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本嫌いの読書感想文(前編)

なにか一冊本を読んだらその感想をnoteに投稿する、というのは本好きな人たちにとってありふれた行為らしい。

最近、それにならって読書感想文を投稿した。

そういえば、小中学生のころ、読書感想文なんて書いたことがなかった
ということはきっと高校でも書いてないし、大人になってようやく書き始めたことになる。

そもそも本は読んでいなかったし、読むことは嫌いだった。

それは、面白いと思える作品になかなか出会えなかったからだと思う。もちろん今でもそれは難しい。
世の中に存在する大量の本を片っ端から読んでいっても、自分が求めるような作品にはまずぶつからない。だから当時は、そんなものは存在しないと思っていた。

しかし、現実には、ある。あるのだ。

これまでの人類の歴史の中で、自分よりはるかに優れた頭脳を持っていた人物は、山ほど存在した。そんな彼らの書いた本が、自分のちっぽけな想像力を越えていないはずがないのだ。
面白い本は、ある。
そう信じて、読む。

しかし、そう信じられるようになったきっかけは、何だったろうか。

たしか、最初に本を読み始めたのは高校3年生の夏だ。数学や英語など他の教科は得意だったのに、国語だけが全くわからなかった。文章の読解ができなくて、悩んでいた。

そこであるとき、国語のテストで満点近い点数を取るような人物を観察してみよう、と思い立った。解答を過不足なく書かなければならない記述式のテストで、満点というのは、まずありえない。それに迫るほどの点を取るということは、かなりの驚異だ。そういう人たちが普段何をしているのか、気になった。

観察してわかったのは、彼(女)らは、いつも本を読んでいることだった。推理小説だったり恋愛小説だったり、ジャンルはさまざまだったが、休み時間に読書する姿をよく見かけた。

これを真似してみよう、と思った。彼らのような「本好き」にはなれないかもしれないけれど、読んでみようと思った。国語の点数のために。嫌々ながら。

こうして、もうじき受験勉強が本格化するという時期に、あろうことか私は、参考書や「赤本」ではなく、ただの「本」を読んでいたのだった。

(つづく)

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