための手法として、人材育成を女性起点で戦略的に考えていくことが有効です。

管理職への関心度が大幅にUPした人材育成成功事例をまとめた資料を作成しました。ぜひ、こちらから無料でダウンロードして、お役立てください。

人事担当者向け無料セミナーの紹介

女性活躍をテーマにした人事担当者向け無料セミナーを毎月開催しています。特長はスピーカーと対話しながら進める双方向ライブ型セミナーで、参加者の悩みや課題に応えながら進行する点です。セミナーが終わるころには、「腹落ち感」たっぷりの内容になっています。今後の開催情報は以下よりご欄ください。

■スピーカー紹介
ー沢渡 あまね
あまねキャリア工房代表/なないろのはな取締役/株式会社NOKIOO顧問

日産自動車、NTTデータ(オフィスソリューション統括部)、大手製薬会社などを経て、2014年秋より現業。情報システム部門、ネットワークソリューション事業部門、広報部門などを経験。現在は企業の業務プロセスやインターナルコミュニケーション改善の講演・アドバイザー・執筆活動などを行っている。NTTデータでは、ITサービスマネージャーとして社内外のサービスデスクやヘルプデスクの立ち上げ・運用・改善やビジネスプロセスアウトソーシングも手がける。これまで300を超える企業・自治体・官公庁で、働き方改革、マネジメント変革、組織改革の支援および経営層・管理職・中堅人材の育成も行う。これまで指導した受講生は4,000名以上。
著書『バリューサイクル・マネジメント』『職場の問題地図』『マネージャーの問題地図』『働き方の問題地図』『職場の科学』など。

ー小田木 朝子
株式会社NOKIOO取締役/経営学修士

ウェブマーケティングの法人営業などを経て、NOKIOO創業メンバーとして参画。教育研修事業担当役員。2011年、中小企業診断士資格取得。2013年、自身の経験を活かし女性の社会参画支援事業『ON-MOプロジェクト』を立ち上げ、会員6,000名を超えるネットワークを育成。2016年12月『一般社団法人 育勉普及協会』を設立。2020年、オンライン教育サービス『育休スクラ』を立ち上げ、経験学習による人材開発・オンラインを活用したキャリア開発とアクティブラーニングを法人・個人向けに提供。グロービス経営大学院修了。
●音声メディアVOICYで「今日のワタシに効く両立サプリ」配信中 
●アクティブ・ブック・ダイアローグ®認定ファシリテーター
■今回の記事のネタのセミナー参加者の声
*弱者である女性という視点で組織のあり方を考えるのではなく、活力ある組織には女性の活躍が欠かせないという視点が共感できました。同じ職場で同じ経験をした男だけでは組織はもちません。いろいろな価値観を持った人がいてこそ、新しい発想や価値が芽生えると思います。働く全ての人がプライドと充実感を感じることができる組織にしたいと思っています。
*誰でも活躍できる組織を目指し、まずは女性という部分をピックアップし、スモールスタートする点も、納得した。
*私は「女性管理職を増やすこと」を第一義に登用されてきた世代です。ロールモデルもなく、男性がライバル、とにかく気合で取り組み、あっという間に時間が過ぎていきました。そんな姿を見て、今の若い女性たちが女性管理職になりたいとは到底思えないでしょう。女性が活躍する場を与えなければならない、ではなく、管理職とはなんぞや、という情報をアップデートする、一人が万能選手でなくてもよく、マネジメントを得意分野でシェアする、という考え方にも大変共感しました。ちょうど今の組織ならばうまく機能できそうで、そうなればみんなも仕事のモチベーションが上がり良いサイクルが回せるな、という大変よいヒントをいただきました。